文京区議会6月議会本会議~区長・教育長への質問&答弁一問一答+海津の考え(3/3)

3回に分けてお届けしてきた6月議会一般質問の3/3をUPします。

6月7日に私、海津敦子が本会議で一般質問を行いました。
区長・教育長それぞれへの質問と、それぞれの答弁を一問一答形式に編集して共有します。
また、各答弁に対する「海津の考え」も付記しました。長いので、3回に分けて投稿して行きます。
ぜひ、お時間のある時に、ご興味のある項目をご覧の上、区長・教育長の考えにご注目頂き、ご意見を聞かせて下されば嬉しいです。

11. 海津質問

生活保護法の改定により、来年4月1日から生活保護受給世帯の「子ども本人の希望を踏まえた進路選択の実現」を目指すことが掲げられました。貧困の連鎖を防止するためには、子どもの選択肢を増やし、本人の希望が叶うように、これまで以上に多様な観点から学習や生活環境を支援することが重要です。高校卒業後の平均賃金は約18万円、大学卒業後は約23万円です。子どもが諦めることなく、多くの選択肢を持てるようにするために、子どもが「勉強がわからない」ということがないように学習支援を拡充させることが不可欠です。

文京区の調査では、「周りの子と比べて勉強ができない」と感じている小学生は14.6%ですが、就学援助を受けている小学生では27.7%と、約2倍に上ります。勉強がわからないことで「自分は勉強ができない」と思い込んでしまうことは、自信喪失につながり、日常生活にも悪影響を及ぼします。現在、区では生活困窮自立支援事業の一環として、小学4年生から中学生までを対象に週2回の学習支援を行っています。しかし、小4からの学習支援では遅すぎます。授業の難易度が上がる「小3の壁」に向けた支援が不足しているのです。例えば、小3からは算数で割り算や分数が加わり、授業が難しくなります。そのため、小学校入学時から「わかる」「もっと知りたい」を実感できるような学習支援の拡充が必要です。

生活保護法改正の趣旨を実現し、子ども本人の希望に基づいた進路選択を実現するためには、学習支援を週3日に増やすことが必要です。週3日の学習支援により、子どもたちの学びが深まり、将来の基盤が強化されます。学びは、大学進学等だけでなく、子どもの今、そして、将来にわたって子どもを支える基盤となります。子どもが学習支援を通じて地域とつながり、必要な情報や支援を得ることで生活環境が改善されると共に、困ったときなどの相談先を得ていくことにもつながります。それだけに、学習支援を行う側が地域に根ざした人材であることも重要です。地域全体で子どもたちを支える事業者であることが、児童相談所開設にむけても必須であると考えます。また、委託事業で学習支援を実施する際、所管課の姿勢も大切です。所管課が「~の通りやっているか」とチェックするのではなく、現場で子どもたちの声に耳を傾けている事業者から、自分たち行政は何をバックアップすべきか聴く姿勢が重要です。事業者とどのような関係性を構築し、子どもたちを支援しているのでしょうか。伺います。

また、現状の制度では、生活保護を受けながらの大学進学は認められていません。世田谷区では、学費を最大50万円まで支給する給付型奨学金を今年度から開始しました。成績要件はなく、中途退学しても返還不要です。このような取り組みは、貧困の連鎖を断ち切り、地域全体の社会的および経済的な発展に寄与すると考えられます。生活保護法の改正の趣旨からも、文京区でも、子どもが希望する進路選択を支援するために、また若者支援としても、同様の給付型奨学金の新設は重要だと思います。伺います。

11. 区長答弁

まず、生活保護法改正についてのお尋ねですが、法改正による、「生活保護受給中の子育て世帯へのアウトリーチ事業」については、大切な視点であると認識しております。これまでの実績や、課題、ご本人の希望等も踏まえた、区における、ふさわしいアプローチについて、検討してまいります。

次に、生活困窮世帯、学習支援事業の拡充についてのお尋ねですが、本事業については、令和7年度より、新たに,小学生、中·高校生の学習支援事業を、一体的に運営することで、支援が切れ目なく継続することとしております。また、議員ご指摘のような、学年や頻度の拡大は現在考えておりませんが、学習以外の、様々な体験活動の実施や、中学校3年生、高校3年生等を対象とした、模擬試験における、受験料の支援、進路選択や、奨学金の活用等に関する情報提供、生活に関する相談支援等を、拡充してまいります。

本年度は、これらの拡充策を踏まえ、地域とともに、適切に実施できる、委託事業者の選定を行ってまいります。

次に、委託事業者との関係性の構築についてのお尋ねですが、委託事業者とは、生徒一人ひとりに関する状況や、保護者からの相談などを、適切に共有しております。また、区職員が、学習支援会場で、学習会の様子や状況を、確認するとともに、委託事業者から、現場における意見を収集するなど、支援の充実に繋がるよう、努めているところです。

