災害時の避難所環境改善に向けて考える──年末のご挨拶
2025年が間もなく訪れます。
21世紀も四半世紀近くが過ぎましたが、その間に私たちは、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震、そして今年の元旦に発生した能登半島地震など、さまざまな災害に直面してきました。また、豪雨災害も増加し、私たちの生活を脅かしています。
災害のたびに浮き彫りになるのが、日本の避難所環境の課題です。
能登半島地震では「災害関連死」が276人に上り、建物倒壊や火災などでの直接的な被害による死者数を上回りました。精神的・身体的負担が避難所での生活をさらに困難にし、命に関わる事態を招いています。
文京区の避難所想定者数は約26,000人(人口の約11%)。現状では、区は、一人あたりの居住スペースは畳1畳分で想定し、受け入れが可能としています。
一畳の環境は、床での雑魚寝を強いられ、寝返りすら打てず、隣人との距離も極端に近くなり、プライバシーはほとんどありません。
これでは、避難生活中に健康を害するリスクが高まり、「尊厳をもって生活する」ことからはほど遠い状況です。
今月、国は「災害関連死ゼロを実現」するため、避難所の新たな指針を発表しました。
この中では、一人当たり最低でも畳およそ2畳分の3.5㎡を確保すること、避難所の開設当初から段ボールベッドやパーテーションの設置、女性用トイレの整備比率を男性の3倍にすること、50人に1台の入浴施設の確保、温かい食事の提供などが示されています。
これにより、避難所環境が「睡眠もままならない耐え難い場所」から、「安全で安心して体を休める場所」へと変わることが期待されます。
文京区で、一人当たりのスペースをこの基準で実現するには、避難所の受け入れ能力が現状の2万6000人から約半分の1万3000人に減少するという課題に向き合う必要があります。
このため現状の避難所収容能力や備蓄倉庫のスペースを見直し、国立私立学校への協力要請や、段ボールベットやパーテンションを備蓄できるように、学校施設の改修時に備蓄倉庫を拡充するなど、具体的な行動が求められます。
避難所での生活が「我慢するのが当たり前」という考え方、そろそろ変えていきたいものです。
すべての被災者が、自分らしく安全に安心して過ごせる環境を整えること──これこそが自治体の責務です
被災者が避難所で「プライバシーを守りたい」「健康を保ちたい」「必要な物資を自分で選びたい」と願うことは、決して贅沢なことではありません。
むしろ、こうした環境を整えることが、人間らしい生活を守るために必要な最低限の基準なのです。
避難所がただの「一時的な寝泊まりの場所」で終わるのではなく、安心感や希望を取り戻せる場所であるために──。
質の高い避難所の整備は、「公助」として自治体が果たすべき役割です
また、災害時には区職員も被災者となりながら対応にあたります。
避難所の整備は、被災者の健康や尊厳を守るだけでなく、避難所運営にあたる区職員を支える基盤にもなります。その職員が心身の負担を軽減するためにも、区民の笑顔に出会えるよう、避難所環境を改善することが、職員を守ることにもつながると考えます。
災害時にも、「誰一人取り残さない社会」を目指し、文京区の今と未来を皆さんと共に築き上げていくこと。それが私の使命です。
2025年、私自身、議員として、人として成長できる年にしたいと思っています。
皆さまからのご意見や気づきをいただけることを心から願っています。
新しい年が、あなたにとって笑顔あふれる温かい年となりますように。
今年一年、心から ありがとうございました。
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