一斉登校時1クラス30~40人全員でも身体的距離は確保できる!?~最低1mの基準は「口(クチ)」?

本日の本会議で、私が行った一般質問に対する区長・教育長の答弁には、改善を求めていくべき内容が多々ありました。 

そのひとつが、成澤区長に、緊急事態宣言下で実施した施策をどのように評価し、検証するのか聴きました。が、「自分たちは頑張って最善を尽くしているのだから」と、当事者からの声に耳を傾け、当事者に寄り添った施策に改善していく考えがないことです。 

   

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◆ 検証は行わない。最善を尽くしているから!?

【海津質問:】 
区として、コロナ対策として様々な施策を展開されてきました。 
今後の感染拡大への備えとして、緊急事態宣言下で実施した施策を、どのように評価し検証するかが重要です。 

身内、自己評価を基に検証するのではなく、例えば、休園や休校という制約を受けた当事者からのアンケートを基にした検証が不可欠です。 

「鉄は熱いうちに打て」というように、制約等を受けた、対応策を活用したという体験、記憶が新鮮なうちに、アンケートを実施することが、今後、当事者の実情により立った対応に改善できるのではないでしょうか。
アンケートの質問内容も重要です。   

区長は、第2波、第3波に備えて、より確実な対策を立てるために、どのような検証を実施されるお考えですか。区民が想像できるよう事例をもって教えてください。 

   

【成澤区長答弁:】 
日々、状況が変わる中で、各部署がその時点での最善策を検討し、事業の継続等を行っており、新型コロナウィルス感染症が終息するまでの間は、引き続き同様の対応を行ってまいります。 

感染症が終息した後に、各部署において各段階における対応を整理する予定であり、現時点で、アンケート調査を実施する考えはございません。 

   

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役所は、住民が不安や困ったときに支援して、少しでも安心した暮らしができるように「役にたつための所」。 そのはずが、役所は一生懸命に支援しているのだから、それでもだめなら、それは役所の問題ではなく個人の抱える問題・・・と突き放しているように感じます。 

第二波・第三波等に備えての感染症対策が、当時者にとってより良い支援となるように、検証と改善を適宜行っていくことを求めていきます。

   

◆ 最低1mの身体的距離は「口から口の距離」!?

文京区教育委員会が、小中学校での感染防止のための身体的距離を「児童・生徒の口と口との距離が約1m」で計算していることにも驚きました。 

国が示す「新しい生活様式」では、人の間隔は、できるだけ2m(最低1m)空けることを推奨されています。 

学校も当然、準じることが求められています。 

しかし、文京区教育委員会は、学校の教室内での「人との間隔」は、口と口の距離で、感染防止をすることにしたのです。 

私たちは、下の図の上に示したように、体と体の間隔を開けることを「ソーシャルディスタンス」と理解していませんか? テレビ等のメディアでもこうした図をよく見ます。 

ところが、学校では、下のように、「口と口の距離」で身体的距離を確保するのだそうです。人間の体を正面から見たら、口は体のほぼ中心にありますから、隣り合わせる人間の体の端と端ではなく、体の中心と中心の距離ということになり、図の通り、より接近するわけです。

参考 

集団感染が生じた場の共通点を踏まえると、特に1.密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、2.密集場所(多くの人が密集している)、3.密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)という3つの条件が同時に重なる場では、感染を拡大させるリスクが高いと考えられています。 

「都福祉保健局「新型コロナウィルス感染症にういて・感染の仕方より」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/smph/iryo/kansen/shingatakorona.html  

   

◆ 教室不足の文京区、一斉登校で蜜はどうなる!?

