【待機児童解消】保育園増設と同時に「保育の質」の担保が不可欠
【乳児・1歳以上3歳未満児の保育の重要性】
- 0歳から2歳までは、自己が形成され、他者との関わりを初めて持つなど、子どもの心身の発達にとって極めて重要な時期。
- 3歳未満児の保育の在り方は、その後の成長や社会性の獲得等にも大きな影響。
- 海外の調査研究によれば、子どもの脳は生まれると同時に発達しており、幼少期から様々な脳機能を発達させる環境を充実させることが重要。3歳になるまでに、質の高い保育を受けた子どもは、そうでない保育を受けた子どもに比べて、知的能力と言語発達とで差が見られたとの調査結果もあり。
以上は、厚生労働省が開催した「社会保障審議会児童部会保育専門委員会第6回」の 「中間まとめ骨子(たたき台)」に記載されているものです。
こちら–> http://goo.gl/xIzMxH
この委員会は、3歳未満の子どもへの保育内容を手厚く位置づけることや、虐待防止に向けた取り組みなど、さらに保護者支援の必要性が高まっている社会状況等を踏まえ、より積極的な保護者支援の見直しなど保育所保育指針を平成30年度施行に向けて改定するために設置されたものです。
木曜日に開催された文京区「子ども・子育て支援調査特別委員会」で報告された「平成28年度保育園等入園状況」や「待機児童解消緊急対策について」では、この保育指針の改定を視野にいれて「保育の質」をどのように担保するか、という視点から審議しました。
平成28年度の待機児童は288人です。
認証保育所等で保育されている人数を加えると、699人。
認可保育園を新設し昨年より350人の定員増を図ってきたものの、過去最多の待機児童となっています。
また、待機となった児童の、主たる保育者の状況別の内訳でも66,9%が常勤であることなど、非常に厳しい状況です。
区は、2次選考で不承諾となりやむなく認証保育所等で保育されている人数も加えた699人を実質的な待機児童とする認識の基に、認可保育園の新設に力を注ぎ、来年4月には5園以上の開設を目指すとしています。
新規開設に際する学校施設の活用については、教育委員会と検討をしているとのことでした。
かつて、ある小学校に育成室の新設を検討した際、当該校の校長が首を縦に振らなかったことから、断念せざるを得ないことがあったと聴きます。
学校は校長の所有物ではなく区の財産であることから、どうしたらできるか課題を解決する知恵を絞ることを要望しました。
今後の待機児童の解消に向けた計画では、上記の通り、区も前提にしていくと言っている二次選考で不承諾となりやむなく認証保育所等へ通っている児童も含めて認可保育園を拡充して行くことが重要になります。
にもかかわらず、子ども子育て支援計画の受入数増大の確保策では、認証保育園や認可外保育園の定員数を入れており、矛盾するものです。
認可保育園を希望するすべての児童が入園できるようにする区の決意を見えづらくすることからも、改善する必要性を指摘しました。
保育の質についてですが、昨年度、ある私立認可保育園では、保育指針を遵守しているとは言い難い状況が実際にありました。ましてや、保育指針が改定され、これまでよりも3歳児未満の保育を充実する方針が示されれば、現場ではよりきびしく保育の質がもとめられることになるはずです。
小規模の保育園も含めた研修等を拡充し、保育指針に基づいた保育を実践することが非常に重要になります。
区立保育園への研修と同等に、私立認可保育園・家庭的保育所(保育ママ)等への研修も保証し、どの園でも等しく保育の質が担保されるような方策を拡充していくことを要望しました。
さらには、配慮を必要とする障害のある子どもの保育の質も重要です。
区内の認可保育園に在籍する児童(H29・4・1現在)3603人の中で発達障害・知的障害等々がある児童を約8%で計算すると、288人が在籍していることになります。
そうした子ども達に不適切な言葉かけや指導が重ねられれば、自尊心を育むことができないだけでなく、大人への不信感を持たせていきます。周囲の子ども達との関係性にも大きく影響がでます。
区立認可保育園は、区の児童発達センターから月に一回の巡回指導が行われ、障害のある子どもの心身の状況を把握し、保育者が理解し、適切に関わり、子ども達の中でしっかりと居場所をもって集団の一員として育てていけるように支援されています。
