シリーズ6月議会一般質問~①防災

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このシリーズでは、文京区議会6月議会で、3日に私が一般質問した内容とそれに対する答弁の全文をテーマごとにご報告しながら、新たに私の視点やその後の進捗を付け加えて記事にしてお届けします。

① テーマ:防災

【一般質問全文】

熊本地震は、私たちに多くのメッセージを伝えています。日本には無数の活断層があること、日本全国どこでも大きな地震が起きる可能性があり、私たちは、ある意味それを覚悟して生きていかなくてはなりません。自分自身と大切な人たちを守るために、 「減災」に向けた「備え」を暮らしの中に「日常化」していくことが大切であり、それがすなわち「日本で暮らしていく」ことなのだと痛感しました。

 

最初に防災について伺います。テレビで防災の専門家が災害への備えとして「悲観的に準備し、楽観的に生活する」ことがだいじ、と語っていたのを聴いて強く心に残りました。

「起きないだろう」「大丈夫だろう」と楽観視するのではなく、「もしかしたら起きるかもしれない」と、あらゆるリスクを悲観的に想像して、そのリスクを最小限にするように準備しておいてこそ、安心して日常生活が送れる、ということだと思います。

▼Q:災害対策本部は15階ではなく低層階へ

熊本地震の震度7の激震のあと、急ぎ県庁にかけつけた熊本県総務部長・木村敬さんは、エレベーターが止まり、階段をかけあがりながら、最初の後悔をしたそうです。「なんで県の災害対策本部を10階にしたのか」と。熊本県総務部長の後悔は文京区にとって他人事でしょうか。

文京区の災害対策本部は15階という高層階に設置予定です。同じ後悔を持つと思えてなりません。

エレベーターは震度4程度で最寄り階にいったん止まり、自動復旧で動き出すこともあります。が、大地震の際には、確実にシビックセンター内の非常用を含むすべてのエレベーターが停止します。エレベーター管理会社の技術者の点検で問題ないと判断されるまで動かすことができません。

日本エレベーター業界(協会?)は、エレベーター復旧の順番を、最優先は閉じ込められている方の救出、次に病院や高齢者施設など弱者が利用する建物、その次に対策本部などに指定される建物と決めています。つまり、区役所のエレベーターはすぐに使えるようにはなりません。

エレベーターが使えない状況を想定して対策本部の場所を設置すべきです。15階まで歩きで上り下りをするというのでは、上り下りだけで疲れ果ててしまい、現実的ではありません。下層階に災害対策本部を移転させるべきと考えます。伺います。

A:成澤区長

災害対策本部の運用は、原則として、15階の防災センターにおいて行いますが、シビックセンターが何らかの理由で、一時的に使えない場合には、文京スポーツセンターにおいて、災害対策本部機能を補完することを想定しています。

また、現在策定中の「シビックセンター改修基本計画」では、シビックセンター低層階においても、本部機能を補完することを検討しております。

 

▼海津の視点:

本部機能を低層階に補完することは前進だと考えますが、そもそも日常でもエレベーターは待ち時間が長く、速やかに動くには課題があります。また、災害時に想定される15階の災害対策本部は11班もの人員が災害対応するには「狭い」というのが、実際に対策本部訓練をして参加者から聴かれる感想です。

シビックの大規模改修を機に、抜本的に広さも確保した災害対策本部を低層階に移転させることが災害時に被災者ともなる職員が、速やかに対応するためにも必須の環境整備だと考えます。

熊本地震で役所自体も被災し、災害対策本部の役割を初期から十分果たせなかったことは、大きな不安材料としてみなさんの印象に残っているのではないでしょうか?

 

 

Q:夜間や休日に緊急に駆けつける職員の想定は?

大震災が発生すれば、区民が被災者になるだけでなく、区職員も被災者となります。被災者でありながら住民への対応を頂くことは大変なご苦労になると思います。それだけに、人的な配置を様々な角度から想定して備えることが重要です。

夜間や休日は、本庁舎または地域活動センターから5キロ、通常であれば徒歩一時間圏内に居住する職員がまず、あらかじめ指定した場所に直接参集することになっていますが、夜間など停電しているときなどに速やかに参集することは、一時間では到底参集できないでしょうし、むしろ職員の命の安全にもかかわります。勤務時間外の夜間や休日など大震災が発生した直後の応急対策に最低何人の職員が必要なのでしょうか。また、3時間以内に参集できる人数は最悪何人になると見積もっているのでしょうか。