区内の小中学校は、現時点では「分散登校」の形式をとって、各学年クラスごとに人数を分け、時間をずらして登校しています。教室に入る児童生徒の人数を減らすことで身体的距離を確保しています。 

ところが、いずれ一斉登校になるわけで、ただでさえ教室が不足している文京区の小学校の場合、どうやって身体的距離を確保するのでしょうか。教育長に質問しました。 

   

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【海津質問:】 
小学校は児童数増加で教室不足が喫緊の課題です。そうした状況下、一斉登校を「1m」の身体的距離をとりながら、どのように実施されるのでしょうか。 

   

【加藤教育長答弁:】 
学校の再開にあたっては、実際に教室に机・椅子を並べ、基準となる間隔を目安に身体的距離についてはのシミュレーションを行っております。 

また、定期的な換気や、児童・生徒及び教員のマスクの着用、感染リスクの高い教育活動の中止又は延期の検討など、総合的な対策を行っております。 

これらの対策の他、各学校では、施設の状況や児童数・生徒数を考慮のうえ、子どもたちの安全・安心を第一に、様々な対策を行っております。

   

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◆ クラス全員でも身体的距離は確保できる!?

加藤教育長の答弁は、一斉登校になって、例えば、クラス30人、40人の子ども全員が登校しても、「身体的距離は確保できる」との見解です。 

文京区教育委員会からはこれまで、「8m×8mの教室で、1mの身体的距離をとり、机・椅子を並べると15人程度と試算している。ただし、机の配置を工夫すると20人程度は可能かもしれない」との見解を聞いていました。 

それが、なぜ、約30人、40人クラスでも大丈夫なのか? どのようなシミュレーションを行ったのか?疑問が膨らみました。 

そこで、教育委員会に、この答弁の根拠になるところを聴きました。 

文科省が示した「学校における新型コロナウィルス感染症に関する衛生管理マニュアル」を根拠にしているとのことでした。 

  学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル  
~「学校の新しい生活様式」~ (2020.5.22 Ver.1)
https://www.mext.go.jp/content/20200522_mxt_kouhou02_mext_00029_01.pdf

レベル1では、身体的距離の確保で「1mを目安に学級内で最大限の間隔を確保すること」と書かれています。 

文科省が具体的な例示として示していたのは、身体的距離は、人と人の間で2m(最低1m)」を図るものではなく、「隣合わせる人の口と口との距離が1m離れること」で試算しているものでした。 

   

文科省が示した、8.3m×8.3mの教室に40人の児童が入ったときの例示をみると、驚きの連続です。 

机と机の間隔は約40cmという計算になります。横に持ち物をかけることができないレベルです。20人であれば、まだ可能かと思いますが、30人でも難しいと思います。 

子どもたちは密集しており、口と口との身体的距離を1m離して座っていても、横を向いたり向かい合ったりすれば、1mあったものが60㎝になるかもしれません。 

先生たちは、感染予防の観点から、「前を向きなさい」といった声掛けを頻繁にすることになるのではないでしょうか。 

子どもたちは、マスクはとるな、給食は黙って食べなさい・・・等々、締め付けられ、さらに息苦しさが増すのではないでしょうか。 

授業中に先生が子どもたちのノートに書き込む様子を回りながらチェック(机間巡回)するのも、子どもたちの荷物も考えると、机と机の間の幅が狭く、非常に困難を極めるとも思います。 

子どもたちが教室内で移動するときの安全にも不安が残ります。 

   

◆なぜ、口と口の距離で約1mなのか?

感染防止対策の基本のひとつが「身体的距離の確保」です。 

文科省に取材をすると、「飛沫感染が危険なので、口と口の距離」で身体的距離を測ったそうです。 

また、「示した図は一例にすぎない。あくまでも目安であり、それぞれの施設の状況や感染リスクの状況に応じて、柔軟に対応することが可能です。座席の間隔に一律にこだわるのではなく、頻繁な換気などを組み合わせることなどにより、現場の状況に応じて柔軟に対応するようお願いしたものです」とのことでした。

   

◆ これがスタンダード?学校だけ例外!?

飲食店等は、感染防止に協力し、身体的距離を可能な限り開けるために、売り上げを落としてでも、テーブルとテーブルの間隔を開けるなど、努められています。 

仮に、「身体的距離は最低1m」の基準が、隣の人との「口と口の距離」を指していることであるならば、飲食店等は確保できる客席数も違ってくると思います。 

文科省が示した「飛沫感染リスクを下げるのは、身体的距離を口と口の距離で測る」というこの考え方が唯一のスタンダードであるなら、広く周知すべきではないでしょうか。 

それとも、教室に入る児童数をできるだけ増やすための、「学校だけ例外」とするダブルスタンダードなのでしょうか。 

文科省の考えからは、「新しい生活様式」になっても、現行の学級編成基準である40人学級制のままで、少人数学級には変更したくない、という強いメッセージが伝わってくるようです。 

しかし、文科省があくまで目安と言っている通り、必ずしも文京区が、「口と口の距離」で身体的距離を測らなければならない理由はありません。

   

◆ 今こそ「少人数学級制」の推進を!

