設計変更出来るのにしない文京区 「医療的ケア児は排除」宣言か!?
障害者計画や子育て支援計画で定められている各種制度やサービスを、障害の有無や程度、医療的ケアの内容を問わず、すべての医療的ケア児者が他の健常児者や障害児者と等しく利用することを保障すること。また今後新たな制度やサービスが構築される際には、医療的ケア児者による利用も前提とすることをお願いします。
今年の6月、区内の医療的ケアを必要するお子さんがいる保護者の方々から、文京区に出された要望のひとつです。
【文京区子育て支援計画・主要項目】
- 子どもの健やかな成長の支援
- 子どもの生きる力・豊かな心の育成
- 地域社会全体で子どもを育む体制の構築
- 子育てと仕事の両立支援
- 子育ての心理的・経済的負担の軽減
- 子どもを守る安全・安心なまちづくりの推進“
保護者の方々は、なぜ文京区に要望したのでしょうか?
それは、上記の子育て支援計画の事業に医療的ケア児とその保護者が想定されておらず、置き去りにされている思いを強く抱かれたからこそのことです。
具体的な要望の内容は以下の通りです。
- 乳幼児期から障害や医療的ケアの有無に関わらず他の児童と共に育ちあう場として、区立の保育園、幼稚園、小中学校への入園・進学の機会を拡大してください。
- 就労を希望する保護者のために、未就学の医療的ケア児を長時間預けることが可能な施設を、区立保育園も含めて整備してください。
- 新たな施設やサービス等を構築する際、医療的ケア児者も利用することを前提に設計してください。
子どもを育てる中、親とすれば、ごくごく当たり前の願いばかりです。
しかし、区の回答は、
医療的ケア児に対応した施設や、預かりも含めたサービス等の支援体制が不足している事から、利用者の方々には不便をおかけしているのは認識している」としているものの、「受け入れにあたっては、職員配置・保育士の研修・設備の整備等の課題もあることから、園運営の中で総合的に対応していく
と、まるで園まかせです。
人工呼吸器等を必要とするお子さんなど、一定のスペースを整備しなければ安全面の課題が生じる可能性があるケースでは、実質入園できないということです。
先日11月21日、文京区議会本会議で成澤区長に質問しました。
区長の答弁も含めて、以下に医療的ケア児に関するやり取りの全文を記載します。
1 医療的ケア児のための基礎的環境整備を
障害者差別解消法が施行されて、自治体は、どのような障害のある子どもも希望があれば、保育園等に受け入れ、障害を理由に断ることは差別にあたるとされています。
世田谷区では、人工呼吸器や経管栄養やたん吸引等々を要する医療的ケアが必要なお子さんの保育園入園のために園全体の定員を減らしてまで、基礎的環境整備を進めています。伺います。
- 医療的ケア児の区立保育園への入園希望があったときには、世田谷区のように定員を減らしてでも合理的配慮のための環境整備を進める、過重な負担がかかるからと入園を断ることはない、との認識でよろしいでしょうか。
- 【成澤区長】医療的ケアの必要性を理由に、保育園を子どもの発達の場としての選択肢からはずしてはならないと認識しております。 医療的ケア児の受入れにあたっては、安全・安心な保育環境と協力体制が不可欠と考えております。子どもの生命に関わることもあるため、対応については、個々の状況に応じ、慎重に判断してまいります。
文京区は、医療的ケア児ひとりを受け入れているものの、寝たきり医療的ケア児に対してはまだこれからです。建て替える青柳保育園の現状の設計は、部屋の配置を変更することによって、そうした子どものための部屋を整備することが可能です。そのことは、私たち会派としても再三指摘してきました。ですが、区は、「ここまで進んでしまったから」「ここまで積み上げてきたことだから」との理由で、医療的ケア児のための基礎的環境整備をしないまま着工しようとしています。部屋の配置を変えれば整備できることをやらない。それでは、区が「医療的ケア児を切り捨てる」と宣言していることと同じです。
だれも排除することのない子育て支援こそが、文京区の理念であるはずです。職員行動指針で示されたスピリット「区の代表として本気で区民と向き合います」はいずこへ行ってしまったのでしょうか。伺います。
- 合理的配慮のための施設整備は、後から改修するよりも、新築時に整備するほうが、他の児童への影響も小さく、費用としても安価で、合理的です。青柳保育園の部屋の配置を変えればできる医療的ケア児の基礎的環境整備を行わず、現設計のままでいくのでしょうか。
- 【成澤区長】青柳保育園の設計については、限られたスペースの中で、よりよい保育ができるよう、関係部署間で協議を重ねてまいりました。また、保護者への説明と理解を得て、決定したものであり、部屋の配置等を変更する考えはございません。 なお、医療的ケア児の保育については、子どもの状況に応じた保育方針、職員の連携、保育の中での工夫、保育環境の配慮等により対応してまいります。
医療的ケア児の保育については、子どもの状況に応じた保育方針、職員の連携、保育の中での保育環境の整備が必須です。だからこそ、世田谷区では、定員を減らしてまで医療的ケアを必要とするお子さんが安全に安心して過ごせる環境整備を行っているのです。
医療的ケアを必要とするお子さんであっても、同じ年齢の子ども達や先生たちにたくさん出会う。そんな子ども時代を過ごせるように、環境を整備するのが区の仕事、責務です。
「すでに青柳保育園の保護者には、医療的ケア児のための部屋を整備しない状況で説明したのだから、今更変えられない」と、保護者の理解を得られないことに理由をすり替えているかのような答弁にも聞こえます。医療的ケア児の親になることはだれにでも起こりえることであり、きちんと説明さえすれば、保護者の方々がそのことを理解しないとは思えません。
また、どの施策にも共通する区の仕事のしかたに特徴的な「すでにここまで進んでいるから」「スケジュールが遅れるから」と、問題を指摘しても、一度決めてしまったことを軌道修正しない組織の体質に関して、以下のように自席から発言しました。
「スケジュールが遅れるから、問題が発覚しても軌道修正しない」、本件に限らず、まるで免罪符のようにあちこちの場面で使ってらっしゃるご自覚はおありでしょうか? 途中工程で新たな問題の想定が見つかったならば、速やかに対策なり軌道修正を行い、プロセス全体を見直し、再度スケジュールを最適化する。問題となる、すなわち区民の不利益を未然に防ぐことは区の責務です。完成後に改修や追加工事を行うことは、税金の無駄遣いであるだけでなく、そのような区の仕事の仕方の悪しき伝統を繰り返すだけです。真に区民の最善の利益にかなう仕事の仕方へと、区長のトップダウンで改革して頂くことを切に願っております。
専門家のアドバイスも参考にして私なりに配置変更した変更案のメモです。環境整備は可能です。↓
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我が小学校にもエレベーターがありません。以前、エレベーターの設置をお願いしたところ、作る場所がないと返答がありました。丁度、大規模回収の最中でしたが、やはり、最初から設置するつもりはなかったのだと思いました。学区域内に車イスに乗った小学生くらいの児童をみかける度に、エレベーターがあれば、学校に来れるのになとおもいます。医療が必要な児童も常勤の看護師を配置してくださればとおもいます。
まったくご指摘の通りだと思います。避難所にもなる学校でしかも、体育館が二階にあったりするのですから、当然、エレベーターの設置を考えるべきですよね。
そもそも、教育委員会だけに限らずですが、文京区の体質を見ていると、リニューアルするときに新たに付加価値をつけるという発想が実に乏しいと思います。その地域にある課題を、リニューアル時に解決するという、自治体として持つべき当たり前の視点に欠けているのが、もったいなくて仕方ありません。