文京区議会9月議会本会議~区長・教育長への質問&答弁一問一答+海津の考え(2/3)
前回に引き続き2/3をUPします。
9月7日に私、海津敦子が本会議で一般質問を行いました。
区長・教育長それぞれへの質問と、それぞれの答弁を一問一答形式に編集して共有します。
また、各答弁に対する「海津の考え」も付記しました。
長いので、3回に分けて投稿して行きます。
ぜひ、お時間のある時に、ご興味のある項目をご覧の上、区長・教育長の答弁にご注目頂き、ご意見を聞かせて下されば嬉しいです。
目次(クリックすると移動します)
7.不登校の子どもと保護者支援
7.海津質問
不登校児童生徒はもちろんのこと、保護者が悩みを抱えて孤立しないように、適切な情報や支援を受けられるようにすることが重要です。
文科省は、不登校の子どもや保護者を支援する折には、教育委員会等の公的機関に加え、保護者の会といった相談機関や、不登校の子どもの学びの場所や居場所の情報を提供することを求めています。さらに、教育支援センターやフリースクール・フリースペース等々を整理して、施設の概要や連絡先、ホームページ等を掲載した冊子等をつくり、必要な情報をわかりやすく提示することを求めています。が、文京区では見当たりません。作成しないのですか
また、教育センターは、担任や養護教諭、SC、SS等様々な専門スタッフが不登校の子ども自身や保護者と話し合う等して、「児童生徒理解・支援シート」を作成できているでしょうか。組織的に支援していくためにも重要なものです。伺います。
7.教育長答弁
本年7月の国の通知も踏まえ、現在、不登校の相談先やふれあい教室の情報を掲載したリーフレットを作成しているところです。
また、ふれあい教室では、原則として、通室している児童・生徒について「児童生徒理解・支援シート」を作成しております。シートの作成は教育センター職員が行っておりますが、学校との共有を含め、組織的な支援に活用できるよう取り組んでまいります。
7.海津の考え
教育センターへの通室の有無にかかわらず、教育センター職員は、不登校のすべての子どもの声に耳を傾け、願いを聴き、その思いに基づき、保護者を含む担任や専門スタッフ等が多面的に理解・支援シートを作成しPDCAで実施することが責務です。理解・支援シートは、子どもの思いを「聴く」大人を増やしていくためにも重要な役割を持ちます。
8.校則について~標準服とは?
8.海津質問
義務教育は無償が原則です。文科省からは、通学用服等の学用品の購入は、経済的負担が過重にならないよう留意が求められています。文京区立中学校での「標準服」購入費用は、約3万円から、高いものは約6万5000円です。保護者の経済的負担は重いものがあります。
各校のHPに掲載された校則をみると、「標準服」を着用することを明記し、指導の対象となっています。
そもそも、この「標準服」とは、実用日本語表現辞典によると、「学校等の組織において、所属者が着用することが望ましいとされる服装。ただし制服と異なり、常時着用の義務はなく、推奨されるに留まる」と解説しています。
辞典通りなら、校則に書かれる文章の表現は違ってくるのではないでしょうか。
文京区立小学校は、私服を選択しています。小学生にふさわしい服装の答えが一つではないからだと思います。
中学生にふさわしい服装として標準服が合理的な範囲であるか疑問です。
制服は「所属意識を育む」と支持する人もいれば、私服のほうが「体温調整がしやすくなる」「自分で考えて決められる」「性自認にあった服を選びやすい」とメリットを挙げる人もいます。人の価値感は様々です。
標準服を辞典通りの「推奨」にとどめ、着ても着なくてもよい、「選択ができる」という判断を、生徒自身や家庭にゆだねることについて、教育長はどのように考えられますか。伺います。
8.教育長答弁
標準服の在り方については、生徒会を中心に議論し、各学校・地域に合った形を模索しているところです。
教育委員会としても、TPОに合わせた服装選びなど、生徒が自己決定の機会をもつことは重要であると認識しており、標準服の在り方については、引き続き、広く検討していく必要があると考えております。
8.海津の考え
校則で「標準服」の着用を義務付けられている子どもたちは、仮に、入試で「標準服」と「制服」の違いを問われたら、「違いを答えられない」と思うのです。
