保育・介護の人材不足~低賃金の改善をはじめ あらゆる具体策の実行が急務

「求人しても問い合わせすらなくて、結局、給料を7万円ほど上げたところ、やっと応募があって人材を確保できた」

あるマンション管理会社が管理人を採用する際のエピソードです。

 

需要があっても人が集まらないのは、保育士や介護人材の問題だけではないことがわかります。

上記の会社は、給料を上げることで人材を確保しています。

全産業の平均賃金33万円に対して、保育士で月約10万円、介護職で約11万円低いとされています。

保育や介護の現場の人材不足を解消するために、平均賃金を上げることが喫緊の課題であることは、もはや多くの方の共通する認識でしょう。

 

文京区内の認可保育園や高齢者施設でも、人材確保に四苦八苦しています。

かつて区立保育園で保育士をしていた方が、私立認可保育園の保育士募集の話を聞きに行ったが、責任に見合う給料ではなく、公立と私立の違いに愕然とした、という話をお聴きしました。

また、高齢者施設では、人手不足とは言っても誰でもいいというわけではなく、向き不向きもあることから、やっとのことで得た応募者にもかかわらず面談するとお断りせざるを得ない、ということがままあるそうです。

 

文京区は今年度も、私立認可保育園、高齢者施設の増設に向けて積極的に動いていく方針ですが、そこでも障壁となるのは人材の確保です。

区としても一定の処遇改善策を打ち出してはいるものの、現実的には、保育士・介護職の人材確保が難航する状況が続いているだけに、さらなる処遇改善に向けての施策が必要となっています。

ちなみに、先日、礫川公園内に開設した春日臨時保育所でも保育士の確保が難航したと聞いています。

 

区内の育成室の課題もあります。

国の省令基準では、学童保育の定員は「おおむね40人以下とする」と定められ、文京区が条例で定めた基準も「おおむね40人以下」となっています。

文京区は、緊急的に定員を増やして待機児童をできる限り増やさない状況にしてきていますが、それが日常的になり、児童数が定員をオーバーした状態のままの育成室が多々あり、保育の質へのマイナス影響が懸念されています。

 

昨年9月時点で、区内の育成室33室中児童数が45人以上となっている育成室が17室あり、このうち10室では50人を超えています。

せめて一割増の44人以下となるような速やかな改善を行うためにも育成室の増設は必須です。

さらに、増設を計画する上では、認可・認可外保育園の在園児童と、幼稚園の「預かり保育」を利用している児童の数をベースに、今後の人口動態も考慮して、44人定員の育成室であればどれくらいの数が必要かを、推計して対応すべきと思います。

 

また、必要な数とは別の課題もあります。

区の方針では、新たに育成室を増設するときは民間委託になっています。

民間となるとまた、低賃金の問題などによって人材確保が難航している現状があります。

委託のあり方について、あらためて考えていく時期でもあると思っています。

 

 

「子育てと仕事の両立」「家族の介護と仕事の両立」「子育てと同時に家族の介護、そして仕事との両立」・・・等々、区民が必要とする施策は待ったなしです。

今、まさにこの瞬間にも多くの方々が直面している日々の暮らしの問題であり、また、経済的にも生活の根幹を支える根源的な課題であると言えます。

それだけに、少しでも不安のない暮らしをサポートするために、国や自治体があらゆる手立てを工夫し、もっとスピードを上げて実効性のある具体策を実行していくことが求められます。

 

いずれにしても、前例や慣習にとらわれず、実効性を重視して、様々な観点から知恵を絞って改善をしていきます。是非みなさんのアイディアも教えてください。

 

ご参考までに、3月に一部改定した「子育て支援計画」がこちらです。↓

http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0109/3071/zigyokeikaku201603.pdf

 

こちら↓は毎日新聞全国アンケート”在宅介護 疲れ果て「一緒に死のう」2割が殺意、7割「限界感じた」”

http://mainichi.jp/articles/20160404/ddn/001/100/004000c#cxrecs_s

 

在宅介護 アンケート

 

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