期待される30人学級の導入、でも教室が足りない!?危ぶまれる文京区の教育環境

◆教室確保が難しい小学校は5校!?

10月1日から文京区議会決算審査特別委員会が開催されています。 

文科省が来年度にも導入の検討を進めている30人学級になった場合の教室の確保について、教育委員会に質問をしたところ、現在の整備基準等で考えると対応が難しい学校が小学校5校あるとのことです。 情報公開をかけたところ、5校は、林町小、窪町小、昭和小、駕籠町小、本郷小でした。 

いずれも、国により30人学級等の少人数学級導入が決まり、整備基準等が具体的に示されれば当該校と丁寧に協議を重ねて動いていく、との方針です。 

◆すでに児童数増加でどの部屋も教室化

窪町小は建替えてわずか14年。 

本郷小の校舎も18年しかたっていませんが、両校とも、これまで何度も教室が足りなくなり、子どもたちの多様な教育活動を支えるために整備したはずの、少人数学習室やランチルーム等が足りなくなった教室に転用されています。 

整備した時の目的はなんだったのでしょうか。 

文部科学省は、小学校施設整備指針の中で、「学校教育を進める上で必要な施設機能を確保するために標準的に備えることが重要なもの」として、多様な学習内容・学習形態による活動を可能とするように、「少人数指導や多様なグループ学習、複数学年による学習等の空間」を各自治体に求めています。 

ところが文京区では、児童数変動予測の見通しの甘さからか、結果として、子どもたちの多様な学習を支える空間は、教室確保のためにやむを得ず、普通教室に転用されているわけです。 

「子どもの多様な教育を保証することができているか?」と教育委員会に問えば、「カリキュラムがうまくこなせるように先生方と相談して適宜対応している」と答えます。 

先生方も頑張ってくださっていると思いますが、児童数の的確な見通しと、将来的な少人数学級への転換なども視野に入れてもっと考えていれば、状況は違っていただろうと思います。 

学校施設を整備する側の頭のどこかに、「自分たちの時代には少人数学習室などなかった」「ランチルームなどもなかった」「だから、なくても大丈夫だろう・・・」という楽観的な発想があったのではないか、とも感じます。 

◆改築中の誠之小でも足らない!?

柳町小、明化小、小日向台町小も、30人学級導入時の教室確保は難しい試算になりますが、今後、改築が計画されていることから、除外されています。 

ただ、改築する計画の学校だから30人学級に対応できる、と安心できるものでは決してありません。 

例えば、上記の5校に入っていない誠之小学校では、令和5年度秋の完成予定で建替え工事が進んでいますが、30人学級になったときの学級数を、今の児童数(723名。5月1日現在。)で計算すると27学級が必要となります。 

ところが、現在の改築設計では、普通教室は各学年4教室×6学年の24学級で計画されており、3学級足らないことがわかります。

◆大規模マンション建設が進む柳町小学校区

誠之小に限らず、現在改築工事が行われている柳町小も30人学級に対応できるかは大いに疑問です。 

少人数指導室を普通教室に転用することを避けるには、各学年90人×6学年=540人の児童となります。現在の児童数499人の柳町小です。 

共同印刷が所有する土地には、数百世帯を想定する大型マンションの建設が予定されており、そのほかにも100世帯規模のマンション建設がつづきます。 

30人学級になることで、学級数が増えれば、当然、先生の人数も増えます。 

今の職員室に先生たちの机は入るのでしょうか。 

新しい生活様式も意識する必要があります。 

子どもたち一人ひとりに丁寧に向き合うためにも、職員室で先生たちがストレスをためることのない環境整備もまた重要です。

◆春日 ・後楽園駅前再開発で約700世帯増

礫川小学校 も心配です。
現在、工事が進められている「春日・後楽園駅前再開発事業」が完成すると、タワーマンションを中心に約700世帯が増える見込みです。当然、小学校へ通う年齢の子育て世帯もかなりの数になるでしょう。

ところが、教育委員会は、「富裕層は区立小学校への入学を選ばないだろう・・・」との理由で、現状でも学級数に対してぎりぎりの教室数の礫川小学校は、 教室を確保する計画すら建てられていません

◆危ぶまれる特別支援学級の設置

さらには、校区の児童が特別支援学級の開設を望んだ場合にも、教室の確保が難しいことが容易に予測されます。 

「教室がないので、特別支援学級は作れません」とでもいうのでしょうか。 

ちなみに、文部科学省は特別支援教育の在り方に関する特別委員会報告の中で、次のように示しています。 

通級による指導、特別支援学級、特別支援学校の設置は、子ども一人一人の学習権を保障する観点から多様な学びの場の確保のための「基礎的環境整備」として行われているものである。 

文部科学省特別委員会

特別な措置ではなく「基礎」なのです。 

「障害のある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮及びその基礎となる環境整備」 
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1325887.htm 

◆ピカピカの校舎、足らない教室!?

きれいな校舎は完成したけれど、教室が足りない・・・」 

「多様な学習指導は、教室がないので難しい」 

「教室がないから、特別支援学級は作れない」 

といった、児童の「学ぶ権利」を無視したお粗末なことになったら「教育日本一を目指す文京区」の名折れです。後手に回らないような速やかな対応を要望していきます。 

◆国は各自治体への施設整備費の補助を

最後に・・・ 

文京区に限らず、首都圏で児童数が増えて教室不足が深刻な自治体は、30人学級が導入されれば、学校施設の増改築を行う必要に迫られていくと思います。 

国は、教員配置だけでなく、30人学級制度導入に向けた施設整備費も予算計上し、自治体を補助していくべきだと考えます。 

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◆決算審査特別委員会での質問と答弁

決算審査特別委員会~一般総括質問 

Q 海津敦子: 

《教室数~新しい生活様式の中で》 

教室の中は密です。机と机の間は40㎝あるかないかで、先生は横向きにならないと子どもたちを見て回れないとの声も少なからず聞こえます。このような教室環境をどのように評価していますか。 

区は、「明化小・柳町小の改築工事で、必要とされる教室が増えることも想定し、予め教室数に余裕をもった設計となっている」としています。が、設計時には、コロナ禍における新しい生活様式の考え方はありませんでした。また、萩生田文科大臣は少人数学級制について、「来年度からの段階的な実施も含め、検討したい」と発言しています。現状の設計で30人以下学級や少人数指導に対応できるのでしょうか。また、30人学級への対応が難しい学校数を伺います。
 

A 教育推進部長: 

明化小学校及び柳町小学校については、概ね確保できる予定でございます。 

また、30人学級への対応が難しい学校についてのお尋ねですが、 

少人数学級の在り方・整備基準等について、国等より示されていないため、現在の整備基準等での話となりますが、既存の小・中学校のうち小学校5校については、現状の整備基準通りでは難しいと考えております。 

◆改築中の誠之小学校の平面図

 
 
 


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