今後、区立中学校10校は、「標準服」のあり方をどのように検討していくのか。第一歩として、子どもたちに、標準服と制服の違いを合理的に説明していくことを願っています。
9.「チーム学校」の実現に向けて
9.海津質問
教職員の人材確保が非常に難しくなっている中、学校における抜本的な業務改善は待ったなしです。昨年度、文京区立小中学校幼稚園では、全教職員836人中、心因的な理由等によって36人が病気休暇を取得し、17人が離職しました。
背景には、多様な保護者ニーズへの対応、いじめ、不登校、GIGAスクール構想、個別最適な学び等、教職員の業務の多様化、長時間化があります。
教員の負担軽減のためには、特別支援教育担当指導員や時間講師、ICT支援員、SC.SSW、学校図書館司書等の常勤化に向けた取り組みが欠かせません。さらには、人材確保にむけて待遇を改善することも急務です。SSWの待遇面では、他自治体と1カ月5万円の開きがある事例もあります。
「チーム学校」として、個別最適な学びの保障に向け、教員が授業改善や教材作成に力を注げる環境整備が急務です。
教員の長時間業務について、教員が担うべき業務やそうでない業務を具体的にどう改善していくのか、伺います。
9.教育長答弁
教員が担うべき業務である授業や学習指導については、会計年度任用講師が授業の一部を担うことで教員の負担を軽減しております。また、授業準備、学習評価や成績処理などについても、スクールサポートスタッフを配置することで、負担軽減を図っております。
加えて、ICT支援員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフを配置し、チーム学校として、より効果的な指導や対応に努めております。
また、必ずしも教員が担う必要のない業務である部活動については、部活動指導員や補助員が顧問に代わって技術指導や大会引率等を行っております。
これら多くの人材を学校に配置することで、教員が本来の業務に専念し、チーム学校として、教育活動を進められるよう職場環境を整えてまいりました。
引き続き、保護者・地域からの理解と協力のもと、学校における業務改善をさらに進めてまいります。また、人的支援の拡充と処遇面での改善について検討することにより、子どもたちに質の高い学びを提供できるよう努めてまいります。
9.海津の考え
人的支援の拡充につなげるためには、処遇面の改善が急務です。
さらには、教員の少なからずが、SCやSSW、学校図書館司書等の専門スタッフとどのように連携をしていけばよいのか、わかっていない。だからか、チャレンジもしない結果、「チーム学校」として効果的な指導や対応につながっていない、という現状もあります。
モデル校などを設定し、専門スタッフと教員がチーム学校としての連携について共通理解をはかることを求めていきます。
10.柳町小学校内の育成室~公営と民営の処遇格差
10.海津質問
柳町小の2期工事では、育成室4室と児童館を整備することになっています。
運営は、児童館は公設公営、育成室は公設公営2室、公設民営2室としています。
が、共有のホールを囲んで配置する育成室4室を、公営2室と民営2室で円滑に運営できるのでしょうか。同一労働でありながら、処遇には格差があります。
幼保一元園の柳町こどもの森では、幼稚園教員と保育士との不合理な待遇差が生じ続け、区は幼稚園型認定こども園化に伴い、全職員を幼稚園教員にすることを決定しました。
柳町小内に開設する育成室の運営について、同一労働同一賃金をどのように担保していくか、伺います。
10.教育長答弁
同一労働・同一賃金は、同一企業・同一団体内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇差の解消を目指すものであり、ご指摘の内容は当たらないものと認識しておりますが、改築後の柳町小学校内の育成室においても、育成室4室で定期的に打合せを行うことなどにより、円滑な運営となるよう、努めてまいります。
10.海津の考え
厚生労働省のガイドライン上は、確かに、同一企業・同一団体内ではないから、同一労働・同一賃金は問題には当たらない、ということになります。
しかし、同じ空間で、
● 公設公営 公設民営 同等の基準で職員を配置