次に、給付型奨学金についてのお尋ねですが、生活保護世帯から独立し、大学等に進学した学生に対する、給付型奨学金の実施については、国の動向や、他自治体での取り組み等を踏まえ、研究してまいります。

11. 海津の考え

区長は、週3日に学習日を増やすことや、小学1年生からの学習支援を増やさない理由をまったく述べていません。学習以外の活動も重要ですが、子どもが最も長い時間を過ごすのは学校です。「勉強がわからない」という理由で、教室で安心して「ここにいてもいいんだ」と思えない子どもたちのためには、体験活動の前に、「わかる」「勉強って面白い」と思える学習支援が重要です。学習支援の拡充を強く求めます。

12. 海津質問

文京区は義務教育終了まで不登校や特別な配慮が必要な子どもを支援する体制を整備していました
が、高校生については支援がほとんどなく、保護者からは「自己努力の世界だ」との声が上がっています。不登校の子どもたちは通信制高校を選択することも多く、退学せずに学びを継続したり、退学後、高卒認定資格を得る等の支援には家庭の経済状況も影響します。これは18歳以降の若者支援にも関わります。文京区はどのように支援していく考えでしょうか。

12. 区長答弁

子育て支援は、高校生世代にまで継続していくことが重要と捉えており、これは、通信制高校等に通う生徒や、特別な配慮が必要な高校生世代についても、同様であると認識しております。区では、令和5年度より、「高校生世代育成支援金」として、所得によらず、高校生世代を養育する,全ての世帯を対象とした、区独自の給付を実施してまいりました。児童手当については、その後、国による拡充が実施されることとなったことから、この児童手当に相当する支援を改め、高校生世代の、様々な活動や、学業等に必要な支援策を、別途検討してまいります。
また、これまでも、小·中·高と、切れ目なく学びを継続していくために、奨学資金給付や、塾代助成など、区独自の育英事業に、取り組んでおります。なお、若者支援に関しては、個々の状況に応じて、適切な支援につながるよう、それぞれの所管において、対応しており、今後、「子ども·若者育成支援推進法」で想定している、30歳代までの、幅広い年齢層を視野に入れた施策について、検討してまいります。

12. 海津の考え

通信制高校を選択する子どもたちや高等学校卒業認定試験合格を目指す子どもたちは、同時にサポート校 に在籍することが少なくありません。しかし、サポート校の学費は家庭の経済力に大きく左右されるのが 現実です。若者支援の一環として、高校卒業を目指すすべての子どもたちを応援する施策を検討し、実現 してほしいと願います。

社会学者の上野千鶴子さんは、「安心して弱者になれない社会で生きている」と著書で述べています。
その背景には「自己決定·自己責任」という言葉が広く浸透し、困っている人を追い詰めているという分析があります。この分析に対しての区長の見解を伺います。結婚していない、子どもがいない、頼れる身寄りがない人が増えている現状で、区に対してどのような公助が求められているでしょうか。身寄りがないうえ「公助も頼れない」と感じる区民がいます。大きな課題です。「公助に頼れる」「弱者になっても安心して生きていける」と感じる文京区となるため、区長は課題をどう分析し、どのような事業の立ち上げが急務だと考えているでしょうか。

昨年度、「老人福祉·介護事業者」の倒産は過去2番目の多さで、休廃業·解散も過去最多となり、介護事業者の苦境が広がっています。倒産に至らなくても、人手不足などで経営が安定しない事業者は多く、文京区内でも同様です。慢性的な人手不足により、「面倒な利用者」が疎まれる実態もあります。人生の最後まで尊厳を持って過ごすには介護事業者の安定した経営は必須です。予防に費用をかけることは、問題が起きてからのコストと比べて長期的に経済的です。借入金利が1%あがることで企業の7%が赤字になるとの試算があるなか、文京区として、高齢化社会を支える事業者はもちろん、障害福祉の事業者への支援も重要性はさらに増しています。介護離職を防ぐうえでも急務です。具体的な施策を伺います。

13. 区長答弁

まず、社会生活における、不安についてのお尋ねですが、区では、進行する少子高齢化や、血縁·地縁·社縁による、共同体機能の脆弱化など社会構造が変化しており、個人の力では解決できない、複雑化·複合化した課題が増加していると認識しております。このような社会の中、区においては、地城共生社会の実現に向け、自らが、生活を支え、自分らしい生活を続ける「自助」や、ボランティア活動、地域での支え合いや、見守りといった「互助」で、地域における住民主体の課題解決力が高まるよう、支援するとともに、各種保険制度の「共助」や、公的な福祉保健サービスの「公助」を充実させ、生活課題を抱えたまま、孤立している人がいない地城づくりが、必要と考えております。このため、今後は、重層的支援体制、整備事業を活用し、各分野の支援機関が、連携して、一つのチームとなり、地城資源や、ネットワークを重ね合わせることで、安心して、生活できるよう、地域ぐるみの、支え合いを推進してまいります。