A:成澤区長

発災直後の応急対策に必要な人数は、被災の規模によっても異なりますが、勤務時間外に震度5強以上の地震が発生した場合、全職員が参集することとしております。

臨時災害対策本部編成員は、避難所等への配置も含めて、当初必要な508人で構成しているところです。

なお、平成25年に実施した調査では、3時間以内に参集できる人数を約500人と試算しております。

 

▼海津の視点:

職員自身が被災者となり、子どもや介護する家族もいるだろうことを考えた時に、3時間以内に参集できる距離であったとしても、500人が駆け付けられるという想定は、現実的ではないと言わざるを得ません。大切なことは、500人が駆けつけられないときに、どのように発災直後を乗り切るのかという想定であり、区民も含め様々な役割分担を検討していくことだと考えます。みなさんが避難所にたどり着いて心身ともに疲弊している時に、いち早く区職員が駆けつけて対応にあたってくれる安堵感はとても大きな安心材料ではないでしょうか?

 

Q:区内在住の職員を増やし発災直後の体制強化を

区在住の職員は保育職も含めて約300人の状況下では、発災直後からの体制のさらなる強化のため区内在住を増やすことは重要と考えます。伺います。

 

A:成澤区長

勤務時間外の発災時における初動態勢のさらなる充実のため、26年度から防災職員住宅の拡充を行い、本年4月1日現在、54戸の住宅を整備し、区内在住職員を増員したところです。

今後も、初動態勢において、拡充が必要となる場合には、人員の確保について検討してまいります。

 

▼海津の視点:

初動体制の拡充は必須です。区内在住職員を今後さらに増やしていくための検討を議会としてもぜひ提案していきます。いざという時に頼れる職員の方々が同じ区内に住んでいるということは心強いですね。

 

Q:災害時シビックセンターに取り残された方への備蓄を

災害が発生した折、シビック館内の来庁者がいることも想定しなくてはなりません。すべてのエレベーターが停止し、展望台のフロアに取り残される等の人々がいることも当然想定していなくてはいけません。各フロアに災害用のトイレや水等の備蓄を配備していく必要があります。来庁者の安全と災害時の備えはどのようになっているのか。伺います。

 

A:成澤区長

大規模な地震発生時には、安全を確保した上で、来庁者を徒歩により1階まで誘導することとしており、長時間にわたり、各フロアに多くの来庁者が留まることはありません。

その後、帰宅困難となった方々には、必要に応じて、低層階のシビックホール等を順次ご案内することとしております。

なお、シビックセンターにおいては、飲料用上水、トイレ用中水とも、それぞれ受水槽等に平常時利用の場合の1日分に相当する水量を保有しており、断水時には、この利用が可能となっています。

また、簡易トイレ等は地下3階及び15階に備蓄しており、被災状況に応じて他のフロアに配備していくこととしております。

 

▼海津の視点:

高層階には高齢者も車イスの方など様々な方々がいることを想定しなくてはなりません。そうした方々を余震がいつくるかもわからない中、階段で低層階のシビックホール等に誘導することが現実的で安全を確保することになるのか??疑問が生じます。再考し、来庁者が少しでも不安を持たずにエレベーターの再開を待つなどの選択肢を持てるように備えるべきです。

 

Q:誠之小学校の改築における避難所としての設計は?

災害時には学校の早期再開も大きな課題です。学校と避難所エリアを明確に分けることが求められています。避難者が過度なストレスを受けないよう、良好な居住性の確保も必要です。

現在、設計が進む誠之小学校は、防災の専門家から具体的にどのようなアドバイスを受けているのでしょうか。また、実際に避難所となった折のことを想定した避難所運営ゲームをPTAや保護者、設計者などが加わり避難所となった折の視点ももって設計をチェックできることが重要と思います。いかがでしょうか。

 

A:南教育長

すでに、誠之小学校の設計に関するプロポーザルの提案において、避難所機能の向上に対する考え方が示されていることから、防災の専門家から具体的なアドバイスは受けておりません。

具体的には、避難所の滞在時の生活空間の質の向上のため、高齢者、乳幼児等、避難者の特性により滞在空間の棲み分けを行うことや、避難所の運営と学校の早期再開のため、避難所エリアと地域利用エリアを一致させるとともに、避難所エリアを体育館側に集めることで授業の早期再開を実現するという考え方に基づき、設計を進めております。

