文京区、約1,400万円をかけた外部監査。
「適切だった」の根拠は?

10月2日の文京区議会・総務区民委員会で、補正予算に計上された元町ウェルネスパークの個別外部監査経費、約1,400万円について質問しました。

今回、住民監査請求を行い、個別外部監査を求めたのは、私たち「区民が主役の会」です。

だからこそ、公費をかけた監査について、その判断の根拠や独立性を確認する必要があります。

監査結果が私たちの主張と一致するかどうかではありません。

区民に説明できる調査と判断が行われたのか。

その点を問いました。

園庭の地下を使う対価は、なぜ現在の貸付料に含まれるのか

今回の監査では、園庭の地下にある順天堂大学の体育館について、必要な契約や許可がないまま使用している状態を「不法占有」とし、地方自治法に違反する状態だと指摘しています。

ところが、区に損害が生じているかについては、現在の貸付料に地下体育館の使用対価も含まれているため、損害はないと判断しています。

ここで疑問が生じます。

今回の不動産鑑定は、園庭を除いた土地を対象に貸付料を評価しています。

それなのに、なぜ、その園庭の地下にある体育館の使用対価まで、現在の貸付料に含まれていると判断できるのでしょうか。

私は、その判断の根拠を質問しました。

しかし、区からは「監査人が判断したことなので、区では分からない」「監査人の判断なので答えられない」という趣旨の答弁でした。

重ねて確認しても、具体的な説明は得られませんでした。

違法な使用状態を認定しながら、その使用対価については現在の貸付料で十分だとする。

その重要な判断の根拠について、約1,400万円の公費を支出する区自身から説明を聞くことができませんでした。

不動産鑑定士は、45%を「一見過大な減額率」と指摘

貸付料そのものについても確認しました。

実際の契約では、建築制限などを理由とする45%と、地上1・2階の使用制限を理由とする10%を合わせ、55%の減額が設定されています。

一方、今回の不動産鑑定では、建築可能面積などから算出した建物建築制限率を「概ね30%」としています。

契約で採用した45%とは、15ポイントの差があります。

そして、鑑定士自身が、45%について「一見過大な減額率」と指摘しています。

ただし、鑑定士はそこで45%を否定したわけではありません。契約上のさまざまな使用制限も検討し、貸付条件全体を考慮して評価しています。

その鑑定評価書では、令和5年1月1日を価格時点とし、民間持分を反映した支払賃料を月額258万円としています。

これに対し、当初契約の貸付料は月額172万8,310円。

差は月額85万1,690円、年間では約1,022万円です。

鑑定の対象面積や評価条件は当初契約と同一ではないため、この差額をそのまま区の損害とすることはできません。

それでも、こうした評価と契約上の貸付料の違いを、監査人がどう検討したのかは、確認する必要があります。

監査報告書は、貸付料について「極端に低廉な価格であるとは認められない」としています。

では、鑑定士による45%への指摘や、鑑定評価額と契約上の貸付料との差を、どのように評価したのでしょうか。

そもそも「極端に低廉」とは、何を基準にした評価なのでしょうか。

しかし、この点についても、区から示されたのは「監査人の判断」という趣旨の答弁でした。

「極端に低廉ではない」ことと、貸付料が妥当であることは同じなのか。

その判断の根拠について、具体的な説明は得られませんでした。

監査の「独立性」は、どう確認したのか

さらに、監査を行う側の独立性についても質問しました。

ここで重要なのは、「何について利害関係がないことを確認したのか」です。

情報公開請求で確認したところ、監査事務局が事前に確認していたのは、外部監査人と補助者について、「元町ウェルネスパーク関係者との利害関係がないか」という点でした。

ところが、最終的な監査報告書には、

「個別外部監査人及び同補助者はいずれも文京区と利害関係を有していない」

と明記されています。

「元町ウェルネスパークとの利害関係」と、「文京区との利害関係」は同じではありません。

実際、外部監査人を補助した弁護士の一人は、文京区スポーツ協会の常任理事です。

文京区スポーツ協会は、文京区から補助金や委託金を受けて事業を行っています。

同協会の令和8年度予算案では、文京区からの収入として、委託金889万770円、補助金700万624円、合わせて1,589万1,394円が計上されています。

また、役員には、名誉会長として区長、顧問として区の部長、相談役として区の担当課長が名を連ねています。

この弁護士は、同協会を構成する競技団体から選出された常任理事です。常任理事は、団体の運営に継続的に関わる役職です。

もちろん、この事実だけをもって、直ちに地方自治法上の「利害関係」があると断定するものではありません。

問題は、こうした文京区との人的・組織的・財政的な関係を、区が事前に確認していたのかということです。

今回の質疑で確認すると、監査事務局は、この補助者が文京区スポーツ協会の常任理事であるという事実を、事前には把握していませんでした。

つまり、事前に確認していたのは「元町ウェルネスパーク関係者との利害関係」であり、文京区スポーツ協会の常任理事という、文京区との関係については確認していなかったことになります。

それにもかかわらず、最終的な監査報告書では、外部監査人と補助者について、「文京区と利害関係を有していない」と明記されています。

では、何を確認して、「文京区と利害関係を有していない」という結論に至ったのでしょうか。

私が問うているのは、この補助者に利害関係が「あった」と決めつけることではありません。

「元町との利害関係」の確認から、なぜ「文京区との利害関係はない」とまで判断できたのか。

その確認の範囲と手続、そして判断の根拠を明らかにする必要があると考えています。

監査の調査経過についても、区から具体的な説明はなかった

続く金子議員の質疑では、監査がどのように進められたのかについても確認が行われました。

順天堂やPwCに対し、資料提出の期限をいつに設定したのか。

回答がなかった場合、督促をしたのか。

必要な資料や説明を得るために、どのような対応をしたのか。

監査報告書には、PwCがヒアリングに協力しなかったことも記されています。

だからこそ、監査側がどのような対応をしたのかは、必要な調査が尽くされたのかを検証するうえで重要です。

しかし、こうした重要な調査経過についても、監査事務局から具体的な説明は得られませんでした。

約1,400万円の監査の成果を、区はどう評価したのか

ここまでの質疑を通して、最後に確認したかったのは、約1,400万円をかけたこの監査の成果を、区自身がどう評価しているのかということです。

区側は、監査内容を精査し、今回の外部監査の契約については適切だったと説明しました。

判断の根拠を尋ねると「監査人の判断なので答えられない」。

一方で区は、その監査内容を「精査した」と説明しているのです。

では、区は何を精査したのでしょうか。

判断の根拠、独立性の確認、重要な調査経過について具体的に説明できないまま、監査の成果をどう評価したのでしょうか。

約1,400万円をかけた個別外部監査です。

報告書が提出されたという事実だけで、その成果に対する公費支出の妥当性を説明したことにはなりません。

区が監査内容を精査したというのであれば、何を確認し、その結果をどのように評価したのかを、区民に説明する必要があります。

今回の質疑では、その具体的な説明は得られませんでした。

だからこそ、実際に調査し、判断した外部監査人本人から説明を受け、議会として検証する必要があると考えています。

区民の財産と税金に関わる問題です。

約1,400万円の公費を支出するに足る監査だったのか。

その判断材料を区民に示すよう、引き続き求めていきます。

文京区、約1,400万円をかけた外部監査。「適切だった」の根拠は?
文京区、約1,400万円をかけた外部監査。「適切だった」の根拠は?

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