次に、事業者への支援についてのお尋ねですが、少子高齢化が進む社会においては、介護離職に対する取り組みとしての、事業者の支援は重要であると認識しており、これまでも、社会情勢や、時勢を捉えながら、国や都の制度を活用するほか、様々な支援を、行っているところです。介護人材への支援としては、住宅や研修、介護保険の、EPA人材に関する補助を、実施しており、本年度から、新規事業として介護支援専門員等、研修費用補助等を、開始しているところです。さらに、施設の、整備·運営への支援としては、公有地等の貸付のほか、用地取得費や、施設·設備の整備費補助等を行っております。また、社会情勢や、国の動向を踏まえ、物価高騰対応、支援給付金、交付事業を実施してきたところです。

13. 海津の考え

生活課題を抱えたまま孤立している人がいない地域を目指して、「公助」として今、何が足りないのか答弁からは見えてきません。

「安心して弱者になれない」と感じる人たちの不安をどう改善すべきか、事業の検証が必要です。区として「やっています」の繰り返しでは何も生まれません。
介護離職や介護人材への支援についても「やっています」と言うだけでは、介護離職や人材不足が解決されず、区政の省察も見えてきません。

事業の検証と省察があってこそ、事業のアップデートが可能です。何が問題で、どこを変えるべきか、区政をチェックしていきます。

14. 海津質問

厚生労働省の調査によると、2020年の離婚件数のうち、未成年の子どもがいる離婚は全体の約6割に達しています。離婚後も両親が共に親権を持つ「共同親権」が可能となる改正法が2年以内に施行されます。しかし、共同親権の導入にあたっては、DVや虐待の継続、さらには、子どもが在籍する学校等の対応も複雑化するなど、さまざまな懸念が指摘されています。区としてどのような課題認識を持っているのでしょうか?

「だれもがいきいきと暮らせるまち」を目指し、「こどもの最善の利益」を掲げる文京区として、問題が深刻化する前に、区民が気軽に相談できる専門家による法律相談を拡充し、適正な手続きを進められる体制を強化すべきです。また、「共同親権」について、改正された法律の解釈を正しく理解するために、「子育て支援」の一環としてわかりやすい情報を区のHPで提供することも重要です。さらに、子どもが自身の権利を正しく理解し、権利が損なわれる危険があるときには親に自分の意見を伝えられる支援も考えるべきだと思います。

さらに、離婚協議中や離婚後において、子どもに心理的なサポートを提供するとともに、両親へのカウンセリング提供も不可欠です。子どもと親の双方が無料でカウンセリングサービスを受けられるようにすることは、子どもにとって安心した生活環境を創る手助けとなるはずです。社会で子どもを育てるということからも、公的な資金で支えるのは重要だと考えます。もっとも身近な自治体として、どう支えていくのか、伺います。

14. 区長答弁

まず、共同親権導入の課題についてのお尋ねですが、法律案に対する、附帯決議に記載されているとおり、共同親権導入が、地方自治体の施策や事務に、一定程度の影響を与えるものと認識しております。改正法施行に向けた、今後の国の動向を注視しつつ、区の施策に与える影響や課題を,整理してまいります。

次に、法律相談体制の、強化についてのお尋ねですが、区では、現在、「子どもの最善の利益を守る法律専門相談」を実施しており、子どもを取り巻く、法律的な相談に、弁護士が専門的な助言を行っております。また、関係機関においても、各種専門相談窓口が設置されており、相談内容に応じて、適切に、ご案内しているところです。

引き続き、共同親権に関する、相談も含め、区民が必要な時に、安心して専門相談を受けられるように、してまいります。

次に、情報提供と、子どもの支援についてのお尋ねですが、法律の解釈について、わかりやすく,区民に周知することは、重要であると認識しており、区ホームページにおいて、各種手続きを、適切に行うことができるよう、周知の充実を、図ってまいります。また、対象となる子どもが、自らの悩みや気持ちを、親に伝えることができるよう、地城における見守りや、関係機関とのネットワークを強化し、引き続き、子どもの最善の利益を守る取り組みを、進めてまいります。

