「文の京」の看板が泣く~35人学級制度の実施を求める採択請願にゼロ回答

今年2月の議会で採択された請願について、教育委員会が検討した結果の報告が議会にありました。

【文京区として独自に、小、中学校の全学年で35人学級制度の実施を求める請願 】↓
http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0107/4510/seigan_43.pdf

2月議会本会議で採択されました。
ちなみに請願は、憲法16条で保障されている国民の権利で、文京区のHPには以下のように記載されています。

本会議で採択された請願は、区の仕事に関するものは区長等に送付し、国や都の仕事に関するものは関係機関に意見書や要望書を提出するなど、その実現方を要望し、問題の解決に努力するように求めます。

その、議会で採択された請願を受けて「実現に向け問題の解決に努力した結果」としての区からの回答は、実質「ゼロ回答」です。
–> 検討結果:http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0113/8576/gian_54.pdf

文京区は「文京区教育ビジョン」で、

「個が輝き共に生きる文京の教育」 とし、これを推進する。

としています。
また、

「個が輝く」とは、一人ひとりの子どもが尊重され、個の力を発揮して伸びていく様子を表した言葉である。

と丁寧に解説しています。「個が輝く」ためにも「少人数学級」は実現すべきです。
にもかかわらず、今回の検討結果は、「文の京」を掲げ、常々「教育日本一」を枕詞に使ってきた意気込みがまったく伝わってこない非常に残念な内容です。

まず、区独自に、小中学校の全学年に35人学級を導入することができない理由が、説得力をまったく欠いています。最初から、議会が採択した請願に対して検討する姿勢がなかったのだろうということが透けて見えてきます。

そもそも、「できない」もっと言えば「やらない」理由として、教室数の確保が困難であることをあげています。ところが、文京区は毎年、各区立小学校に「必要となる教室数」への対応可能性について、各校の児童数及び最新の年少人口データに基づき検討を行っており、教室が確保できるよう常に考えています。そこで検討する「必要な教室数の考え方」には、少人数指導のための教室、カウンセリング等の教育相談室、特別支援教室、35人学級編成の対応などが考慮され、今後、毎年、小学6年生まで35人学級が拡大されることも視野に入れた試算がなされているのです。

つまり、区としては、35人学級を視野に入れて教室数を確保しているにもかかわらず、教室数の不足を「やらない」理由にあげるということは、自分たちの試算そのものを否定しています。
http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0098/8149/nensyo-houkoku.pdf

次に 区独自に教員を確保することの困難さを「やらない」理由にあげています。
ですが、既に実践している自治体があります。
例えば、埼玉県志木市。

「子どもの個性を伸ばし、豊かな人間性を育むためには、教師の目が行き届くよう、生活集団そのものを少人数化することがより効果的であり、子どもの多様性に応える教育活動を展開することが大切。」

として、市独自で学級編制を実施する場合、子どもの数にしたがって埼玉県から配置される教員だけでは不足するため、市独自で教員(常勤講師)を選考・採用し、未来を担う志木の子どもたちに、最高の教育プログラムを提供しています。

大阪府高槻市でも、市独自の取組をしています。
国の基準では、小・中学校の1クラスの子どもの数は、最大40人(小学校1年生のみ最大35人)となっています。

「大阪府はこれまで、国の基準と府の施策により、小学校1、2年生の学級編制を35人以下としていましたが、本市では、子どもたち一人ひとりによりきめ細かな教育を行うため、今年度から府内では初めて、小学校のすべての学年で35人以下の学級編制を実現しました。」

 

全国の様々な市区町村で独自の取組を進めており、文京区がゼロからチャレンジしなければいけないような「全国初の取組」ではないのです。やる気があれば可能です。他自治体からやり方を学び、区独自の教員採用を行い、少人数学級を実現できれば、子ども達と、その子どもたちの持ち物であふれる教室にゆとりが生じるとともに、子ども一人ひとりと丁寧に向き合う、決め細かな指導を届けることができます。それこそが「個が輝く」ための教育だと言えます。
そしてそれは、将来への確実な投資です。
検討結果は、「請願事項を直ちに実施することは困難なものと考えております」とのことですが、困難なものにしているのは、教育委員会の意識の問題であり、「自分たちの意識を変えるのは困難です」と開き直っているように感じます。
そもそも、「義務教育につきましては国の責任が大きいため、引き続き、国や都の動向を注視してまいります」としていますが、小中学校の設置義務が課されている市区町村は、義務教育の直接の 実施主体として相当な責任を負っています。その地域で暮らす子どもたちの今と将来を左右するほどの影響力を持つ市区町村の責任の大きさは国以上だと思います。あくまでも、国は義務教育の根幹(機会均等、水準確保、無償制)を保障する責任がありますが、子ども達の実情に応じた指導形態を工夫し主体的に取り組むのは市区町村の責任です。
「国や都の動向を注視してまいります」というのは、主体性と責任感が欠けた「指示待ち」の仕事姿勢です。
実現のためには、他自治体を参考にしながらも、自分で考え、決断をしなければならない。・・・それは苦手。・・・責任も取りたくない。・・・言われなきゃやらない。
議会で採択された請願に対して、「やりたくない」から理由をあれこれ並べて「まだやらなくてもいいレベル」と決めつけている検討結果です。推察するところ、都教育委員会が「やれ」というまではやらない、というのが本音ではないでしょうか。
都が少人数学級を全学年に拡充していないのに、文京区が先行してやって都教育委員会の気分を害したら・・・という意識もあるのかもしれません、
いずれにしても、教育委員会で仕事をするという意味、自分たちの使命や役割がわかっていないのではないか?という検討結果です。

区内の学校では学級崩壊が起きているところが少なからずあります。不登校も増えています。
子どもたち一人一人「個が輝き」、「学校は楽しいところ」と実感できるようにするためにも、個々の理解度や興味・関心に応じた決め細やかな指導が急務であり、先生が向き合う子どもの数は減らすべきです。
ちなみに、文京区の南教育長は東京都特別区教育長会で、「小学校3年生の35人学級実施のための加配措置」を東京都教育委員会に要望しています。
ならば、ゼロ回答ではなく、文京区独自に、まずは小3からでも段階的に35人学級をスタートさせるような意気込みを実践する「本気度」を見せて欲しいと思います。

 

最後に。
「文京区職員育成基本方針」の中で、目指すべき職員像として、
「課題に気づき解決に向けて、自ら考え行動できる、改革志向の職員」と定め、職員の意識改革と能力開発を図っています。
としています。
しかし、今回の検討結果から見る限り、目指すべき職員像にはまだまだ遠いと感じてしまうのは私だけでしょうか。

 

【参考資料】

「今後の学級編制及び教職員定数の在り方に関する国民からの意見募集」集計結果
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hensei/007/__icsFiles/afieldfile/2010/09/30/1298074_1.pdf

35人学級

望ましい学級規模 小中保護者・教員の表 4ページ

 

 


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