本当に「専有」なのか? 〜旧元町小学校跡地の貸付料算定に残る疑問〜

旧元町小学校跡地(元町ウェルネスパーク西館)の貸付料算定について、区長答弁や公表資料を改めて整理してみました。

すると、一つの疑問に行き着きます。

それは、

「こども園が専有するから貸付面積から除外した」という説明は、本当に成り立つのか。ということです。

公募時の説明

区長答弁によれば、公募時のQ&Aでは応募事業者に対し、

「こども園園庭を専有する場合は、園庭面積を差し引いた面積が地代対象面積となる」

と説明していたとのことです。

つまり区は当初、

こども園が専有する園庭

順天堂大学は利用しない

だから地代対象面積から除外する

という考え方を示していたことになります。

貸付面積から除外する根拠は、

「専有」だったのです。

本当に順天堂大学は利用していないのか

ところが実際には、

地上 → こども園の園庭

地下 → 順天堂大学の体育館等

という利用実態があります。

区自身も、

・園庭の地下に体育館等があること

・地下施設は貸付料算定の対象であること

を認めています。

そうであれば、

本当に「こども園が専有している」と言えるのでしょうか。

少なくとも、園庭部分の地下には順天堂大学が利用する施設が存在しています。

区がいう「専有」が、地上部分のみを指すのか、それとも地下利用を含めた土地全体を指すのかは、答弁からは明らかではありません。

また、地下利用を含めた土地全体をどのように評価したのかについても説明されていません。

公募時Q&Aでは、

「こども園園庭を専有する場合は、園庭面積を差し引いた面積が地代対象面積となる」

という考え方は示されています。

しかし、その説明から読み取れるのは、あくまで地上の園庭利用についてです。

その後、園庭部分の地下に順天堂大学が利用する体育館等が整備されることを踏まえ、その土地の価値や地下利用による経済的利益をどのように評価したのかについては、公募時Q&Aからは読み取ることができません。

むしろ疑問なのは、

公募時には見えていなかった地下利用について、区が貸付料算定の過程でどのように検討し、なぜ園庭部分約883㎡を貸付面積から除外する整理としたのかという点です。

区には、その経緯や考え方を区民に分かる形で説明する責任があるのではないでしょうか。

「事業計画範囲」という説明

区は一方で、

「事業計画範囲は変更していない」

とも説明しています。

確かにそれは、

順天堂大学にとって園庭部分も含めた土地が事業上必要だった、

という説明にはなります。

しかし、それは貸付料算定の説明になっているでしょうか。

事業計画の話と、貸付料をどう計算するかは本来別の問題です。

区が説明すべきなのは、

「事業計画範囲だった」

ことではなく、

なぜ約883㎡を貸付面積から除外できるのか、その根拠ではないでしょうか。

区長の答弁から見えてくること

区長の答弁を整理すると、

・園庭部分は事業計画範囲に含まれる

・園庭の地下には順天堂大学の体育館がある

・地下施設は貸付料算定の対象である

ということになります。

つまり区自身が、

園庭部分は順天堂大学の事業と無関係な土地ではなく、

順天堂が事業を行う上で、とって重要な土地であることを認めているようにも見えます。

それにもかかわらず、

なぜその土地を貸付面積から除外できるのでしょうか。ここが最大の疑問です。

財産区分の変更でも疑問は深まる

さらに気になるのは財産区分の変更です。

園庭部分は令和6年12月に普通財産から行政財産へ変更されています。

行政財産とは、学校や公園など行政目的で使用する財産です。一方、普通財産は貸付や売却などができる財産です。

旧元町小学校跡地は、区立小学校として使用していた当時は行政財産でした。

その後、櫻蔭学園等への仮設校舎として貸し出すために普通財産となりました。その状態のまま、順天堂大学への貸付も行われました。

ところが、令和6年12月、園庭部分のみが行政財産へ変更されています。

しかし、園庭部分約883㎡を貸付面積から除外したのは、その前の令和4年の貸付料算定時です。

当時、園庭部分はまだ普通財産でした。

つまり、

「行政財産だから除外した」

という説明は成り立ちません。

除外した時点では、行政財産ではなく、貸付や売却が可能な普通財産として整理されていたからです。

では、なぜ普通財産である土地を貸付面積から除外できたのでしょうか。

さらに、認定こども園の園舎部分については、建物は行政財産である一方、その敷地は普通財産として整理されています。

なぜ園庭部分のみ行政財産となったのか。

この点についても説明が必要ではないでしょうか。

区有財産の価値は適正に評価されたのか

さらに言えば、

不動産の価値は地上利用だけで決まるものではありません。

地下の利用権も経済的価値を持ちます。

実際に園庭部分の地下には、順天堂大学が利用する体育館等が整備されています。

そうである以上、

地下利用を含む土地全体の価値をどのように評価したのかという疑問は残ります。

区には、区民共有の財産である区有財産について、その価値を適正に評価し、最大限有効に活用するとともに、適正な対価を確保する責任があります。

だからこそ、

地下利用による経済的価値をどのように評価したのか、

なぜ約883㎡を貸付面積から除外できるのか、

その算定根拠を区民に分かる形で説明する必要があるのではないでしょうか。

最大の疑問

今回の問題は、順天堂大学を批判する話ではありません。

また、契約を結んだから終わりという話でもありません。

区有財産は区民共有の財産です。

だからこそ、

貸付料がどのような考え方で算定されたのか、

区には説明責任があります。

区が貸付面積から園庭約883㎡を除外した理由は、

「こども園が専有するから」

でした。

しかし、

その地下には順天堂大学が利用する体育館等があります。

そうであれば、区がいう「専有」とは何を意味するのでしょうか。

そして、その考え方は、地下利用による経済的価値をどのように評価した上で導かれたものなのでしょうか。私は、この点について、区長からまだ十分な説明がなされているとは思えません。

