シリーズ6月議会一般質問~⑥区立中学校のあり方

11日の教育委員会定例会で、「平成27年度 体罰等の実態把握調査」の報告がありました。教育委員からは、教員による暴言も不適切な指導であり、体罰よりも軽く扱われていることへの危惧が指摘されました。

↓平成27年度 体罰等実態把握調査について
http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0112/6970/siryou_3.pdf
坪井節子委員から「子どもを否定したり、恐怖心を覚えさせるような指導は、心に傷を負わせるもので、体罰と同様」といった意見がなされました。
まったく同感です。身体に肉体的苦痛を与える体罰に対して、心に苦痛を与える暴言等は「不適切な指導」で片付けられ、体罰よりも問題視しない教育現場には私も強い違和感を持ちます。

↓体罰・不適切な指導の分類(最後のページ)
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/2016/pr160623a/besshi02.pdf

虐待には、肉体的に苦痛を与えることだけでなく、暴言や嫌がらせ、無視などによる苦痛も含まれます。 なぜ、教育現場は、体罰と心理的な苦痛を同様に問題視しないのか、大きな問題です。暴言に対して根絶しようという気概が伝わってきません。、

坪井委員からは、子ども達への質問項目についても改善するように要望がなされました。
「あなたは、今年度、先生、部活動の指導者、卒業生、上級生から、指導の際、くり返し傷つく言葉を言われる、机を蹴られるなどの精神的に苦痛を感じるようなことをされたことがありましたか」という設問に対し、「くり返し」と書かれていると、くり返し言われなければ、書けないように子ども達が感じてしまうかもしれない。
くり返しでなくても、一度でも大きく傷つくことはある。「くり返し」という言葉をぬくべきではないか、という指摘もあり、事務局からは都教育委員会に伝えるとの答弁がありました。

学校現場では、先生からの子どもに対する暴言は、けして少なくないと私は実感しています。
今回の調査では、

体罰、小学校2件・2校、中学校1件・1校
暴言 小学校4件・2校 中学校2件・2校

といった結果になっています。
しかし、私が保護者から相談を受ける件数からも、実態に見合った数にはなっていないように感じます。

どうしたら、体罰や暴言等の不適切な指導から子どもを守れるのか。
坪井委員の指摘を学校現場がしっかりと受け止め、調査で数字に表れない子ども達の傷を想像し、根絶に向けて前例に捕らわれない取組を進めてほしいと思います。
また、坪井先生が指摘されることを傍聴していて、子ども達の人権を守る教育委員会であることに安心感を感じた時間でもありました。あとは、事務局が子どもの人権をどう現場に落とし込んでいくかです。
文教委員会にも報告されますので、しっかりと審議していきます。ご意見をお寄せいただければ幸いです。

6月議会では教育長に対して、私立進学率が年々増えている文京区の状況として、区立中学校のあり方を質問しました。あわせてご意見をお聴かせください。

⑥ テーマ:区立中学校のあり方

【一般質問&答弁全文+視点】

▼Q:私立進学率が高まっている中10年後の区立中学校生徒数をどのように想定しているか?

区は中学校の適正な規模を生徒数300人としています。しかし、現状は私立進学率がさらに高まり6割にせまる勢いです。現実的に、300人規模に達しているのは10校中3校のみです。小規模校は小規模校の良さがありますが、自由選択制の中で各校が子どもを奪い合っている状況にも見えます。今後の文京区としての区立中学校のあり方について、見直しが必要な時期に来ていると考えます。
伺います。現在の人口動態や私立進学率の推移などから、10年後の区立中学校の生徒数をどのように想定されていますか。

▼A:南教育長

将来人口推計及び現状の区立学校への進学率から、3年後の生徒数は2,000人程度と現時点では予測しております。現在の幼児数が増加傾向にあること、また、ここ数年の区立中学校への進学率が横ばいで推移していることから、10年後の区立中学校の生徒数は、さらに増加すると現時点では推定しております。

▼海津の視点:

区立中学校10校の中で、受け入れ可能人数が各学年70人で、区が目指す300人を受け入れられない学校が8中、本郷台中の2校あります。10年後本当に生徒数が増加することを推定しているのであれば、8中、本郷台中の教室数確保のための施設整備計画を策定すべきことです。推定と計画のつじつまがあいません。

▼Q:平成26年に策定した「教育振興基本計画」における区立中学校のあり方を見直す時期では?

区立中学校のあり方を見直すことについての見解をお聞かせください。

▼A:南教育長

学校運営に適した学校規模については、平成26年3月に策定した「文京区教育振興基本計画」において、記載しているところです。現在の人口動態から、その方向性を見直す検討を行っておりませんが、区立中学校のあり方については、次期教育振興基本計画の改定において、検討してまいります。

▼海津の視点:

どの中学校も適正規模300人という考え方のままで良いのか、これからの時代の中学校のあり方としてふさわしいのかどうか。文京区の実態は、総生徒数53人の学校から336人の学校まで大きな幅ができています。適正規模300人を見直さないならば、現在、総生徒数53人の学校は「不適正」ということになってしまいます。小規模校だからこそ、自分らしく活躍する場を持てる子どももいますし、各学年3学級ある学校で自分に自信を深めていく子もいるでしょう。言うまでもなく、子どもの個性は十人十色です。
いじめや不登校の問題などを考えても、「自分に合った学校」に入ることが最初の一歩として大切な選択だと思います。多様な子ども達それぞれに合った選択の幅に答えるのも区立中学校の役割ではないでしょうか。

区長は2月の施政方針演説の中で、

「大学連携による不登校解消プロジェクト」として、区内大学等から、不登校対応事業への助言及び人材の供給を受けることに加え、不登校対応に関する研究成果を活用するなど、大学等との連携を強化することで、一人ひとりの児童・生徒に対するきめ細やかな対応力の向上を図り、不登校の解消を目指してまいります。

と語っています。
大学等との連携で得られる知見を、ぜひ区立中学校のあり方にも生かしていただきたいと思います。

いっぽうで、文京区議会は、「文京区として独自に小中学校全学年に35人学級制度の実施を求める請願」を採択しています。現場の先生方は35人学級の推進を切に要望しており、そうした声を受けて、全国都道府県教育委員長協議会・全国都道府県教育長協議会・全国市町村教育委員会連合会・中核市教育長会・全日本教職員連盟・全国知事会などから、「小学校1・2年生の30人以下学級、小学校3年生から中学校3年生までの35人以下学級編制の計画的かつ早期の実現に必要となる、財源確保及び法改正を速やかに行うべき」との要望が出されています。
http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0103/4345/seigan_33.pdf

35人学級が小中学校全学年で実現されれば、必然的にこれまでの「区立中学校のあり方」も見直す必要があるでしょう。すでに上述した請願を採択している以上、導入に先駆けて「区立中学校のあり方」自体を見直すべきです。いずれにしても、「適性規模300人」を想定した考え方と現実に大きな齟齬が生じている以上、「区立中学校のあり方」を見直す時期に来ていると強く感じます。

 

中学校

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