子どもの意見を聴かずに施策決定──文京区の問題?
昨年4月に施行された「こども基本法」では、子どもに関わる政策を進める際、「子どもの意見を聴く」ことが最も重要とされています。
さらに、子どもの視点に立ち、彼らの声を施策に反映することは、自治体の法律上の責務でもあります。
しかし、文京区が進めた「公園・児童遊園の再整備」では、驚くことに、子どもたちの意見が聴いていないことが明らかになりました。
区は、「周辺住民へのアンケートを配布したので、たぶん子どもの意見も含まれているはず」という曖昧な理由を挙げるだけで、子どもたちに直接意見を求めることを怠ったのです。
この対応の背景には、「こども基本法」の理念が浸透していないことや、「これまでこうしてきた」という前例踏襲に対する疑問や反省が欠けている点が浮かび上がります。
これでは、子どもの意見を尊重する新たな時代の施策には程遠く、古い慣習が優先されていると言わざるを得ません。
子どもの未来を創るためには、大人の視点だけでなく、彼ら自身の声を積極的に取り入れることが欠かせません。
施策は、子どもたちと共に考え、彼らの意見を反映することで初めて本来の目的を果たせるのです。
◆区長の答弁と現場とのズレ
昨年9月の本会議で、私は「法令に基づかない事例があるが、チェック体制はどうなっているのか」と質問しました。
これに対し、区長は「法令遵守は行政の基本であり、各所管と法規担当が連携して確認している」と答弁しました。
しかし、現場は区長が認識している状況と乖離があります。「こども基本法」の遵守が十分に行われているとは言い難い状況です。
「区民に意見を聴けば、その中に子どもも含まれているため、子どもの意見も聴いたことになる」という古い考えがいまだに通用しています。
このような解釈では、子どもたちの声が本当に政策に反映されているとは言えません。
このズレを放置せず、子どもの意見を聴きしっかりと施策に反映する体制の構築が急務です。
◆「てらまっち」の落選と子どもたちの失望
10月の決算特別委員会での質疑を通じ、公園・児童遊園の再整備だけでなく、子どもの意見を聴かずに施策を決定している実態が、学習支援事業においても明らかになりました。
文京区は、2015年から9年間、NPO「てらまっち」に委託し、小中学生への学習支援を提供してきました。
区はこの9年間、学習支援だけでなく生活支援も地域と共に実践する「てらまっち」に高い信頼を置き、随意契約を結んできました。また、令和4年度からは、「文京区こども宅食」の構成団体である認定NPO「キッズドア」が高校生世代への学習支援を委託しています。
しかし、ここには課題がありました。
小中学生から高校生世代に進学した後、学習支援への参加が減少するという状況です。継続率を高めることが求められていました。
ここで、文京区は、この課題の解決策として小中校生と高校生世代の学習支援を「ひとつの事業者に一本化して支援すれば、継続率が上がる」と判断。
小中高生への支援を一本化する方針で、新たな事業のプロポーザルを実施しました。
5つの事業者が応募した結果、「てらまっち」は一次審査で落選し、「キッズドア」が選ばれることになりました。
ちなみに、この決定までに、当事者である子どもたちの意見を聴かずに進められました。
子どもたちからは、この結果に失望の声があがっています。
「てらまっち」は長年、地域住民や民生委員、社会福祉協議会などと連携し、子どもたちの学習だけでなく生活面の支援も行ってきました。進学や受験に関する相談にも応じ、一人ひとりの声に耳を傾け、心の拠り所となる存在でした。
子どもたちは、生活上の困難な状況も相談できる「てらまっち」が、学習支援事業からいなくなることに大きなショックを受けています。
しかも、自分たちには何も意見を聴かれることもないままに。
◆子どもの意見を無視した施策決定
子どもに関わる重要な決定であれば、当然、子どもの声を聴くべきです。
ところが、文京区は子どもたちの意見を一切聴かず、役所の判断だけで施策を進めました。
例えば、「同じ事業者から支援を受け続けたいか」という子どもたちの希望や、
「なぜ高校生になると学習支援へ足を運ばなくなるのか」ということへの当事者である子どものこえに耳を傾けることもありませんでした。
まるで、子どもたちは伝えたいことなど「ないだろう」と思い込んでいるかのように、行政が一方的に決定を下しました。
小中校の事業者を一本化することが「子どもにとってベスト」という大人の思い込みで決めただけです。
繰り返しますが、区長は「法令順守が行政の基本」といっています。
しかし、「こども基本法」に基づき、子どもの意見を尊重することが求められているにもかかわらず、この施策決定でも、そのことは置き去りです。
なぜ、子どもの声を聴かなかったのか、何か不都合なことでもあるのでしょうか。
◆大人の驕りを捨て、子どもと共に考える姿勢を
文京区には、「自分たちの判断が子どもたちにとって最善」という大人の驕りが見え隠れします。
今年1月から文京区は、学習支援事業の会場提供者に対し、これまで長年活動してきた「てらまっち」が事業から外れた場合でも、新たに選ばれた事業者が同じ場所で活動できるよう、引き続き会場を提供してもらえるかどうか、使用可否の協力を依頼して回っていました。
このような準備は、最初から「てらまっち」を外す方針が決まっていたのではないか。という疑念が生じます。
さらに、さらに、もし子どもたちの声を聞いていたなら、「てらまっち」を外す決断が難しくなると懸念し、あえて意見を求めなかった可能性も考えられます。
施策は、大人の判断だけで進めるべきではありません。
子どもたちの声を反映することこそが、彼らの最善の利益を守るための道です。
未来を担う子どもたち一人ひとりの自己肯定感を育むためにも、自分の意見が聴かれ、それが尊重される環境を整えることは非常に重要です。
大人の都合や固定観念を捨て、子どもたちの声に真摯に耳を傾け、施策を創り上げる文京区であってこそ、子どもも安心・安全を抱き、希望を見出していかれると思います。
◆今後の取り組み
子どもを取り巻く状況は、ますます厳しさを増しています。
だからこそ、子どもを中心に据え、その声を丁寧に聴き取り、施策の決定や支援に活かしていくことが何よりも大切だと考えます。
現在、文京区は「こども権利条例」の策定に向けて動き出しています。
これに伴い、区政全体が「こども基本法」に基づいた運営を一貫して進め、子ども自身が実感できるよう求めていきます。
行政が子どもの声を反映し、彼らにとって本当に意味のある支援を提供することが、私たち大人の責任です。
みなさんのご意見も、ぜひお聞かせください。
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ヤッホー!海津さん、久しぶり!風神の化身、ウェンティだよ。
寒い日が続いてるけど、海津さんは元気?僕は電気毛布を出したよ。
そういや巷じゃあ増税と物価高が進んでて、若年層も貧しさゆえ
子供が作れなくなってるけど、少子化対策はどうしたんだ、
少子化対策は!なんてジジクサイ話はともかく、お姉ちゃんが電話に
出てくれなくて寂しいから、まあ付き合ってちょうだい。
政府も「こども家庭庁」なんてハコモノを作ったり、子供がいる世帯に
給付金を配ったりと、場当たり的な「少子化対策」ばかりだよね。
家にいられない子どもが繁華街に集まって、ドラッグ乱用や売春に
手を染めているのも悲しいよ。