もう一つ確認していること

現在、園庭部分を普通財産から行政財産へ変更した経緯についても確認を進めています。

貸付面積から除外した時点では普通財産だった土地が、その後なぜ行政財産へ変更されたのか。

また、認定こども園の園舎敷地は普通財産のままである一方、なぜ園庭部分のみが行政財産として整理されたのか。

この点についても、貸付料算定との関係を含め、引き続き資料や経緯を確認しています。

新たに分かったことがあれば、改めてご報告したいと思います。

令和8年6月8日、本会議・海津敦子質問&成澤区長答弁

1.園庭部分の取扱いと貸付料算定について【質問の要点】
地下利用があるにもかかわらず、なぜ園庭部分を貸付料の対象外にできるのか。
園庭の地下には順天堂が利用する体育館や駐車場の一部がある。また、この施設は園庭下利用を前提に設計されている。
・地下利用という実態があるにもかかわらず、なぜ貸付料の対象外とできるのか。
・園庭部分を除外しても現在の施設配置や事業計画が成立すると、どのような根拠で判断したのか。 区民にもわかる説明を。

成澤区長答弁
本事業については、平成31年3月に公表した「旧元町小学校の整備と元町公園の一体的活用事業 事業公募型プロポーザル募集要項」に基づき、公募を実施した。
その際、公募時の事業者からの質問に対して、認定こども園の園庭部分については、区が使用するため、貸付料から除くことを全参加予定事業者に回答している。
また、土地の権利関係を整理する中で、昨年3月に、認定こども園園として専有仕様する園庭については、事業用定期借地権範囲から除いた。
一方、事業計画範囲の面積については、基本協定書において、当初から園庭部分も含めて定めております。事業計画範囲に変更はなく、園庭の地下に体育館を整備し使用することについても、区と事業者において合意している。
 なお、土地の貸付料の算定にあたっては、地下にある建物等についても対象としている。

2.55%減額の整合性について【質問の要点】
区は、順天堂大学への土地貸付料を約55%減額している。
その理由として、貸付面積約2,855㎡で本来建てられる建設規模に対して順天堂は、「約45%しか使っていない」、「認定こども園による制約約10%」を挙げ、併せて55%減額と説明。
しかし令和7年3月、区は園庭約883㎡を貸付対象から除外し、貸付面積を約2,855㎡から約1,970㎡へ縮小。
貸付面積が縮小されたのであれば、「使っていない割合」も変わる。
私の試算では、使っていない面積は、約45%から約19%になる。
減額率も55%(45%+10%)ではなく、29%(19%+10%)になる。
しかし区は、貸付面積は縮小した一方で、55%減額は維持。
貸付面積を縮小したにもかかわらず、なぜ55%減額を維持しているのか。
その算定根拠を区民に分かるよう説明を。

成澤区長答弁
先ほどご答弁申し上げたとおり、基本協定書における事業計画範囲の面積について変更がないことから、貸付面積の変更に伴い減額率も変更すべきという、議員のご指摘は当たらないものと認識している。

3.公募の公平性と透明性について【質問の要点】
区は順天堂への貸付料の算定で以下を実施。
・園庭は順天堂が使えないから園庭部分を除外
・建物を順天堂が使う部分だけど支払う床面積割合による按分
・建設上の制約による55%減額
区は「順天堂が利用する範囲を整理した結果であり、減額ではない」と説明。
しかし、こうした条件は貸付料に大きく影響するものであり、公募時に具体的に示されていたとは言い難い状況。
事前に示されていれば、応募の判断や提案内容、場合によっては応募そのものが変わった可能性がある。
貸付料に大きく影響する条件が、選定後に次々整理・使いされ、結果として貸付料が大きく下がる状況を公平・公正な公募と言えるのか。
この決定プロセルについて、区長は、区民への説明を果たしていると考えているのか。

成澤区長答弁
本事業については、募集要項に基づき実施している。
貸付料については、導入する公共機能の内容等や歴史性の継承などにより、事業者が敷地に建設する建物が制約を受けることを考慮し、減額も含めた額を参考地代として募集要項に示しており、事業者選定後に条件を整理・追加したものではない。
 また、本案件については、他の公有財産と同様、公有財産管理運用委員会にといて貸付料を決定している。

4.貸付料算定方法の客観性と行政責任について【質問の要点】
区有財産は区民共有の財産であり、区にはその価値を適正に評価し、適正な対価を得る責任がある。
しかし、順天堂への土地貸付料は路線価で算定。(一般的に路線価は、不動産鑑定価格の8割が目安)一方、区が土地を取得する際や、順天堂東館の貸付料算定では、不動産鑑定評価を実施。
一般的に路線価方式は、社会福祉施設等の公共性が極めて高い案件で採用。順天堂の事業は営利活動の伴うものであり、福祉事業とは異なる。
路線価方式だけで適正な価値を評価できるのか。
不動産鑑定評価を行わず、路線価方式を採用したのか。
区民共有の財産について、客観性と適正な対価をどのように担保したのか。

成澤区長答弁
元町ウェルネスパークの西館敷地の土地貸付料は、他の公有財産と同様に、
相続税路線価に必要な補正を加えた利回りを乗じて計算している。
相続税路線価による適正な算定により、貸付基準が明確になり、土地のより正確な評価が可能となっているものと認識している。
なお、元町ウェルネスパーク東館の建物貸付料については、相当年数が経過した建物を保全するための復元的改修を実施していることから、不動産鑑定評価により算定している。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)  また、他者を誹謗中傷していると判断したコメントは削除させて頂く場合がありますので、ご了承ください。