ちなみに、文京区も当然入っている、東京都公立小学校長会、東京都特別区教育長会からは、毎年、国に対して、「小学校3年生以降の加配による35人以下学級の推進」に向けての要望が出されています。 

また、文京区議会では、平成28年2月議会に、「文京区独自に、小中学校の全学年で35人学級を実現を求める」請願が提出され、自民党・公明党を除く会派の賛成で採択されています。 

要するに、これまでも、少人数学級制を推進して行くことは、文京区の合意事項なのです。 

それでもまだ、非常時の、この期に及んで、ひとつの教室で30人~40人でも大丈夫とする文京区は、子どもの安全・安心や教育の質を守ることを、本気で考えていると言えるのでしょうか。 

長期休校で子どもたちのストレスは相当に高まってきていることが調査でも明らかになってきています。子どもたちが、当たり前に学校で過ごす選択ができる環境を一日も早く整備して届けたいと思います。 

そのためにも、子どもの心のケアを十二分に寄り添って行える人員体制の整備は待ったなしです。先生方が感染拡大防止のためということから、子どもたちを追い詰めることのないように、多様な視点で、一斉登校再開時の学校環境整備について、区に再考していくことを求めていきます。 

皆さまのご意見をお聞かせください。 

他の質問・答弁は、また改めてご報告させていただきます。 

   

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一斉登校時1クラス30~40人全員でも身体的距離は確保できる!?~最低1mの基準は「口(クチ)」?” に対して6件のコメントがあります。

  1. 山口 より:

    これは,極大値(最短)が辛うじて1m 以上であって,体が動く環境では1m 以上がほとんどの時間帯で確保されないことが自明な環境ですね.口と口との距離が 1m と文科省が言っていた,というのは,ストローマン論法なのか誤謬なのかはわかりませんが,いずれにせよ,何のための,誰のための距離なのかを議論した道筋が見えない悲しい思考停止で,教育者の端くれとして驚愕しました.また,きちんと自分で判断していくことの大切さがわかりました.ご報告ありがとうございます.

    1. かいづあつこ より:

      学校の中には「話をしない」と子どもたちに、息苦しい学校生活を強いているケースもあります。
      感染症対策防止が、子どもたちの我慢で成り立つような状況を改善する、学校環境の整備を目指していきたいと思います。

  2. 伊藤祐司 より:

    群馬県議会議員、日本共産党の伊藤祐司と申します。
    40人学級は、ウィズコロナの時代には全く間尺に合わない学級編成ですね。

    身体的距離の図がとてもわかりやすいものでした。
    議会報告のなかで使わせていただきたいのですが、お許しいただけるでしょうか。

    1. かいづあつこ より:

      もちろんです。
      様々な議会で取り上げていき、新しい生活様式に応じた、学級編成が実現されるといいと思います。

  3. 小池 友美 より:

    本当にかいづさんの、仰る通りだと思います。
    我が子は一年生で、今のところ15人ずつの分散登校を行っておりますが、来週から通常人数での授業になるそうです。今の人数で丁度良いのに、これ以上増えるのは心配で、行かせたくありません。
    この意見は、聞いてもらえるのでしょうか?
    お手伝い出来ることでしたら、なんでもやりたいです。
    とにかく、これ以上人数が増える事に、そこまでして学校に通わせたくありません。

    1. かいづあつこ より:

      15人ずつは、いいですね~
      先生も子ども一人ひとりと会話をしながら授業もすすめられるでしょうし、継続してほしいところです。

      返信が遅れて申し訳ありません。
      通常授業が始まりましたが、いかがでしょうか。
      登校を控えても欠席扱いにはなりません。

      給食も始まっていますが、お子さんが登校されていて何か感じることなどあればいつでもお声かけください。
      一緒に考えさせてください。

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