シリーズ6月議会一般質問~④児童相談所の文京区への移管

子どもは親を選んで生まれてくるのよ

病気や障害などのある子どもを育てている親に支援者がかけがちな言葉です。

皆さんはどう考えられますか。

私は、本当に常々、違和感を覚えます。

たまたまの「縁」で結ばれた親子ということなのだ、と私は思っています。

「親子の縁」の中で、もしも子どもが生きていくのが辛いという思いを抱えることがあったなら、「親を見限る」という選択もある、ということを子どもに教えていくことは、子どもと言えども個別の人格として生きていく上で重要なのではないか・・・と考えています。

親がすべてではなく、親でなくても、あなたが生まれて来てくれたことを喜び、応援してくれる大人がいて、「そうした大人と人生を考えていくことがあってもいいんだよ」・・・ということを伝えていきたいのです。

ただ、せっかくたまたまいただいた「親子の縁」。

親がその子とめぐりあったこと、子どもがその親の元で育つこと、いずれも「良かったね」、「生まれて来たからこそだね」・・・と思い合えるような関係になれたら幸せだと思います。

たとえ、生んだ親の元で育つことができなくても、信頼できる大人に恵まれたり、新たに「親」と呼べる人に出会えたり、新たな家族に出会えたり・・・

親も子もだれしもが生まれてきたことを肯定して過ごせるような社会環境を整えていきたいと強く願う日々です。

児童相談所は、親子としての暮らしに様々な課題を抱える家族を支援する機関です。

それだけに、そうした親子が暮らしている自治体にあれば、より身近で速やかな支援等々が可能になります。

文京区は近い将来、区内に児童相談所をつくる方針です。議会として、より良い仕組みになるように最大限応援していかなければなりません。

みなさんの知恵も是非お借りしたいと思います。

議員は、皆さんの声を行政に届ける使命をもっています。児童相談所が文京区に設置されることについて、ご意見をお寄せください。

 

一般質問では、この児童相談所の文京区への移管に関する様々な視点から質問を行いました。

 

④ テーマ:児童相談所の文京区への移管

【一般質問&答弁全文】

 

▼Q:児童相談所を基礎自治体へ移管する法律が可決したが文京区の方針は?

児童福祉法等の一部を改正する法律が可決し、児童相談所が住民に密着した基礎自治体に施工後から5年を目途に移管されることが現実的になってきました。文京区としては、児童相談所の移管をどのように考えているのでしょうか。

 

▼A:成澤区長

児童相談所を基礎自治体に設置することは、児童相談体制の充実や窓口の明確化を図るとともに、一貫した支援体制が構築されることにつながることから、早期の移管が必要であると考えております。

 

▼海津の視点:

早期の移管を速やかに行うとともに、文京区の実状に応じた支援をしっかりと届ける仕組みを構築し、すべての子どもや家庭が虐待と無縁で安心して暮らしていかれるようにしてほしいと切に願います。

 

▼Q:施設整備や一時保護所、職員数などの計画は?

「特別区児童相談所移管モデル」で示された、人口20万人規模の場合の児童相談所の施設整備、一次保護所の設置、職員数をどのように確保していくのか、計画の概要をお聞かせ下さい。

 

▼A:成澤区長

一時保護所の設置などについての、これまでの検討状況を踏まえながら、今後、本区のロードマップを作成いたします。その中で施設整備内容や施設設置場所、職員の育成・確保方法について検討してまいります。

 

▼海津の視点:

子どもは、一時保護所に保護されるとそこでほぼ丸一日を過ごすことになるだけに、子どもの視点に寄り添って、運動ができたり外の風にあたったり、勉強ができたり、子ども自らが安心して楽しいことを見いだせる環境の整備を求めていきます。

 

▼Q:養子縁組や療育手帳などの事務業務の配分は?

移管されれば、養子縁組や療育手帳などの業務も発生してきます。事務の配分はどのように考えていくのでしょうか。方向性をお示しください。

 

▼A:成澤区長

児童相談所設置市の事務については、児童福祉審議会の設置や里親に関する事務など、広範囲に及ぶことから、今後、根拠法令や既存業務を踏まえた整理を行ってまいります。

 

▼海津の視点:

里親や特別養子縁組、療育手帳の発行など、これまで区として手掛けたことがないだけに、どのように職員を育成していくかが大きな課題です。すべての子どもが家庭で安心して育ち、親子の縁を肯定的に感じて幸せに暮らせるようにしてほしいと切に望みます。

区が力を入れている「ぶんきょうハッピーベイビープロジェクト*」にも、養子縁組で子どもを授かり育てることができるという選択肢があることを記載するよう求めていきます。

  • ぶんきょうハッピーベイビープロジェクト↓

http://www.city.bunkyo.lg.jp/kyoiku/shussan/ninshinshussan/_18818.html

 

▼Q:里親支援を担う専門性の高い人材の育成は?

