学校給食無償化~なぜ?文京区議会は反対多数!

文京区議会文教委員会が開催され、学校給食費の無償化を求める議員提出議案2本、と、給食無償化を区、都、国に求める請願が2本提出され審議されました。 
結果は以下の通りで、いずれも反対多数で否決されました。
「なぜ?」という疑問が拭えません。

▼各議員提出議案、請願の内容はコチラから見られます(クリックすると開きます)

◆ 各会派の賛否態度表明

▼文教委員会 「学校給食費の無償化」を審議した議員提出議案2件、請願2件の各会派態度表明 

会派 所属委員 議員提案①
4/1~無償化 
議員提案②
10/1~無償化 
請願①
時期に言及せず 
請願②
時期に言及せず 
自民・無 白石英行
松平雄一郎
のぐちけんたろう 

反対 

反対 

反対 

反対 
公明党 松丸昌史 反対 反対 反対 反対 
永久の会 高山泰三 反対 反対 反対 反対
日本共産党 関川けさ子 
萬立幹夫 
賛成 賛成 賛成 賛成
立憲無所属 海津敦子 反対 賛成 賛成 賛成 
文教委員会審議結果 否決 否決 否決 否決

私(会派「立憲無所属」)が、上記の通り1本(4月1日から実施)について反対した理由は次の通りです。


「子どもの最善の利益」を第一に考え、改善しなくてはならない課題は多々あります。給食の無償化は、そのうちの重要な一つです。「子どもの最善の利益」を第一に考える文京区の教育行政を推し進めて行く観点からは、給食を無償化する意義(「子どもの最善の利益」の観点等)について「十分な周知(各子ども・家庭をはじめ、全区民に対して)」が非常に重要と考えます。
4月1日からの実施だと十分な時間がないと判断したものです。

◆ 文京区の方針「現時点で無償化を考えない」

文京区は、「現時点で給食無償化を考えない」、としています。 

理由は以下の通りです。 

  • 学校では、複数の校舎の建替え、老朽化した施設の改修・修正、ICT環境の整備など、多くの財源を要する工事等に対応することが求められている 
  • 特別支援教育への対応や部活動支援、不登校対応など、これまで以上に多様で質の高い多くの人材確保が必要 
  • 現状においては、これらの諸課題に対して、財源を集中させ、全ての児童生徒に質の高い教育を提供することが最も優先ですべきことと考える

反対した議員の理由は、いずれも区の考えに沿ったものでした。 

さらには、区立中学ではなく私立中学等に進学している家庭に対しては恩恵がないことも理由としてあげられました。

◆ 私の所属会派「立憲無所属」の賛成理由

私が所属する立憲・無所属は、給食無償化を10月1日から施行する議員提出議案、さらには請願に賛成をしました。 

賛成理由は以下になります。 

子どもの権利条約で子どもたちには「生きる権利」「育つ権利」「命を守られる権利」「参加する権利」があります。健康に生きるために、生きていくために安全で安心に食べられ給食は、子どもたちが生まれた瞬間から持っている、健やかに育つ権利に値するものです。 

また、給食費無償化は、子どもの最善の利益を保障していく区の考えとも合致しています。 

老朽化や様々な教室不足の基礎的環境整備は、区が当然行わなければならないものであり、それと、子どもの権利を守っていくことを、どちらが優先すべきこととして考えるのではなく、どちらも優先すべき最優先事項です。 

まして、親の経済格差に関係なく、どの子も平等に安全でおいしい給食を届けられる施策は、将来ではなく、今の子どもたちにタイムリーに届けられることです。
さらに、先生たちの働き改革が喫緊の課題である中、教員が給食費未納の家庭に催促する業務の負担を無くすことにもつながります。

◆ 他の区ではどうなのか?

23区でも、すでに8区が給食費無償化を決めています。 

  • 中央区、台東区、品川区、世田谷区、北区、荒川区、葛飾区の7区は小中学校で無償化方針 
  • 足立区は中学校の給食費を無償化する方針

 

どの自治体も、学校の老朽化、教室不足、ICT環境の整備、特別支援教育、部活動支援、不登校対応など、文京区と同様の問題を抱えています。 

財源の問題で「どれか一つ」ではなく、どの課題にも同時進行で対応して行こうとする姿勢が見られます。

◆ とは言え今の文京区に「財源」はあるのか?

今の文京区には、学校給食の無償化に配分する財源は十分にある、と判断できます。
理由は以下の通りです。 

  • 学校給食無償化の予算規模は、食材費相当額約7億円から、実施中の就学援助世帯への補助分を引いた約6億5000万円程度 
  • 文京区はすでに「文京区子ども応援臨時支援金」として、子ども一人30,000円、約12億円規模を実施 
  • 区長が予算発表時に公表した今後の子育て支援施策方針は 
    • 都の児童手当5000円に加え、高校生への現金給付 
    • その予算規模は約3億6,000万円+事務経費 
  • 令和3年度の決算剰余金は約67億円もある 

文京区は、学校施設の改修・整備や人材確保を優先する、と給食無償化を考えない理由としてあげていますが、上記の「子ども応援臨時支援金」や「高校生への現金給付」などの実施で分かるように、その建前と現実はすでに整合性がなく、「決断次第で出来る」ことがわかります。

◆ 問われる文京区の姿勢

毎日のように朝から夕方まで学校で過ごす子どもたちにとって、学校生活はまさに「生活」です。人はみな、生活の中で食事をするのが当たり前です。まして、子どもは学校で1日拘束されているに等しい状況です。


その「当たり前」を無償で可能にするために財源を使うことについて、子どもの「学ぶ権利」や「育つ権利」をはじめ、「子どもの最善の利益」を保障していくのかどうか、私たち全ての区民も含めて、「文京区の姿勢」そのものが問われている、と考えます。

学校給食の無償化
子どもにとって学校は生活そのもの。生活の中で食事ができるのは「当たり前」のこと。

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