区民が納得できる合理性はあるのか? 文京区議会がペーパーレス化に向け全議員にタブレット配布計画
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◆再検討を求める要望書を提出
収束の見えないコロナの感染拡大で、収入が激変する方や、店を閉められた方、今夜にも寝る場所に困っている方・・・・日増しに明らかになっていく生活者の困窮が深刻になって行く実態に対して、自治体としてもさらなる所得支援などが求められています。
そのような中、文京区議会が進める文書共有システムでのペーパーレス化にあたり、先日、所属する会派「文京みらい」として、海老澤敬子議長・岡崎義顕副議長に「”全議員に同一タブレットを配布する等”の計画について再検討を求める要望書」を提出しました。
みなさんは、この要望書をご覧になってどうお感じになられるでしょうか。
要望書を提出した時の議長、副議長は「計画通りに実行したい」という、非常に強い意欲がある印象でした。
◆文京区議会の姿勢が問われる
各議員は、毎月14万円支給されている政務活動費で購入できます(実際に、既に多くの議員がタブレットなりパソコンなりを購入しています)。
にもかかわらず、新たに公費(税金)をかけて、議員全員に同一のタブレットを配布する計画です。今、そのような社会状況、区財政ではない、と私たち「文京みらい」は、思っています。
お金をかけるべきところは他にたくさんあるのではないか。コロナ禍で次々に浮き彫りになって来た様々な方々が直面している課題が見えていないのではないか、と強く疑問がわき、議長・副議長に要望しました。
予算化の時期と予算執行の時期には、タイムラグがあります。その間に社会状況も変化します。
特に今のコロナ禍においては、まったく先が見えず明日どうなるのかも見通せないような状況です。
いったん「これで行く!」と決めたら、やみくもにそのまま進めるのではなく、社会状況や区民生活の変化を的確に把握し、臨機応変に計画を見直し、「今」の区民の最善の利益に資するよう、修正・改善を求めていくことが不可欠です。
これは、議会が区政をチェックしていく上で持つべき重要な考え方であり、責務です。
地方自治体においては、議会の存在意義であるとさえ言えます。
区民のみなさんの代表としてこのような役割を担っている区議会は、当然、議会自らの予算執行にも同じ姿勢で向き合うべきです。
変化に応じて機敏に計画を変えていく柔軟な発想。多様な暮らしに思いをはせる想像力。議会内でいずれも欠かせないものだと思っています。
◆他区議会で出来て文京区議会に出来ない!?
板橋区議会は、このコロナ禍の状況を踏まえ、議会のペーパーレス化にむけた情報端末機器を議員全員に配布する計画を見送りました。
また、大阪府議会では、私物のパソコンやスマートフォン、タブレット端末から議員個人のパスワードで、資料が掲載されたサーバーにアクセスできる仕組みでペーパーレス化を進めています。
東京23区では、新宿区議会、目黒区議会、杉並区議会でも大阪府議会と同じく、BYOD*(*Bring Your Own Deviceの略。個人調達の情報端末機器を持ち込んで仕事に活用する仕組みの意味)でペーパーレス化を推進しています。
つまりは、公費で高額の経費をかけて全員同一機種のタブレットを新たに揃えなくても、ペーパーレス化はできるのです。多くの自治体ができて、文京区議会ができない理由はありません。
既にBYOD方式で導入して運用している自治体の議会に取材したところ、「何も問題は起きていない」とのことでした。さらに、オンライン会議を行うことになっても、支障はないと聴きます。
◆コロナ禍 緊急事態の今、やるべきことなのか!?
文京区は、限られた財源の中、「新型コロナウイルス感染症の影響を受けている区民の健康と暮らしを守るとともに、感染症に伴う様々な社会変革にも適応しつつ、地域経済の復興を図るための予算を優先して編成する」としている状況下にあるのです。
ペーパレス化は議員全員にお揃いのセルラー型タブレットを配布しなくてもできるのに 計画通り進めることが、コロナ禍で優先すべきことなのでしょうか。 傍聴に足を運んで頂かなくても審議を見えるように委員会の生配信をするなどが先だと思います。
議長・副議長は、区民の理解を得られる計画だと考えているのでしょうか。
文京区議会は、コロナ禍におけるペーパーレス化でどのように予算をかけていくのか、改めてご報告します。
◆議員・議会に区民の厳しいチェックの目を!
文京区議会自らが、ペーパーレス化を目的として全議員に同一タブレットを配布するために公費を使おうとする計画をどのように進めて行くのか。そこには、文京区議会が区政をチェックする姿勢が見えて来ると考えます。
区議会議員は、区民の立場から、適度な緊張関係と批判的思考*(*クリティカルシンキング:健全な批判精神は持ちながら、物事を論理的に考える思考法。単に否定するだけのネガティブなものではなく、より多面的に、建設的に物事を考えていこうとするためのポジティブなアプローチ。出典:『思考法図鑑』(翔泳社))で、区政に対峙する必要があると考えます。
つまり、当然のように思いこんでいることを鵜呑みにせず、前提になっていることは本当に正しいのか? 結論と根拠のつながりに整合性はあるか? 疑い、調査し、検討する態度を持ち続けること、そして、批判的思考を持ったからこそ見えた多面的な側面から、欠けている面を補う提案をすることが重要だと考えて行動しています。
「誰ひとり取り残さない区政」になっているかをチェックしていく役割を果たすためにも大切な態度だと思っています。
区民のみなさんには、みなさんの代理として議会に送った議員や議会を、私も含めて、批判的思考の厳しい目でチェックしていただきたいと願っています。
◆関連ブログ:2020年12月29日
「コロナ禍で経費縮減方針の中、区議全員に公費でタブレット一律配布!?」
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