● 公設公営、公設民営 どちらも施設の権限、責任を区が持つ
● 公設公営 公設運営 運営については、公営は区、民営は委託した事業者
上記の条件を考えると、納得感は得られません。
同じ場所で食事やおやつを食べるホールを共有して囲む育成室4室を、公営2室、民営2室に分かれた運営が、定期的な打ち合わせだけで、子どもたちの最善の利益を守る居場所提供ができるのか、疑問が残ります。
行事等も公営と民営とは違いもある中、同じ場所を第二の家庭として過ごす子どもたちの安心につながるとは思えません。
11.学校の改修~体育館《避難所》の断熱化促進を
11.海津質問
断熱化を進めることで光熱費を約40%節約できるとも言われる中、文京区としても公共施設の断熱化に踏み出していますが、断熱改修はまだこれからです。学校の耐震化と同様に、断熱化は命にかかわる問題です。
いつ起きるかもしれない大震災。災害級の猛暑が同時におこれば、断熱化されていない避難所では、暑さ負債が溜まり助かった命が脅かされかねません。
子どもたちの日常にも影響があります。熱中症にかかるのは、室内がもっとも多く、暑さは心臓や呼吸器等の基礎疾患にも影響します。
改築中、建て替えが決まっている千駄木、小日向台町小を除き、断熱改修を必要とする体育館は何校あるでしょうか。
また、その改修完了は何年までを目途にするのでしょうか。
体育館の断熱改修は子どもから高齢者まで区民の命を守るために、「今、打てる手」であり、早急に行う必要があると考えます。伺います。
誠之小では、1期工事が終わったものの、教室不足で設置した仮設校舎は、エアコンが入っていても暑さで勉強に身が入らないとの声を聴きます。本校舎も階段の窓が全面ガラス張りのため廊下等の気温が非常に高く、教室は廊下より多少涼しい程度です。
深刻な暑さに対応できない設計が今後も続くのでしょうか。伺います。
また、無断熱の教室はエアコンの利きが悪く、学習環境の向上にはつながらず、上がるのは電気代ばかりです。無断熱の教室を抱える学校は小中それぞれ何校ですか、伺います。
学校改修に関連して。
小中学校の職員室は今やどこも手狭になり本来なら職員室で交わせる子ども関連の情報共有も難しい状況です。職員室はチーム学校の中核です。校舎内に比較的ゆとりのある中学校からでも職員室の改修に踏み出すべきと考えます。伺います。
また、誠之小は、1期工事が終わりすでに職員室は目一杯です。2期工事終了後には改善されるという認識でよいのでしょうか。伺います。
改築中の学校は、不登校の子どもの居場所となる「学びの架け橋」や、SSWの相談室等、これからの時代に適応するスペースを2期工事終了時には確保できるという理解でよいでしょうか。伺います。
11.教育長答弁
次に、学校施設の断熱化についてのお尋ねですが、
壁や天井の一部が断熱化されていない体育館は、小学校8校、中学校6校の計14校、教室棟は、小学校13校、中学校8校の計21校です。
学校施設の断熱化は、児童・生徒等の健康を守る点においても、また、省エネルギー対策としても、重要なものと認識しております。
そのため、本年度から実施している関口台町小学校の体育館外壁改修工事においては、外壁の高断熱化や断熱性の高いサッシへの改修などを行っております。あわせて、現在進めている増改築や、特別教室の改修では、断熱性の向上も設計の要件に含めて検討を行っております。
今後の学校施設の断熱化については、これら先行事例をふまえ検討し、増改築や改修・修繕等、学校施設の整備にあわせ、「文の京」総合戦略に基づき、計画的に進めてまいります。
なお、誠之小学校の仮設校舎は、空調機器を増強するなどの対策を行っており、階段室は、適宜日差しを調整できるようカーテン等の設置を予定しております。
次に、職員室の改修等についてのお尋ねですが、
より良い職場環境を確保するため、職員室等の改修が必要なことは認識しているところです。
現在、児童数の増加及び義務教育標準法の改正に伴う学級編制に対応するため、児童等の学習環境の整備を優先して進めているところですが、施設の状況や緊急度等を考慮したうえで、職員室の改修についても、順次検討してまいります。
また、改築中の誠之小学校については、2期工事竣工後、確実に普通教室が確保できるよう、地域の児童数の状況を注視してまいります。あわせて、教職員の職場環境についても適切に対応してまいります。
