幼稚園と保育園、区立と私立…「保育の質」を考える

幼稚園は「教育」が受けられるけど、保育園は「保育」だけ・・・

という思い込みをされている方が、まだまだおられます。

しかし実際には、幼稚園は文部科学省が定める「幼稚園教育要領」、保育園は厚生労働省が作成した「保育所保育指針」、各々に基づいて教育・保育をしており、所管の違いはありますが、3歳児から5歳児に関する幼稚園教育要領と保育所保育指針の内容には、実は違いがないのです。

でもまだまだ、そうした事実が浸透していないのが現状です。

 

文京区立幼稚園・区立保育園のいずれであっても、3歳児から5歳児までは、等しく質の高い教育と保育を受けられることを、保護者等にもわかりやすく伝えられるように、文京区として、幼稚園・保育園での統一したカリキュラムを作成しました。先の教育委員会定例会で報告されました。

そのカリキュラム、「文京区版幼児教育・保育カリキュラム」を活用し、文京区は、来年度から幼稚園・保育園の教育・保育が進められます。

こちらでカリキュラムを抜粋したリーフレットが見られます↓

http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0105/6551/siryou_3.pdf

 

区立幼稚園・区立保育園共に同様の教育と保育を保障するのであれば、当然、環境整備も同様にすべきです。

例えば、園庭もしかりです。

夏であれば、プールでの水遊びは、幼稚園は運動場の設置が必須になっているのでできますが、保育園は園庭がなければできません。文京区立保育園は園庭が広さの差はあれ、設けられていますので、水遊びを通しての教育ができます。

が、今回、建て替えが決まった青柳保育園の仮園舎は園庭を設けませんので、水遊びももちろんのこと、幼稚園同様の教育が果たしてできるのか?? 「文京区版幼児教育・保育カリキュラム」を踏まえて検討したのかどうか、疑問が生じます。

 

さらに気にかかるのが、私立保育園に在園する子ども達への教育・保育のあり様です。

もちろん、一概に、区立のほうが私立よりも質が高い、というものではありませんが、例えば、私立認可保育園は園庭がない保育園がほとんどで、保育所保育指針に基づいた保育を実践するには、先生たちの工夫、ご苦労は大変なものだと推測します。

保育の質には、職員の配置数や経験等もけっして無関係ではありません。

保育園勤務歴2年未満の保育士が中心になっている園もあることから、区立保育園と同様の教育・保育を保障できるのか、不安を持つ保護者も少なくないと思います。

 

区立保育園の職員配置は,国基準に対して、さらに区独自で職員を増やし手厚くしています。要配慮が必要な子どもがいれば、そうした子どもへの職員配置も行っています。

けれども、私立認可保育園は、あくまでも国の最低基準を満たせばそれ以上の職員を増やさなければならないことはなく、経営者がどう考えるか次第です。

職員を増やせば人件費が増え、経営に影響するだけに難しい問題だと思います。

区立保育園並みの人員を配置できるように、文京区が財政的な支援をしていくことが、重要な施策となるのではないでしょうか。

 

保護者が保育園を選択する際に、

  • 保育士1人で子ども何人をみるのか?
  • どのように職員を配置しているか?

保護者が大切なわが子を託す選択をする上で、これらの職員配置は大事な情報であるはずです。

その園の保育を「見える化」する意味でも、区のHPなどに掲載して情報提供することが重要ではないでしょうか。

 

最後に、

株式会社ジャンボコーポレーションが運営する認可保育園「ハッピーマム茗荷谷」は、園の運営に対する「保護者からの不安の声が高まった」ことから、昨年5月以降、園の運営体制が整うまでの間、新規募集を停止し、今年4月の園児募集において一次募集をしていませんでした。

今年1月になり、区は「園の運営体制が整った」との判断で、2次募集から募集を再開すると発表しました。

http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0105/5358/hmbosyuusaikai.pdf

ところが実際は、12月下旬に、「指導として」子ども一人を廊下に締め出すという不適切な保育がハッピーマム茗荷谷であったことが会派にも報告されています。保護者の間からは、いまだそうした保育の現状に不安が残っているとの声も聴きます。

不安の声が高まったから、募集を停止したにも関わらず、保護者の不安はいまだ消えておらず、まして明らかに不適切な保育があったことを区も認識していながら、「園運営の体制が整った」とした判断基準はどこにあるのでしょう?

 

区は、「ハッピーマム茗荷谷」の募集再開について、「職員体制については、認可基準及び運営費支給上の最低必要数(正規8人)以上の職員配置がなされることを確認しております」としていますが、職員体制が整備されていれば良いということではありません。

12月に不適切な保育があったときも、職員体制は最低基準をクリアしていたわけで、それでもそうした不適切な保育があったことの重さを、どう考えているのでしょうか?

「文京区版幼児教育・保育カリキュラム」を私立認可保育園でも同じように重視する保育を進めていくのであれば、募集の再開にはさらなる疑問が生じます。

2月議会で質疑していきたいと思います。

 

子ども達自身による自己申告は難しい年齢です。

保育のあり方を最優先に考え、検証し、厳しく臨み、総合的に「保育の質が担保できる」と区が認定して初めて、募集再開すべきだと思うのは私だけでしょうか。

もしまた、不適切な保育が再発したら、どうやって責任を取るのでしょうか。

まるで、「最低基準の人員さえそろっていれば保育の質は担保できる」、「問題が再発したら、その時はその時だ」、と判断しているように思えてなりません。

 

 

ご参考に、幼稚園と保育所の基準を比較した厚労省の資料が以下からご覧になれます。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/10/s1024-11d.html

幼稚園・保育園基準比較

厚生労働省:幼稚園と保育所の基準の比較【職員配置・施設設備等】

 

 

 

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