今後詳細な設計を進めるにあたり、設計者、学校、地域関係者、関係する区長部局及び教育委員会が連携して、避難所運営ゲームなどの活用の検討も含め、避難所となった場合の視点から安全性及び利便性の高い学校づくりに努めてまいります。

 

▼海津の視点:

学校の建築に避難所機能の向上が求められる中、なぜ 防災の専門家のアドバイスを受けずに、ある意味、素人だけで設計していこうとするのか理解しかねます。

教育委員会は、学校現場で子ども達に 問題解決をするために様々な人たちと繋がる重要性を伝え ています 。にもかかわらず、自らは専門家とつながることを避ける理由がわかりません。多額の税金を使っての建設です。避難所生活の長期化は十分に想定されます。 よりストレスを軽減し得る環境 の提供が望まれている中、それを実際に機能するような形にするには専門性が不可欠です。是非、防災の専門家に参画してもらい建設することを強く求めます。

 

Q:課題のある学校の解決策は?

現状の学校の中には、学校と避難所エリアを分けるのが難しい学校があります。どの学校に課題があると認識されていますか。そうした学校での早期再開、避難所運営の課題を、解決に向けてどう計画されていますか。伺います。

 

A:成澤区長

避難所の開設にあたっては、地域住民、学校関係者、区職員からなる避難所運営協議会が、学校施設の安全性を確認したうえで、災害対策本部の指示の下、避難所を開設することとなっております。

被災の規模と発災からの時間経過等により状況が異なるため、避難所のためのスペースと、学校教育機能を維持するためのスペースをどのように区分するかについての課題は、どの学校においても起こり得るものと考えます。

また、学校関係者と避難所運営協議会とで、学校の早期再開に向けて、課題を整理し、解決に努めてまいります。

 

▼海津の視点:

学校の早期再開時に避難所とのスペースを分けづらい学校設計が確実にあります。早急に課題を整理して区民にも明らかにするとともに、防災の専門家の知見をかりながら、いつ起こっても不思議ではない大震災に備えるべきです。多様な区民のみなさんの視点も必要ではないでしょうか?

 

Q:子どもたちの心のケアと遊びの確保を

家族以外の人たちとの共同生活で我慢することが多い避難所生活の長期化や、収まらない揺れでストレスを積み上げる子ども達がいます。そうした子ども達への心のケアは災害対策として欠かせません。そのために、避難所の中に子どもが「遊べる」空間をしっかり確保する視点も重要とされています。避難所の中でどのように遊びを担保していくのでしょうか、お考えをお聞かせください。

 

A:成澤区長

大きな災害時には、子どもたちも様々な困難に直面するものと認識しております。遊び場の確保は、子どものストレス軽減の一助になることから、その方法について、検討してまいります。

 

▼海津の視点:

遊び場の確保と共に、どのような遊び、その折の対応などを検討して、避難所運営の中ではもちろんのこと、子どもに関わる様々な団体に協力を得られるように協定を結んでおくことも重要だと思います。

 

Q:避難所以外の公共施設でも遊びを可能に

避難所の中だけでは限界があります。図書館、児童館などの公共施設で、区民のストレスを軽減させるための役割を防災計画に織り込むべきと考えますが、いかがでしょうか。

 

A:成澤区長

「地域防災計画」では、心身の健康対策として、保健師等による保健活動、メンタルヘルスケア等を実施することとしております。

公共施設の利用については、「事業継続計画」の優先順位を考慮した上で、対応可能な状況であれば、災害時の区民のストレス軽減につながることを考慮し、施設の安全性や体制等を確認のうえ、状況に応じて対応してまいります。

なお、職員のストレス軽減についても大きな課題と認識しており、今後、適切な対応策を検討してまいります。

 

▼海津の視点:

どのような役割を持つべきか、平常時に検討し、意識して区民のストレス軽減に向けて公共施設を存分に活用するように計画しておくことが重要かと思います。また、職員のストレス軽減への課題には、被災した自治体から聞き取りを丁寧に行い、現実に即した対応策を練ってもらいたいです。

 

Q:親へのケアや虐待も含めた子育て支援計画は?