なお、並行して改築を進めている柳町小学校や明化小学校につきましては、学校等と協議の上、ワークスペース等、多目的に活用できる諸室を確保した計画となっております。
11.海津の考え
公共施設の断熱性や気密性を向上させることは、少なくとも平成22年、13年前から区の方針として決定していました。しかし、なぜ、これほど着手されてこなかったのか疑問です。
今後は高断熱化等をどのように進めるのか、委員会で質疑し、1校でも早く断熱改修が進むように英知を結集して当たっていただくように求めていきます。
また、職員室について、誠之小の2期工事竣工後、「適切」に職員室環境を整備できるということは、今のままでは想像が尽きません。そもそもが、各学年3クラス+少人数対応=4教室で設計されましたが、すでに5クラスの学年もあり、特別教室を転用しているほどです。
学びの架け橋やSSWの控室を、必要があるからこそ設置したはずのワークスペース等をつぶして確保しようとする考えにも違和感を覚えます。
現在、改築中の誠之、明化、柳町小については、2期工事中に図面の見直しをしていくことが不可欠だと思います。
12.中学3年生向け冊子「ForYourGreatFuture」の見直し
12.海津質問
中学3年生向け冊子「ForYourGreatFuture」は、初版からすでに8年が過ぎており見直しが必須です。
例えば、男子は「キスをしたい」「セックスをしたい」という自分の一方的な欲求を、相手にぶつけて傷つけないように注意しましょう」との記載は、既に7月から施行されている改正刑法では不同意性交等罪にあたり、明確な犯罪です。誤解を生じかねず改定が急務です。
また、中絶についてでは、人口妊娠中絶について外科的な手術の記載のみで、WHOが最も安全な方法として推奨している経口中絶薬の情報は書かれていません。
さらに、性感染症や中絶のリスクについての記載では、性行為そのものについての記載がなく、具体的な性知識は避けられた内容で、性暴力や人権侵害であり、妊娠にもつながる可能性があることが伝わりません。結果、性について書かれていないことで、性に関する悩みがあっても、「言い出しにくくなり」、性被害や性感染症等が深刻化してしまうことも想定すべきです。
「困ったら大人に相談しよう」という項目では、「あなたたちのことをいちばん大切に思ってくれているのはお父さん、お母さんです。困ったことがあったら、まずは親に相談しましょう。どうしても相談することができない場合は、学校の先生、養護教諭、または下記の専門窓口に相談してください」と書かれています。
相談のハードルをあげているとしか思えません。親との問題を抱えている等、家庭が安全な場所でない子どももいます。虐待をうける子どもは「大切に思ってくれている親だからこそ、自分のためを思って暴力等を振るわれる」と考えることすらありえます。
そうしたことも想像して考えられた文章でしょうか。大切なことは、「家族や周りの大人に相談できなくても、専門窓口に相談してください」と、伝えることです。
さらには、冒頭の「中学生のみなさんへ」と書かれたメッセージの中では、「いまの自分を大切にしないと将来パートナーとの間に赤ちゃんがほしいと思ったときに、なかなか赤ちゃんができずにつらい思いをするかもしれません」と綴られており脅しにすら感じます。
妊娠しないことには様々な要因があり、妊娠できないときに「自分が悪い」と感じさせてしまう可能性も否めません。削除すべきと考えます。
他にも、「性自認および性的指向に関する対応指針」を持ちながら、性感染症のイラストに示されるパートナーはすべて異性同士で、対応指針を理解した絵にはなっていません。
区長が願っているのは、思春期の体や栄養のこと等について、正しい知識を身につけ、心も身体も傷つくことなく健やかに育ってもらうことではないでしょうか。伺います。
修正をどのように実施し、中学3年生に配布するのでしょうか。
12.区長答弁
心身ともに大きく成長する時期である中学生が、思春期の身体や栄養のこと、妊娠や出産について正しく理解し、自分の健康を大切に考えることは、重要であると考えております。