一方、私立認可保育園は、相談が来たら受ける、という明らかな差があります。相談は、保育者が気付きをもって初めて行われるものであり、気付かずに相談をしていない園では、適切な保育を受けられずに埋もれている子どもがいるかもしれません。
私立認可保育園に対しても、区立保育園同様に巡回指導を行う重要性を指摘し、実現に向けた検討を要望しました。
あくまでも、区立か私立かは区が振り分けていくことです。子どもへの保育の質に格差がないようにするのは区の責務だと考えます。
また、保護者支援も保育所に課せられていることから、ソーシャルワーカーや生活福祉課などと私立認可保育園が連携できる仕組みづくりも重要であることを伝えました。
虐待の第一発見者にもなる可能性が高い保育現場です。
区立・私立を問わず、子どもに接する保育士への支援は重要であり、保育の質に直結するものです。
子ども達の育ちは私たちの未来そのものです。
待機児童解消へ向けた保育所の新設と同時に、子ども一人ひとりが、その子らしく伸びやかに自信をもって、「明日が楽しみ」と待ち望めるような、保育の質をしっかりと担保するよう、議会としても区を応援していきたいと思います。
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文京区の区立保育園で、給食の調理業務を民間委託するという話があり、来年度から2園で実施することが決まったようです。
昨日、本日と保護者説明会がありました。
区議会の議事録を検索したところ、この件について審議された記録が見当たらなかったのですが、
区議会議員等の第三者の審議は通った上での決定事項なのでしょうか?
それとも、このような内容は役所側の判断だけで決定できる類のものなのでしょうか。
保育課からの説明は「既に民営化している他区で、大きな問題は起きていないから大丈夫」の繰り返しで、万が一問題が起きた場合の対策は「今後の検討課題」とのことでした。
民営化後も本当に質が保たれるのか、不安です。
コメントありがとうございます。ご心配はごもっともだと思います。
私も担当課から説明を受けたときには正直、大丈夫なのだろうか?との思いを持ちました。
説明会でも話があったと思いますが、保育園の給食担当を補充するときに実際に保育園で給食を作っていた担当を条件にすることが公務員の募集条件上できないこと等から、退職してしまうことが課題となり、退職していく職員の補充をできない、と分析していました。
当然、民間に委託してもそうした事態は起きるとも予測できることから、単純に経費節減が目的ではないのかとの疑念を持ちました。担当課としては、職員採用の条件に保育園での給食経験者を必須条件にするとの回答でした。
だとしても、公務員として一定の給与を保証されていながらも退職していく現状を考えると、経験があったとしても給与がそれに見合うものでなければ、継続は難しいのではないかとの疑問をも持っています。
担当課は、福利厚生も含めて仕事に見合う体制をとれるところに委託していくとのことでした。
また、ご指摘のように事故があったときに、どのようなフォローをしていくのか当然、悲観的に考えて最善を尽くせる体制を考えていかなければなりません。もちろん、事故がけして起きないようにどのように担保していくか。区直営でのレベルを落とさないようにするにはどうすべきか。
今回の給食委託については、今や区営よりも私立認可保育園が増えている現状からは、公立・私立を問わず、在園するすべての子ども達に安全な給食を届けるシステムを考えるより良い機会にしていかなくてはいけないと思っています。
担当課は、9月に区立認可保育園の保護者に向けてアンケートを行っていくとのことです。議会には11月議会に報告がなされ審議していくことになっています。
アンケートのお声を含め、どのようなシステムで給食を子ども達に届けるべきか。直営で給食を続けるにしろ、委託を開始するにしろしっかりと審議を進めたいと思っています。
食は子どもたちの健康、命を支えていくものです。
文京区内の保育園すべての園が「文京区モデルの保育園給食」をベースに給食を届けることにつながるようにしっかりと審議するチャンスと受け止めています。
そのためにも、さらに率直なご意見を頂ければ幸いです。