被災により親がPTSD【心的外傷後ストレス障害】となると子どもの心にも大きく影響するとの指摘があります。一時預かりを早期に再開し親が休める環境の整備も重要です。虐待された子どものケアや虐待の心配のある家庭への支援も忘れてはならない視点です。災害時の子育て支援についてどのように計画されているか、伺います。

 

A:成澤区長

「事業継続計画」において、子ども家庭支援センターの総合相談事業を「非常時優先通常業務」と位置付け、子どもと家庭の相談、児童虐待への対応を行うこととしております。

 

▼海津の視点:

「非常時優先通常業務」と位置付けるのであれば、子も親も平常時よりもさらなるストレスにさらされる状況を想定すると、現状でも職員ひとりあたり110~140程度の家庭の相談や支援に追われている状況を考えると、さらなる職員の増員は必須と考えます。

 

Q:迅速なり災証明発行のための職員確保は?

詰めかけるり災証明を求める人たちへの迅速な対応も大きな課題です。罹災証明を求める人たちに対応する人員は何人ぐらい必要だと試算されていますか。そのうち、区職員での対応はどの程度できると考えているのでしょうか。

 

A:成澤区長

り災証明書を発行するための主な業務として、被災度判定調査、調査結果のデータ化等がありますが、被災状況によって、り災証明書をすべて発行するまでの期間が大きく異なるため、必要とする人員の試算はしておりません。

 

▼海津の視点:

文京区は防災計画の中で、首都直下型地震等による建物の被害想定もしています。にも関わらず、必要とする人員の試算を行っていないのは、被害があってから人員を考えるという「行き当たりばったり」の計画としか思えません。

 

Q:他自治体との災害協定に応援人数を

不足する人数を想定し、災害協定を結ぶ自治体等に対して、り災証明発行のための応援人数を具体的に入れ込み協定を結び直しておくとよいのではないでしょうか。そして、双方で、り災証明の発行を速やかに行える人材育成を行っていくことも必要だと思います。

 

A:成澤区長

区での、り災証明発行業務は「災対区民部」及び「災対復旧部」の職員、約140人で対応いたしますが、不足する場合には、区内部での調整を図るとともに、必要に応じて、区が災害協定を結ぶ自治体のほか、広域連携をする自治体に対して都を通じて、人員の確保を要請することとしております。

また、都が、「り災証明発行システム」を活用した訓練を実施する際に、職員を参加させているほか、防災フェスタにおいても証明発行訓練を行うなど、人材育成に努めております。

 

▼海津の視点:

り災証明発行に必要な人員数を試算し、区職員ではまわらないことを当然視野に入れ、災害協定を結ぶ自治体と、災害時には速やかにり災証明発行の為の人員を派遣してもらうことは、区民が一日も早く安心した生活を取り戻すためには不可欠な施策のはずです。被災者にとって、生活再建を考えられるようになるかどうかは、被災から立ち上がる大きな材料です。双方にとって有益な協定となるはずなのになぜ、検討すらしないのか、区民の生活に思いを馳せているのか理解しかねます。

 

Q:福祉避難所への応援人数も

福祉避難所の職員の応援等、必ずや必要になるだろう応援要請の人数を想定し、協定に盛り込んではいかがでしょうか。伺います。

 

A:成澤区長

被災状況により災害対応に必要な人員が異なるため、災害協定を結ぶ自治体との間における協定に、あらかじめ応援を求める人数を盛り込むことは考えておりません。

 

▼海津の視点:

災害対応に必要な人員を試算し、事前に協定の中に応援要員を盛り込むことは、被災者だけでなく職員のストレス軽減にも直結するものであり、当然、検討すべき内容ではないでしょうか。

 

Q:仮設住宅の想定は?

仮設住宅の建設場所も大きな課題となっています。教育の森など公園8カ所を仮設住宅の建設予定地としていますが、区として震災時に仮設住宅、みなし仮設住宅も含め、何戸を用意する必要があると試算されているのでしょうか。安心して住める家の提供に向け、熊本地震を経てどのように計画されていくか伺います。

 

A:成澤区長

都区等が実施する住宅の被災度区分判定の結果に基づき、区の申請の下、都が仮設住宅の計画及び設置を実施するため、区において、仮設住宅の具体的な戸数は想定しておりませんが、都と連携しながら、広域的な仮住居の案内を含め、安心して暮らせる場の確保に努めてまいります。

なお、東日本大震災の発災後と同様に、今回の熊本地震においても、本区での被災者の受け入れについて対応中でございます。

 

▼海津の視点:

建物の被害状況を想定しているのですから、現状の仮設住宅設定箇所で足りるのかどうかを試算し、都の判断を仰ぐにしても、区内で対応できる場所をできるだけ拡充する計画を建てるべきではないでしょうか。

文京区として東日本大震災、熊本地震の被災者を受け入れたように、防災協定を結ぶ自治体に対して、文京区の被災者を受け入れてもらうための具体的な協定も検討すべきと考えます。

 

Q:活断層の可能性もある柳町小学校の建て替えは?

