【旧元町小学校跡地】順天堂への貸付料、本当にこれでいいの? 計算を整理すると見えてきた疑い
旧元町小学校跡地(元町ウェルネスパーク西館)の順天堂大学への貸付料について、
「どうやって金額が決まっているの?」
という声をいただきました。
区の資料を見ていくと、計算には一定の考え方があります。一方で、
「え?そこまで差し引くの?」
「この説明、整合している?」
と感じる部分もありました。
特に気になったのは、貸付料が、複数の段階を経て大きく下がっていること。
もちろん、区なりの説明があります。だからこそ今回は、区の説明をそのまま整理しながら、何が論点なのかを、できるだけ分かりやすくまとめてみます。

目次(クリックすると移動します)
STEP1 まず「土地全体の賃料」を出す
最初に区は、土地評価額 約26億円に、利回り4%を掛けて、年間約1億390万円という「土地全体の年間貸付料」を算出しています。
これを月額に換算し、さらに面積で割ると、1㎡あたり月3,033円になります。
ここまでは、一般的な土地貸付料の計算です。
ただし重要なのは、
ここから先で、貸付料を下げる調整が複数段階で行われていることです。
計算式を順番に見ると、
① 園庭部分(883㎡)を貸付対象から外す
② 順天堂の持分割合(64.23%)を掛ける
③ 最後に55%減額する
という流れになっています。
区は、それぞれ別の意味を持つ整理だと説明しています。
一方で、結果として、土地全体の基準額(月額約866万円)から、専用面積控除、床面積割合、さらに55%減額を経て、最終的に、月額約172万円(基準額比 約80%減)となっているのも事実です。
そして何より気になるのは、
「園庭」という同じ条件が、①から③まで複数箇所で影響しているように見えることです。
STEP2 認定こども園の園庭部分(883㎡)を外す
次に区は、認定こども園の**園庭部分(883㎡)**について、
「区が専用で使用するため、順天堂は活用できない」
として、貸付面積から除外しています。
つまり、
2,855㎡ → 1,971㎡
へ縮小しています。
区の説明では、これは「減額」ではなく、
“順天堂が活用できない範囲を整理しただけ”
という考え方です。
ここには一定の理屈があります。
ただ、一方で気になる点もあります。
実際には、園庭の地下には、順天堂が使う体育館があります。
つまり順天堂は、園庭部分の地下空間を現実に利用しています。
さらに、1階平面図を見ると、
中央に園庭が配置され、その地下に体育館がある構造になっていて、
現在の施設は、園庭部分を含めた土地利用を前提として成り立っているように見えます。

区が説明する「園庭は順天堂が活用できないため貸付対象外」
という整理と、園庭地下を利用しながら施設が成り立っている実態との整合性が問われます。
少なくとも区民から見れば、「園庭は対象外と言うけれど、地下は使っているのでは?」という疑問が生じても、不思議ではありません。
STEP3 64.23%を掛ける
次に出てくるのが、
64.23%
という数字です。
区は、これは「減額」ではなく、区分所有に基づく持分割合と説明します。
つまり、建物は区と順天堂の区分所有で、順天堂が所有する部分が64.23%だから、
順天堂が所有・活用する範囲分だけ貸付料を負担する
という考え方です。
ここで改めて気になるのが、園庭地下利用との関係です。
というのも、順天堂が利用する体育館は、園庭の地下にあります。
そして、その体育館部分は、順天堂側施設として、
64.23%の区分所有割合の中に含まれています。
一方で区は、「園庭は順天堂が活用できないため貸付対象外」
として、園庭部分883㎡を貸付対象から外しています。
だとすると、「園庭は活用できないから対象外」でも「園庭地下の施設利用は順天堂の持分として成立している」
この説明は、本当に整合しているのでしょうか。
少なくとも、「園庭を活用していない」という説明は、現実の施設利用と明らかに整合していません。
順天堂は実際に、園庭地下の体育館を利用しているからです。
STEP4 最後に「55%減額」
そして最後に出てくるのが、もっとも大きな論点である、55%減額です。
区の説明によると
① 容積未消化による減額(約45%)
この土地は本来、もっと大きな建物を建てられる土地ですが、公募条件などにより、本来建てられる規模の約55%程度しか建設できなかったと説明しています。
つまり、約45%分は建てられなかったため、その分を減額。
② 認定こども園による制約(約10%)
さらに、1・2階が認定こども園となることで、自由に使えない制約があるとして、約10%減額
これを合わせて、45%+10%=55%減額
その結果、月額約384万円だった貸付料は、約172万円まで下がります。


園庭という条件が、貸付計算の複数箇所で反映されている
ここで、私が特に気になるのは、
「園庭」という同じ条件が、貸付料計算の中で複数回反映されていることです。
区はまず、
「園庭は区が専用で使用し、順天堂は活用できない」
として、園庭部分約883㎡を貸付対象から除外しています。
さらに、園庭を含む認定こども園による制約として、約10%の減額を行っています。
そして、55%減額のうち約45%についても、園庭を含む土地全体(約2,855㎡)を前提にした「本来建てられる規模」を基準に説明してきました。
つまり、事実として、園庭に関する条件は、貸付料計算の複数箇所で反映されています。
区は、「それぞれ意味が異なる」と説明します。
ただ、区民から見れば、園庭による除外した上に、さらに減額するために園庭を使っている
と感じても、不思議ではないのではないでしょうか。
区は、順天堂に貸し付けた貸付料計算の整理に整合性があるのか。
区民に分かる説明が不可欠です。
貸付面積が変わった。でも、55%減額は変わらない
さらに区は、令和7年3月、「園庭は順天堂が活用できない」として、園庭部分883㎡を貸付面積そのものから除外しました。
つまり、貸付面積は約2,855㎡から約1,971㎡へ縮小しています。
55%減額は変わらない。
区は、その後の貸付料見直しでも、55%減額を維持しています。


では、貸付面積が縮小された場合、本来の「使えていない割合」はどうなるのでしょうか。
区はこれまで、約45%分、建てられる規模を使えていない
として、大幅減額の理由にしてきました。
区が55%減額説明で用いてきた順天堂の実施設計面積をそのまま使い、貸付面積を変えて、再計算すると、以下になります。
【当初】2,855㎡
約55%利用
→ 約45%未消化
【変更後】1,971㎡
約81%利用
→ 約19%未消化

つまり、貸付面積は縮小。
でも、55%減額はそのまま。
この整理は、本当に筋が通っているのでしょうか。
さらに、私の中で疑問が消えないのは、
そもそも、体育館が真下にある園庭部分を、貸付面積から除外する必要が本当にあったのかという点です。
「園庭は活用できない」として貸付面積そのものから除外する整理は、妥当だったのでしょうか。
詳しくは、また整理してお伝えしたいと思います。
問われているのは「安い・高い」だけではない
私は、ここで問われているのは、
単に 「安い・高い」
という話だけではないと思っています。
問われているのは、
区民共有の財産が、
・どのような考え方で、
・どのような比較を行い、
・どのような手続きで決められたのか
ということです。
地方自治体には、区有財産を適正かつ有効に活用し、区民全体の利益につなげる責務があります。
だからこそ、その判断過程が、公平で、区民に説明できるものであったのかが問われます。
行政は、
「何をやるか」だけではなく、「どう決めたか」が問われます。
しかも今回、順天堂への土地貸付料の具体的な計算の考え方は、公募時には示されていませんでした。
後から条件や考え方が積み重なっていくように見えれば、公平性への疑問が生まれるのも当然ではないでしょうか。
皆さんは、この「決め方」、納得できますか?

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