本冊子は、子どもを望むすべての区民が、安心して子どもを産み育てられることを目指す、「ぶんきょうハッピーベイビープロジェクト」の一環として、中学生に知っておいてほしい知識や情報を分かりやすく伝えることを目的に、作成したものです。
引き続き、教育委員会とも協議しながら、時代や社会の変化に伴う表現方法や情報等の見直しを図ったうえで、区立中学3年生に配布してまいります。
12.海津の考え
区が中学生に知っておいてほしい知識や情報と、中学生が知りたいと思っている「最新の情報」に乖離があること。
また、担当課にヒアリングをすると、この冊子は「妊娠・出産」について知ってもらうのが目的だとのことです。が、「望まない妊娠」を避ける、そのときにどうすればいいのか、といった子どもの不安に、最新の情報も備えて応える冊子でなければならないはずです。子どもの視点にたった見直しが実施されるか注視していきます。
13.子どもを性被害から守るためには「教育」を
13.海津質問
インターネットの普及が進んだ現代において、特に子どもや若者が性に関する歪んだ情報や露骨な性的情報にさらされていることからも、子どもを性被害から守るための「教育」の役割が大きいと考えます。
今年度から正式にスタートした「命の安全教育」では「性犯罪の加害者にならない。被害者にならない。傍観者にならない」ことを目指しています
一方、現場の先生たちの中には「命の安全教育」を知らない先生もいます。また「性を取り扱い子どもに伝えるノウハウもない」ため、動画等の教材を流して終わり、といった内容に実効性への疑問の声もあります。
さいたま市は、学校で実施される「命の安全教育」は、「性交」については扱わないため、「充実した性教育とは言えません」と言い切っています。
そこで同市は、子どもや若者が人生で責任ある選択をするための、知識やスキルを学ぶことが重要とし、生殖器官や妊娠に関する教育だけでなく、性行為や避妊、ジェンダー、人権、多様性、人間関係、性暴力の防止等も含めた「包括的な性教育」の周知を市民に向けて努めています。
区長は、包括的な性教育の重要性をどのように認識されていますか。伺います。
子どもが包括的な性教育を受ける権利は、基本的人権の一つとされています。
予算の根拠ともなる総合戦略の主要課題である「人権と多様性を尊重する社会の実現」の中に、「包括的な性教育」について、子どもを含む区民への周知を明記することが重要だと思います。伺います。明記しない消極的な理由があれば教えてください。
13.区長答弁
UNESCO(ユネスコ)が定義する包括的性教育においては、性や生殖だけでなく、人間関係や人権、ジェンダー、暴力と安全確保、健康とウェルビーイングなど、8つのキーコンセプトを掲げ、性の多様性などについてより幅広く学ぶという、人権尊重を基盤にしており、その重要性は増してきているものと認識しております。
区では、「性と生殖に関する健康と権利」などに関し、男女平等センターでの啓発事業や、ピア・アクティビスト育成事業等を通じ、区民の学びの機会の提供に努めているほか、人権やジェンダー、多様性など、それぞれの視点で周知啓発などに取り組んでおり、「文の京」総合戦略においても、各施策において、取り組むべきものと捉えているところです。
包括的性教育に、区としてどのように取り組んでいくかについては、今後、総合戦略等への記載も含めて、研究してまいります。
13.海津の考え
子どもは、子どもの権利条約によって、子どもの社会面、精神面及び道徳面の福祉並びに心身の健康の促進を目的とした情報を「入手、利用する権利」が約束されています。つまり、子どもが包括的な性教育を受けることは権利として保障されていることです。
また、性被害を受けたときに、性教育を受けていなかったから「性被害を受けたのかさえ分からなかった」という事例もあります。
区として、一日も早く子どもたちに包括的な性教育を届けることを願っています。
14.性的な行為を目的に、子どもを手なずける「グルーミング」
14.海津質問
ジャニーズ事務所、ジャニー喜多川初代社長による児童への性的虐待の報道から、性的な行為を目的に、子どもを手なずける「グルーミング」が広く知られるようになりました。
性犯罪法の改正において、甘い言葉で誘ったり、脅したり等して会うことを要求したり、性的な部位を露出した姿等の写真や動画を撮影して送るように要求すること等を禁じる、いわゆるグルーミング罪が新設されました。