4月に開催された文教委員会では、柳町小の建て替えは活断層の可能性も視野にいれ、防災等の専門家に参加してもらう要望が様々な委員から出されました。しかし、教育委員会は、専門家を加えて検討するということについて明言は避けられました。

熊本地震のような2回の震度7の地震に耐えるには現行基準の約1.5倍の強度が必要との研究も発表されています。

伺います。悲観的に考え、活断層の可能性も視野にいれて、より強固な耐震性に向けた検討が必要と思います、協定を結ぶ東京大学の地震研究所の専門家にも検討委員会に参画していただき、より安心感のある学校建設のあり様を探るべきではないでしょうか。見解をお聞かせください。

 

A:成澤区長

すでに学校施設の建築においては、耐震安全性を確保するため、通常建物の1.25倍以上の重要度係数を確保することとして、耐力の割り増しをした設計を行っております。

柳町小学校の改築につきましても、引き続きこうした考え方に基づき設計を行ってまいりますので、防災等の専門家の参画につきましては考えておりません。

なお、熊本地震による建築物の被害状況等の調査・分析をすでに国が中心となり行っているため、この検討の動向を注視し、適切に対応してまいります。

 

▼海津の視点:

東京都の活断層の情報ページには各自治体が活断層を調査していることも明記されています。必ずしも国の動向を待つ必要はありません。まして、学校建築が通常建物の1.25倍の強度であっても、熊本地震では現行の1.5倍が必要との研究発表がなされている以上、耐震性にむけては専門家の知見を活かして建設することに前向きにならない理由がわかりません。そもそも、なんのために東大と災害協定を結んでいるのでしょうか。そこには当然、有識者の知見を活かす目的があってのことではないでしょうか。

 

Q:政府の一斉帰宅抑制方針に沿った備蓄等は?

政府は、首都直下型地震に備える応急対策活動計画の中で、最大72時間は職場や学校、官民で設ける一時滞在施設などにとどまるよう一斉帰宅の抑制を徹底する方針を明確にしました。

熊本地震の事例からも、帰宅に際しては慎重を期すことが必須です。しかしいっぽうで、子どものことを考えれば一刻でも早く帰宅させたいという思いが生じるのも当然です。

これからの学校・保育園・幼稚園等は、「あそこなら安心」と思えるように、施設の安全性はもとより備蓄も十二分に備えていかなくてはなりません。しかし、今の備蓄はまだ子どもの一日分があるかどうかです。物資の輸送が滞ることも十分にあり得るだけに早急な対策が必要です。

建て替える学校に子ども達に3日分の食糧、水を備蓄できる倉庫を備えることはもちろんのこと、建て替えをしない学校。保育園、幼稚園にも十分な備えができるように備蓄倉庫を拡充すべきと考えます。また、児童生徒が72時間、帰宅せずに学校に留まる中で避難所が開設されていることも想定する必要もあります。どう検討されていますか。課題は何がありますか。伺います。

 

A:成澤区長

学校や保育園、幼稚園では、子どもたち用の非常食を1日分備蓄しており、学校等を建て替える際にも同様に考えております。

発災後2日目と3日目分の避難者等に対する食糧は、「東京都地域防災計画」において、都と区が連携して確保に努めることとしており、その一部は、区内11か所の備蓄倉庫に備蓄しております。

災害時の食糧の確保は、極めて重要であることから、引き続き、都区間で課題の整理を行う必要があると認識しております。

 

▼海津の視点:

都と区が連携してさえ輸送路が思うようにいかないことも当然想定すべきです。なおかつ、子どもを迎えに来た保護者がそのまま帰宅するということが本当に安全なのかどうか、もう一度再考する必要性を熊本地震は防災計画に投げかけています。

 

Q:避難所を利用できず福祉避難所を必要とする人々は?