次に、心理的サポートについての、お尋ねですが、本区では、離婚を考えている、区民を対象に、子どものメンタルケアや、離婚後の親子交流の取り決めなどについて、「パパとママの離婚講座」を実施しております。また、離婚後も、子どもの安定した養育環境の確保を支援するため、「親子交流支援事業」や、「養育費確保、支援事業」を実施しているところです。

引き続き、子どもが安心して生活し、成長することのできる支援を、進めてまいります。なお、議員ご提案の、カウンセリングサービスにつきましては、他自治体の状況等を参考に、研究してまいります。

14. 海津の考え

「関係機関においても、各種専門相談窓口が設置されており、相談内容に応じて適切に案内している」との答弁から見えるのは、「適切」という自己評価の危うさです。

事業を行うと同時に、当事者にとってその事業が十分であるか、「適切」な相談事業であるかを、当事者からの率直な意見を集めて検証することが必要です。

それによって初めて、文京区の「自己満足」ではない「適切」な相談事業が実現します。共同親権の課題も見据え、当事者が安心でき、希望を失わずにいられる相談事業となるよう、提案を重ねていきます。

15. 海津質問

大規模な感染症や大災害などの際に国が自治体に対応を指示できるようにする地方自治法改正について伺います。

改正により、国と地方自治体の「対等·協力」関係が崩れる懸念があります。世田谷区長は「国が殿様、地方自治体が家来になりかねない」と述べ、杉並区など9自治体は「国の指示がないと動けない体質になる」と要請書を提出しました。文京区民の命と財産を守る区長として、この改正案をどう見ているのでしょうか。

また、地方分権について「適切に対応する」と答弁されていますが、その「適切」の具体的な内容を教えてください。国に対して懸念を表明されたのか、国の指示待ちで文京区が思考停止に陥ることはないのか、伺います。

15. 区長答弁

本法案は、国民の安全に、重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合に、国が、自治体に必要な指示を出すことができる特例を定めるものと認識しておりますが、国の自治体への干渉強化や、地方自治の根幹である、国と地方の対等な関係を崩すものであってはならないと考えております。

先般の新型コロナウイルス感染症対策においても、国や都の動向を踏まえながら、本区では、医療機関の多い区の特性を生かし、PCR検査センターを設置し、検査体制を整備したほか、店舗等に対する支援や、子ども宅食プロジェクトを通じた、食料品等の臨時配送を実施するなど、区独自の施策を、スピード感を持って実施してきたところです。

自治体と国は、それぞれの立場から、住民の生命と財産を守る使命を有していることから、区民にとって最適な施策を、区の自主的な判断により、展開すべきであることは、言うまでもありません。

本法案の内容については、緊急事態における特例であり、国と地方の対等な関係を崩すものではないものと認識していることから、直ちに、意見を表明する考えはございませんが、引き続き、国の審議状況や、全国市長会等の動向玄注視してまいります。

15. 海津の考え

国からの指示や全国市長会等の動向を待つ姿勢がよく伝わる答弁です。区長は自分の判断を避け、できる限り責任回避を図ろうとしているように感じます。

かつては「ファーストワン施策」を掲げ、他の自治体では実施していない先駆的な施策を目指していました。
しかし、現状の文京区政にはその姿勢が見られず、むしろ「ワーストワン施策」、ワーストワンにだけはならないことを目指し、他の自治体で実施されていることを後追いする風土に変わっているように思えます。

*****

最後に、、、
ここに記載した質問は、事前に区へ提出したものです。本会議質問では、質問に与えられた 30 分に収ま るように、下線部分以外は、読み上げていない箇所もあります。答弁は、事前に出した質問《ここに記載 した内容》を元に作成されています。

▼議会中継(録画)は以下からご覧いただけます

https://bunkyo-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=594

文京区議会6月議会本会議~区長・教育長への質問&答弁一問一答+海津の考え(3/3)” に対して1件のコメントがあります。

  1. ウェンティ より:

    海津さん、お久しぶりです。僕は風神バルバトスの化身である
    ウェンティです。姉がいつもお世話になっております。
    僕は表向き、カービィに忠誠を誓っているように振る舞っています。
    ですが、精神はどこにも属さず、
    またどんな国や旗、理念にも殉じない究極の利己主義者です。
    障害年金や個人年金、イデコ、ニーサ、アメリカの
    不動産投資信託、ターゲット・デート・ファンド、
    ブラックロック及びマネックス証券の配当といった不労所得で暮らすのも
    全て己の利益のためで、お金儲け以外のことに興味はありません。
    現在は夏休みシーズンで学生たちは遊んでいますが、
    僕は二級障害者につき労働免除の為、一年中が夏休み状態です。
    僕は国家政治への目的意識が全く無い、純然たる個人営利目的の
    精神障害者です。
    今後ともウェンティをどうぞよろしくお願いいたします。

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