専門家は「子どもは性的な目的のために親切にされているかどうかを見極められない」。「加害者が、学校や塾、習い事の先生なら保護者からも信頼を集めるケースも高い」と指摘します。
子どもたち自身にはもちろんのこと、保護者もグルーミングについて広く知ることが重要とされています。
区在住のすべての子どもを加害者にも被害者にもしないため、グルーミングをどのように教えていくのか、保護者等に周知していくのか。伺います。
14.区長答弁
子どもや若者が性被害にあうことはあってはならないことであり、区では、男女平等参画推進計画において、子ども・若者に対する暴力の根絶に向けた4つの取り組みを位置づけ、各種啓発事業を行ってまいりました。
こうした啓発事業の中で、「グルーミング」に関しても、触れるべきテーマとして、今後、検討してまいります。
14.海津の考え
心の殺人ともいわれる性暴力。優しくし、信頼させ、その先で性加害を企てるグルーミングがあることを、子ども、保護者への理解・周知が急がれます。専門家と連携し様々な側面から、子どもにわかりやすい、伝わる言葉で伝えられているか注視していきます。
15.性教育、家庭格差を埋め子どもに情報を届けるために
15.海津質問
学習指導要領に「妊娠の経過は取り扱わないものとする」という一文があり、性交について教えることは、多くの学校現場で避けられています。
しかし、学習指導要領は、すべての児童生徒に対して指導する必要がある「最低基準」にすぎません。「各校でその必要性があると判断すれば、指導することができる」との見解を文科省は示しています。
ただし、児童生徒の発達段階を考慮すること、学校全体で共通理解を得ること、保護者の理解を得ること、との留意点が設けられています。
現在、文京区立学校において、性交についての学習機会がないのはなぜでしょう。
保護者の理解が得られないのでしょうか。
ちなみに、中学生学習指導要領解説では、中学3年生では、性感染症の予防において「コンドームをつかうこと等が有効であることを触れるようにする」とされています。
性交についての学習機会がなく、また、コンドームの使用が有効であることは教えるものの、コンドームの使用方法については教えることはない、というのが現状です。
性交についてまったく触れずに、子どもたちが理解できるのか大いに疑問を持ちます。
子どもへの性教育もまた、家庭によって格差が生じます。専門家は、「私たちには性を楽しむ権利がありますが、それにはリスクも伴います。年齢や気持ちに合わせて性を安全に楽しむためにはどうすればよいか、どのような情報が必要か」の教育の重要性を指摘します。また、同意とは何か、相手に愛情を伝えるための適切な触れ方について考えたりする教育は、加害を生まないようにするためにも役割としてあるとのことです。
区は、子どもを養育する家庭の生活実態、子育ての状況等を把握するために実施する子ども支援実態調査の中で、性交も含む包括的な性教育を義務教育の発達段階に応じて教えてほしいかどうか、保護者・子ども自身への質問を項目に加えてはどうでしょうか。伺います。
15.区長答弁
包括的性教育を義務教育に加えていくことは様々な意見があり、扱い方は慎重に検討すべきものであるため、現時点で、調査項目に加える考えはございません。
15.海津の考え
今回の区長の答弁には一貫性がありません。
次の質問の答弁では、子どもの意見を尊重することを重視しています。が、性交を含む包括的性教育には様々な意見があり、慎重にすべきだから聞かない、とのこと。矛盾しています。
様々な意見があるからこそ、当事者の声をしっかりと聴くのが重要であり、子どもの意見表明権の意味を理解した自治体と言えると思います。
*****
注)これは8月末に区に提出した質問文章で、この質問に対して答弁が作成されています。
本会議質問の折は、時間の関係で背景等は読み上げていません。
▼議会中継(録画)は以下からご覧いただけます
http://www.bunkyo-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=560
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