熊本地震でも障害のある人や子どもや認知症の方と家族が「避難所では迷惑がかかる」と車の中や崩壊の危険が高い自宅に戻って生活を続けている方などの報道がなされています。

避難所に居場所を持てずに福祉避難所を必要とする区内の人数を現状で何人と見込んでいるのでしょうか。その方々の避難先をどういった形で整備していくのでしょうか。

 

A:成澤区長

福祉避難所への避難者数は、災害の種類と規模、発災の時間帯等にもよりますが、首都直下地震等による被害として、概ね1,000人程度と仮定しております。

今後、避難行動要支援者名簿に基づき、個別計画を策定していく中で、その人数を精査してまいりたいと存じます。

また、新たに整備する特別養護老人ホームや介護老人保健施設を、福祉避難所とする協定の締結について協議を進めるとともに、福祉避難所がその機能を果たすことができるよう、人の確保も含めたソフト面の対応を検討してまいります。

 

▼海津の視点:

1000人を収容する福祉避難所の整備を進めていくことは非常に重要ですが、施設計画上まだまだ難しい現状があることを考えると、一般の避難所の中で福祉避難できる場所をしっかりと確保することも今後重要だと思います。

 

Q:支援を必要とする人たちの避難所での課題は?

支援を必要とする人たちも避難所で安心して過ごせるようにすることが基本と考えます。地域の避難所の中で、何が現状では足りないのでしょうか。ハード面、ソフト面をどのように分析し、今後、どう解決されていくのかお考えをお聞かせください。

 

A:成澤区長

避難所の課題については、ハード面では、要配慮者等の避難スペースの確保などの点が、ソフト面では、介助者の不足などの点があると認識しております。

今後も、避難所運営に配慮するとともに、「災害時専門ボランティア制度」の充実などを図り、これらの課題に対応してまいります。

 

▼海津の視点:

ソフトとは、人員の確保だけではなく、人々の意識に目を向けることです。価値観や生活スタイル、境遇等も様々に異なる人どうしが互いに理解し合い、冷たい視線や心無い言葉を投げかけることなどがないよう、お互いを尊重しあって過ごせる環境づくりのために何ができるのかを考える視点が必要だと思います。

例えば、幼児期から障害の有無に関わらず共に過ごし、適切な支援や配慮によって、そこに居場所をもち、誰もが過ごせる体験の積み重ねが大切なのではないでしょうか。

 

Q:災害時のパソコンの電源確保は?

防災に関しての最後に、非常電源も落ち、パソコンの電源が全館落ちた時の想定は当然、必要です。どのように対応されるのか、伺います。

 

A:成澤区長

パソコンについては、災害を含め、不測の事態に備えて、日頃からデータのバックアップを行っております。

また、シビックセンター内の非常用電源については、「非常時優先通常業務」へ3日分の電源供給が可能ですが、更なる災害時の電源確保の拡充に向けて、非常用電源の増設を検討しております。

 

▼海津の視点:

バックアップのデータが機能するかどうかの点検も怠りなく備えてほしいと思います。

 


6月8日に開催された災害対策委員会では、一般質問に対しての答弁を受けての審議も行いました。

その中で、り災証明の発行を試算し、必要な人員を想定して、事前に災害協定を結ぶ自治体に対してり災証明発行のための応援人数を織り込んでいくことを再度、求めましたが、試算は難しいとの見解でした。

しかし、文京区防災計画で「『首都直下型地震等による東京の被害想定』における文京区の被害想定」を以下のように想定しています。


想定地震を、区部に大きな被害をもたらす「東京湾北部地震(首都直下地震)」とし、「マグニチュード7.3 震源の深さ約20~30km冬の夕方18時発生   風速8m/秒」を前提条件に設定しました。

 

区の被害想定
区分 被害想定
建物被害 全壊 3,602棟
火災 焼失棟数(全壊建物含む) 2,443棟
人的被害 死者(合計) 253人
ゆれ等建物被害 185人
火災 59人
負傷者(合計) 4,217人
ゆれ等建物被害 3,815人
火災 232人
その他 災害時要援護者死者数 81人
避難所生活者 40,213人
帰宅困難者 131,632人

 

 

以上の想定は、「悲観的に憂い、楽観的に生活する」ために様々な物事を備える前提となるものです。

その中でも、り災証明書の発行は、被災者が生活再建へ一歩を踏み出せるかどうかに深く関係する必要不可欠のものです。

迅速なり災証明書の発行に必要な職員数を試算し、他自治体への応援人数も事前にお願いをしておく。当たり前の備えです。

引き続き、災害協定に応援を具体的に盛り込むことを求めていきます。

 

議場

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