文京区にも欠席委員~教育委員会の形骸化は誰のせい!?

川崎市教育委員会の教育委員が会議の3割近くを欠席していることが報道で話題になっています。欠席の理由は俳優業で地方ロケにいくためなどだそうです。

産経ニュース http://www.sankei.com/life/news/160303/lif1603030026-n1.html 

何度欠席しても委員の月額報酬が全額支払われていることも疑問視されています。

 

では、文京区の教育委員はどうでしょうか?

皆さんもよくご存知の日本サッカー協会の新会長に就任予定の田嶋幸三委員ですが、

http://mainichi.jp/articles/20160202/ddm/008/070/060000c

平成26年度の会議は、15回中6回欠席

平成27年度の会議は、13回中7回欠席

です。

教育委員の会議は、ほぼ月に1回開催されています。ご多忙なためかとは思いますが、委員会に出席して様々な審議をするという、当たり前の職責をまっとうできないのは問題です。

4割以上も欠席されている中、今後も教育委員を続けられるおつもりであるとしたら、教育委員会事務局からは 「欠席が多いのは承知でお願いします」と認められているのかもしれません。

 

委員の中には、豊富な知見から重要なご指摘をされて区の教育行政に貢献されている委員もいらっしゃいます。そのいっぽうで、知名度はあっても欠席ばかりの委員に税金から毎月約23万円もの報酬を支払ってまで委員に名を連ねてもらうことが、区民にとってプラスになるでしょうか? 少なくとも「教育委員会」としての機能面では「形骸化」の一端に映ります。

多忙な中から時間を捻出して出席され、熱心に重要なご指摘をしてくださる委員が、欠席ばかりの委員と同列の「お飾り」の扱いにされてしまっているとしたら大問題です。

 

事実、教育委員会事務局は、教育委員の意見を隠匿していたことがわかりました。

 

「文京区アカデミー推進計画(案)」が策定され、総務区民委員会で報告されました。

http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0105/4334/3_8_akademisuishinhonbu2.pdf

この計画には「スポーツ推進計画」も含まれているため、スポーツ基本法第10条により、“あらかじめ教育委員会の意見を聞くこと”が規定されています。

1月12日に開催された教育委員会定例会で、この計画に対して諮られ、委員から積極的な意見が出されました。

http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0105/6555/28_1tei.pdf

6ページ~8ページ

 

委員からの指摘は主に次の3つです。

 

  1. アカデミー推進計画全体の共通の基本目標が、スポーツ推進計画基本目標と照らし合わせると順番が違うことから、整合性がないような印象をもつから、順番を変えるようにするとよい。
  1. どんなにスポーツは楽しいよと言っても、やっぱりやりたくない子がいるだろうし、例えばサッカーチームの仲間がみんな仲よくなっているときに、そこに入れない子どもは寂しい思いをするだろうし、あるいはケーブルテレビでそういうスポーツをしている子どもたちはいっぱい映るけれども、やっていない子は映らないだろうし。スポーツは大切なことだし、みんなが楽しめれば本当にいいのだけれど、それでもやっぱり楽しめない子、そこから疎外される子が出てくるというその事実というのは否定しがたい。そうした子への配慮を。
  1. 「読売巨人軍との協定に基づく事業」という固有名詞が掲載れていることの疑問

 

教育委員会の意見が「案」に反映されていなかったのを不思議に想い取材をしました。

教育委員会事務局が作成した区長への回答書には、「固有名詞が掲載されていることへの疑問」が指摘されているにも関わらず一切記載されていません。

以下の報告書をご覧ください。

文京区アカデミー推進計画(素案)に係る意見について(回答)

文京区アカデミー推進計画(素案)に係る意見について(回答)

 

「貴案のとおり異議ありません」として、順番や、スポーツ嫌いの子への配慮の意見のみが出たことになっていました。固有名詞が掲載されていることへの疑問が教育委員会から出たことはどこへ行ってしまったのでしょうか。一切削除され、なかったものにされてしまったわけです。

 

ここで最も問題なのは?

「固有名詞を掲載することが良いか悪いか?」ではなく、教育委員から指摘があったにもかかわらず、回答書に記載せず、なかったものにしたことです。

これでは、「法に基づいてちゃんと教育委員会に諮りましたよ」というアリバイづくりだけが重要で、会議の内容自体に意味は無い、と考えているように思えます。

教育委員の指摘は、回答書を受け取った区長にとっても、視野を広げる意味で貴重な判断材料であり、これではその機会が提供されなかったことになります。教育長は、その点でも職責を果たしていないことになります。

 

実際に、教育委員会のトップである南教育長は、会議の中でのこの議題の冒頭と最後に、次のような発言をされています。

 

  • (南教育長) 特段の修正が必要ない場合は、区長に、異議がない旨、お答えしたいと考えてございます。
  • (南教育長) ただ今いただきました各委員からのご意見につきましては、区長部局にお伝えいたしたいと思います。なお、この計画の文章の作成につきましては、意見は意見としてお伝えしますが、最終的には事務局にご一任いただきたいと思います。

 

あらかじめクギを差して、最後にまた念を押しているわけです。

真剣に討議された教育委員の方々はどう感じたでしょうか?