里親の開拓から児童の自立支援までの一貫した里親支援も組み込まれ、専門職の確保が重要です。移管までの概ね5年間にそうした業務を担える人材育成をどのようにはかられますか。現状の人材でできること、移管までに強化していくべきと考えるかもお示しください。

現状のように3、4年で異動する人事の見直しも必要になるかとも思います。伺います。

 

▼A:成澤区長

今後、作成するロードマップを踏まえ、的確な人材育成を図ってまいります。

また、移管までの間、現在の子ども家庭支援センターで蓄積してきたノウハウを基本として、児童相談所への派遣や都職員の受入れ協議を行うなどにより、体制を強化してまいります。

なお、人事異動については、引き続き職務内容や職員育成を踏まえて適切なローテーションで、実施してまいります。

 

▼海津の視点:

専門性の構築は不可欠なものとなっています。また、適正配置という観点からも、児童相談所業務には向き不向きがあります。そこの見極めをしっかりと行ってほしいと思います。多くの区民が口々に「なぜあの人が福祉の担当を・・・」と疑問を持たれる人事も行われている現状を考えると一抹の不安が残ります。適切な人事配置ができるような仕組みの構築を求めていきます。

 

▼Q:特別養子縁組の要件について研究を進めるべき

特別養子縁組も文京区として力を注ぐべきことだと思います。特別養子縁組については30年ほど前から、児童相談所の職員が率先して、特に新生児の特別養子縁組に取り組んできた愛知県などから学ぶと同時に、同性愛の方たちにも子どもを親子の縁を持って育てていかれるような配慮等、特別養子の要件について移管に向けて研究を進めるべきかと思います。伺います。

 

▼A:成澤区長

都の「養子縁組里親」制度においては、制度設計上の課題や里親の不足などから、特別養子縁組が必ずしも円滑に進まない状況があると認識しております。

今後、移管に向け、特別区において、都と協議しながら、相応しい制度のあり方を議論していくとともに、基礎自治体ならではの有効な取り組みについて、検討を行ってまいります。

 

▼海津の視点:

大阪では同性愛のカップルも里親になれるなど広く門戸が開かれています。ぜひ、子ども達が様々な出会いを得て、施設以外にも暖かい家庭を選んで暮らせる環境整備にむけて、検討を重ねてもらいたいと思います。

 

▼Q:足立区の個人宅でのショートステイ事業を検討して欲しい

足立区では、ショートステイを個人宅で請け負う事業もなされています。里親の開拓にもつながるものと期待されますが、文京区でも検討いただけないでしょうか。

 

▼A:成澤区長

児童相談所移管後の里親制度を検討する中で、研究課題としてまいります。

 

▼海津の視点:

個人が自宅で子どもを預かる体験を積み重ねることは、子どもとの関係性など里親になることを具体的に想像しやすくするはずです。モデル事業を行うなかで実践的な研究をしていくことを求めていきます。

 

▼Q:文京区版ネウボラを母子健康包括支援センターに位置づけるのか?

児童福祉法の一部改正案では、児童虐待の発生予防のため、妊娠期から子育て期まで切れ目ない支援を行う母子健康包括支援センターの設置にも努めるものとされています。

伺います。文京区版ネウボラを母子健康包括支援センターに位置づけるのでしょうか。改善すべき課題があればお示しください。

 

▼A:成澤区長

現在、本区では、子ども・子育て支援事業における「子育て世代包括支援センター」の機能を果たす形で、ネウボラ事業を実施しておりますが、先の国会で成立した改正法では、「母子健康包括支援センター」として位置づけられておりますので、今後の課題を含め、引き続き、国の動向を注視してまいります。

 

▼海津の視点:

なぜ改善すべき課題を示さないのか、示せないのか、疑問が残ります。

PDCAサイクルで事業の検証や改善を行っていくことになっているにも関わらず、課題が示せないのは合点がいきません。

国の動向待ちではなく、ネウボラ事業を検証し、課題を抽出し、改善すべきものは改善し、速やかに「母子健康包括支援センター」の設置ができるように準備すべきです。

 

▼Q:文京区版ネウボラでの児童虐待の発見件数、相談件数は?

文京区版ネウボラのこれまでの運用の中での児童虐待の発見件数、相談件数をお聞かせください。

 

▼A:成澤区長

本事業の運用にあたり、虐待のリスクがあるものと認識し、子ども家庭支援センターと連携した案件は、平成27年度中で50件を超えている状況でございます。

 

▼海津の視点:

昨年度に表面化したものだけでも、50件もの家庭が虐待リスクに直面していることから、さらなる個々の家庭に応じたトータルな子育て支援の必要性を痛感します。

文京区の特性のひとつとして、親が子どもに対して、成績や進学など「あなたのため」という大義名分のもとに行き過ぎた「しつけ」や「教育」を行い、結果として子どもを心理的に追い込んでしまう「教育虐待」の事例も耳にします。

昨年度の事例を検証し、どのような支援を強化、新設していくべきか、区の実状を聴き取り、来年度予算に反映することを求めていきます。

 

児童相談所

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