文京区教育委員会 教育委員の年齢に著しい偏り 平均年齢59.8歳
コロナ禍で様々な社会課題が浮き彫りになる中、教育行政も例外ではなく、幾多の課題の一刻も早い解決が望まれている昨今です。「コロナ禍だから仕方ない。出来ない。」では済みません。児童生徒たちの「今」はかけがえのない時間です。我慢を強いたり犠牲にしたりせず、提供する教育の質を担保し、すべての子どもたちの最善の利益を守るべく様々な手立てを図らなければなりません。
地方公共団体の教育行政について「教育基本法」では次のように規定されています。
地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。
(教育基本法第16条3項)
その要となるのが教育委員会であり、地方自治法では次のように規定されています。
教育委員会は、別に法律の定めるところにより、学校その他の教育機関を管理し、学校の組織編制、教育課程、教科書その他の教材の取り扱い及び教育職員の身分取扱いに関する事務を行い、並びに社会教育その他教育、学術及び文化に関する事務を管理し及びこれを執行する。
(地方自治法180条8項)
文京区教育委員会は、教育長と4人の教育委員で構成されています。
教育行政の課題全般について、様々な状況におかれた当事者や現場の実情を知り、課題の本質を理解し、時代のニーズを敏感に感じ取っていくには、幅広い年齢層の教育委員が多様な視点で審議していかなければなりません。でなければ、現実とミスマッチの施策を行ってしまったり、偏った施策で取りこぼされてしまう当事者を生んでしまったりしかねません。
8日の区議会本会議で、成澤区長より教育委員再任の同意がはかられました。
これは、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」により、「首長が教育委員を任命する際には、議会の同意を得て任命しなければならない」、と規定されていることに基づきます。
成澤区長からは、任命の提案理由として「人格が高潔であり、教育行政に関して高い識見を有しており、また、これまでの経歴や実績から申し上げましても、本区の教育委員会教育長職務代理者として最適任であると確信している」といった説明があっただけで、法律に描かれている年齢等に著しい偏りがないよう配慮が求められていること等に関しての話はありませんでした。
文部科学省が定める「地方教育行政の組織及び運営に関する法律における関係規定」では、教育委員の任命について、次のように規定されています。
地方公共団体の長は、第一項の規定による委員の任命に当たつては、委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮するとともに、委員のうちに保護者(親権を行う者及び未成年後見人をいう。)である者が含まれるように努めなければならない。
「地方教育行政の組織及び運営に関する法律における関係規定」
区長は委員任命に際して、保護者である者を教育委員の中に入れるという、上記の法律の求めには応じているにもかかわらず、同時に法律が求めており、文京区教育委員会の現状に見られる「年齢の偏り」にはまったく配慮していません。
区内には「人格が高潔であり、教育行政に関して高い見識を有する」方は少なからず在住されており、法律に応じて年齢の著しい偏りを解消する教育委員の任命は可能であったと考えます。
私の所属する会派「文京みらい」では、沢田けいじ、海津敦子が、この同意に対して反対しました。
理由は主に以下の3つです。
- 現在の教育委員5人は、60代3人、50代2人で、平均年齢59.8歳です。
「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」では、委員の任命に当たっては、「委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮する」ことが求められています。 文京みらいは、教育委員の年齢構成に著しい偏りが生じていると判断しました。 - 区長から再任の同意がはかられた清水俊明氏は現在62歳。すでに3期12年教育委員を務められており、今回再任され任期を全うされると丸16年間教育委員を務められることになります。継続する良さもあるとは思いますが、子育て世代に近い新らしい委員の視点も重要だと考えました。
- 教育委員は5人中3人が男性で、女性は2人です。教育委員会内の部長・課長7人全員が男性です。 教育行政の施策の決定や諸問題の解決に当たる主たる役職者たち12人中、女性が2人だけというのは、多様な視点を担保するには少なすぎると考え、女性の教育委員がさらに必要であると考えました。
任命の同意は、沢田議員、海津以外の議員はすべて同意し、賛成多数で清水委員の再任が決まりました。
みなさんはどう思われますか?
今後も、区民の目線で区政を監視していくと共に、法律等に基づき、様々なことをチェックしていきます。
追記)同意しなかった議員についての記述に誤りがありました。お詫びと共に修正させていただきます。(12月11日22:15)
“文京区教育委員会 教育委員の年齢に著しい偏り 平均年齢59.8歳” に対して4件のコメントがあります。
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教育委員として人格が高潔で識見が高い方を大前提として、貴女の考える著しくない隔たりは、何歳までの範囲なのでしょうか。また、貴女が区長だった場合の男女比や年齢構成はどのような選定基準で任命するのでしょうか。
ご意見ありがとうございます。
法律で求められているところの「著しい偏りが生じない」年齢は、少なくとも60代3人、50代2人の構成ではないと考えます。教育長を除く、教育委員は子育て世代の30代40代を委員に任命し、30代から60代まで一人ずつ、年代のバランスをとるのが法律の求めるところの理想であり、そこに近づける努力は重要だと考えます。
男女比は、教育委員であれば、現在は教育長を含め、男性3人女性2人ですが、記事にも書きましたが、教育委員会所管の部長・課長がすべて男性であることを考えると、教育委員は教育長を含め男性2人、女性3人が望ましいと考えます。
昭和時代の学校から、平成、令和と新しい時代の学校をつくってもらいたいのに、現実はそうなっておらず、文京区の学校は未だ昭和のまま時が止まっています。
ぜひ、子育て世代や、若い人の視点を取り入れられるよう、世代や性別に多様性を望みます。
法律等の求めに応じてバランスをとって、年齢の偏りをなくすのであれば、子育て世代や若い人の視点をと入れ多様性をもった教育委員構成になると思います。
迷ったときには、憲法や条約、法律等に立ち戻ってチェックしてまいります。