園庭は、保育園・幼稚園に通う子どもにとって「屋根のない保育室」

文京区は、待機児童を減らすために積極的に私立の認可保育園を誘致しています。待機児童が減る一方、十分な広さの用地獲得が難しく、園庭を設置できる新設の認可保育園はわずかで、子どもの主体的な「遊び」を保証していく上で、大きな課題を抱えています。

園庭がない保育園が増え、子ども達が主体的に遊びを選べる時間をどのように保障していくか、先生たちのたいへんさは続きます。

保育計画では、近隣の公園で子ども達の外遊びを保障していくことになっていても、実際の公園には、近隣の園庭のない保育園の園児たちがあふれていることも珍しくなく、遊びが限られてしまったり、後から来た園の児童は公園で遊ぶことなく、結局、散歩で終わってしまったりすることもあると聴きます。

園庭のない保育環境の不足分を近隣の公園では必ずしも補えていないのが実状です。

 

外遊びは、子どもの育ちに欠かすことのできない時間です。

室内同様に子どもが自ら欲する多様な遊びを可能にする園庭があれば、その遊びを通して楽しさや喜び、充実感を味わい、豊かな感性や創造力、想像力を培っていけます。園庭を整備することは、大人の努力によって出来る限り保障しなくてはならないことだと思うのです。

 

まして、子ども達が外で遊ぶ機会が減っていると言われる昨今、なおのこと「遊びが仕事」である幼児期に、主体的に外遊びが選べて、さらにその遊びを発展させることができるような保育環境を子どもに提供するためには、行政の一層の努力が求められます。

 

富山国際大学の石倉卓子氏、大平素子氏の論文には、砂場での遊びについて次のように記されています。

 

“砂場の中にぐっと手を入れて、砂の質感やひやっとした温度を楽しむなどの「感触を楽しむ」遊び、雨粒が落ちたときの水たまりの波紋を見るなどの「視覚的な変化を楽しむ」遊び、石を池に落としたときや、枝と枝を鳴らすなどの「音を楽しむ」遊び、ハーブでジュースを作るなどの「匂いを楽しむ」遊び、赤土を乾かして固くして遊ぶなど、質感を変化させて「触覚的な変化を楽しむ」遊びなどがある。

これらの遊びは、言うまでもなく五感に基づく感覚的な要素が強い遊びであり、単独でそのものを楽しむ場合もあれば、遊びとして表現の過程で現れる場合もある。それ以外には、砂場で山や川を作る、土や葉っぱや小枝でケーキを作るなどの「具体的にイメージしたものを作る」遊び、たまたまできた物でお店屋さんごっこに発展したり、始めから団子屋さんをしようとして泥団子を作ったりするなどの「ごっこ遊びに必要な物を作る」遊びがある。これらの遊びは、思いや考えを具体的な形にする要素が強い遊びであると言えよう。“

 

園庭があり、砂場が設けられている園であれば、子ども自らが外の砂場で遊ぶことを選べば、毎日でもこうした遊びを体験できます。しかし、園庭のない保育園に通い、しかも、近隣の公園で自由に遊ぶこともできない園の子ども達は、選択する機会すら得られず、このような大切な体験が不足してしまいます。

外遊びの保育機会をどのように確保していくかは、大人が考えている以上に大きな問題です。

 

視点を広げれば・・・

文京区には比較的広い校庭の区立中学校があります。その一角に、園庭のない保育園の子ども達が、室内でも室外でも自由に遊びを選び、外遊びでは走ったり、登ったり、砂場で遊んだり・・・などなど思いのままに過ごせる園庭付きの施設を作り、希望する園で調整して、月に何日か丸一日過ごせるようにすると良いと思うのです。

 

ちなみに、このように「園庭がない」ことは、幼稚園の認可基準では認められていません。幼稚園も保育園も同様の就学前教育を保障していくのであれば、保育園でも外遊びの機会を保障すべきです。園庭のない保育園の子ども達にも、その時々の気持ちに沿って、外遊びが選べて、さらに翌日にはその遊びの続きができるように、園庭に代わる場所をしっかりと提供する必要があると思っています。

 

このように、園庭の無い保育園が増え、子ども達の保育環境としての「外遊び」の課題を抱えている中、区立青柳保育園の建て替えが決まりました。

建て替え期間中の2年間は、旧水道交流館と児童遊園を使って設置する仮園舎で過ごすことになっています。が、園庭はまったくありません。

 

青柳保育園の近隣には区立音羽中学校があり、グラウンドには建物が一部あるものの旧第七中学校の敷地全部を改修した広い面積があります。かつて第一中学校のグラウンドに耐震工事中の久堅保育園の仮園舎を設置し、園庭も設けていた実績があるので、出来ないことはないはずです。

取材をすると、「音羽中学校のグランドは坂上にあるから保護者が嫌がるだろう~」 との考慮もあって検討されなかったようです。しかし、かつて大塚保育園の耐震工事の仮園舎は、希望の坂を登る青柳小学校内に設置されていた実例がありますし、久堅保育園は今も急坂の途中にあります。

青柳保育園の園舎を音羽中学校グラウンド内に設置することを検討しない理由がないように思うのは私だけでしょうか・・・

 

「文京区立小・中学校では児童・生徒と赤ちゃんがふれあう「赤ちゃん登校日」を実施しています。これは、赤ちゃんやその保護者に学校に来てもらい、赤ちゃんを抱っこしたり、保護者からの話を聞いたりすることで、児童・生徒たちが人の誕生や成長、命の尊さを実感するとともに、人間関係などについて見直す機会とするものです。」

http://www.city.bunkyo.lg.jp/kusejoho/koho/houdou/h26/2014-11.html 

 

上記の取組みからも、幼児と中学生の交流は工夫次第で貴重な教育機会になり得ると思います。

青柳保育園の仮園舎が終了した後も、園庭のない保育園の子ども達が遊びに来て、一日過ごせるような施設として活用することも可能ではないでしょうか。

みなさんは、どう思われますか?

音羽中学校のグラウンド

音羽中学校のグラウンド


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