「最終的には一任してもらう」という姿勢を強調した上で教育委員会に諮る意味があるのでしょうか? しかも、「最終的に一任してもらう」ことを拡大解釈して、出された意見さえなかったことにしてしまうことに恐ろしささえ感じます。

しかも実際には、教育委員会からの回答が届く前に、文京区アカデミー推進計画(案)は作成され、結局のところ、教育委員会の意見は一切反映するどころか、協議会で審議すらされなかった事実がその後の取材で明らかになりました。

 

そもそも教育委員会は以下のように位置づけられるものです。

都道府県及び区市町村には、知事又は区市町村長から独立した行政委員会として、合議制の執行機関である教育委員会が設置されています。

「区長から独立した行政委員会」であり、「合議制の執行機関」です。

南教育長のこの姿勢は、「教育委員会=区長の追認機関」であることを自らが推進し、ご自身が「お飾り」であることを率先して演じているように見えて、残念でなりません。

 

このような教育長・事務局の姿勢、仕事のやり方から考えれば、教育委員がいくら欠席しようが、なんら影響がないと考えていることが、残念ながら透けて見えてしまいます。

 

みなさんは、この事実をどうお感じになりますか?

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教育委員会

 

 

 

 

 

 

 

文京区にも欠席委員~教育委員会の形骸化は誰のせい!?” に対して6件のコメントがあります。

  1. はるちゃんママ より:

    委員会が実態として、どのように運営されているか知らなかったので、教えていただいてびっくりしました。
    意見が取り交わされることがないということは、合議制の体を成していませんね。
    やはり、自分とは異なる視点を持つ人の意見を聞くことによって、議論がより深まっていくと思うので、会議に出席できる方にお願いしたいのが、区民の素直な意見です。
    また、会議に出席するとなると、事前に準備したり、事後に色々検討し直したりするという手間がかかるはずですが、欠席された方は、どうしているのでしょうか?
    まさか、議事録に目を通しただけで、判をペタンと押して済ませているのではないでしょうか?

    1. かいづあつこ より:

      4年ほど前の教育委員会定例会は、事前に資料が配布されていても定例会の場で初めて目を通される教育委員もいましたね。さすがに最近はそうしたことがないですが。。。
      欠席された議員はどうされて対応をされているかちょっと謎ですね。こんど調べてみます。

  2. かいづあつこ より:

    ご意見いただくことも十分考えられることだと思います。
    ただ、教育委員会事務局職員が「教育委員会臨時会」という名目で審議事項などを持って、各教育委員を周り意見を頂いているとのことです(持ち回りの臨時会はHP上で公開されていません)が、委員間で意見を交わす状況にはなっていません。
    例えば、PTA役員間では、メール上で委員が顔を合わせなくても意見を交わしあうことがされていますが、そうしたシステムも確立されていないのが教育委員会の状況です。
    通常の教育委員会定例会は、合議制で教育長兼教育委員長を兼ねる常勤委員以外に、専門性が異なる非常勤の教育委員4人による様々な角度から審議を重ねられています。
    それだけに、その中の一人でも欠席するということは、多様な意見によって審議がなされない可能性が高くなります。また、欠席するために意見を事務局に伝えていても、欠席すれば結局は、審議に加われません。
    子ども達の学校生活の不利益につながるかもしれない教育行政がなされる事案等々も審議する
    教育委員会定例会の重要性を鑑みると、欠席を重ねるということは責任を半ば放棄しているようにも私には映ります。

  3. はるちゃんママ より:

    必ずしも会議に出席していなくて、教育委員会が委員間で何らかの形で審議されていればも合議制として関わることが可能かと思いますが、実態はどうだったのでしょうか?
    理想としては、委員が顔をつきあわせて、お互いの目を見ながら、真剣に審議していただきたいものです。

  4. sakura より:

    田島委員は定例会に出席していてもしっかり居眠りしていたこともあり、欠席の割合をみても適任者とは思えません。
    本業がお忙しいのならばご無理される必要はなく、教育委員として責任あるお仕事ができる方に託すべきではないでしょうか。
    区民の為に是非そうしていただけることを望みます。

    1. かいづあつこ より:

      日本サッカー協会のこれまで副会長という要職での教育委員だったので、お時間をとられるのもなかなか難しかったのでしょうね。さらに会長という要になられるのですから、これまで以上に定例会に出席は厳しくなるのではないでしょうか。しっかりとご検討いただく必要を私も考えます。

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