小学校の教室が足りない!?教育日本一を目指す文京区の学校整備は発想の転換を!

今週は、入学式や新しい学年のスタートとなった学校も多いのではないでしょうか。

子どもにとって学校は暮らしの中心です。 一人ひとりが窮屈な思いを抱くことなく、どの子も居場所のある授業・学校生活となるように、学校がさらに子どもたちを主役に、個々の知的好奇心に応える工夫、改善を積み重ねてほしいと願っています。

● 文京区立小学校の児童数が大幅に増加

さて、文京区はここ数年、年少人口がとても増えています。

その影響から、平成28年度の区立小学校在籍児童数が、2年後の平成30年度には778人増えました。1年に約350人、増えてきたことになります。

平成28年度~平成30年度 文京区立小学校の児童数推移(増加数の多い順)
文京区立小学校 児童数増加 *文京区のホームページ公開資料から作成

 

交通の便が良いことからも、「子育てと仕事の両立」からも文京区は人気が高いとされています。そのため、新たに建てられるマンション・一戸建てだけでなく、中古マンションを購入して住む家庭も多くいます。私が住むマンションでも子育て世帯がここ数年でぐっと増えました。

しかし、教育委員会は、新築マンション等の建設があっても、「どのぐらい小学生がいるかわからない。小学校入学時から私立志向もあるかもしれないから、予測はできない」、として、児童数が増えることを推測した対応をしておらず、教室の確保などに影響が出つつあります。

しかも、教育委員会は教室数の確保の中で、中古住宅を購入されたり、賃貸で文京区に移り住む子育て世帯のことは考慮していません。 中学校は、小学校卒業時に6割近くが私立・国立等に進学する文京区では、まだまだ教室にゆとりがあります。が、小学校の教室不足は深刻です。

学習指導要領の改訂では、「主体的・対話的で深い学び」を目玉とし、討論やグループ活動を通じて子どもが学びあう「アクティブラーニング」を重視する考え方です。本来であれば、そうした新たな教育に向けたハード面の整備が重要です。

 

● この先どうなる? すでに目一杯の学校も 

新学習指導要領では「先の見えない時代、自ら問いを立てて考える人を育てよう」としており、先生自らが「主体的」に授業を展開できるようにするためには、各学年に学級数プラスアルファの多様な学びを実践できる教室の整備が必須だと思うのです。

 

例えば以下の小学校は、この4月の学級数を見ると、来年がどうなるか非常に危うい状況です。

文京区 教室が足りない!?

ちなみに、誠之小学校は建て替えの最中で、子どもたちは仮設校舎で学校生活を過ごしています。 なぜ、仮設校舎の教室を設計する時に、今回のように教室が目一杯になってしまうような学級数を想定したのか?? 見通しの甘さと言えるのではないでしょうか。

そもそもが、教育委員会が対応可能としている学級数は、ランチルームやパソコン室、会議室等をすべて普通教室に転用する前提の数字です。これ以上の数を確保する余地がありません。

学校現場からは、多様な教育活動をするのに必要な部屋がどんどん無くなり、「『文の京』を名乗り、教育日本一を目指すには、あまりにも貧弱な教育環境だ」との声をたびたび聴きます。

学校現場が必要と考える部屋の確保と、教育委員会机上で考えた「大丈夫」にギャップが存在していることは否めません。

 

● 本来の学校施設整備とは?

文部科学省の「小学校施設整備指針」には以下の記載があります。

【高機能かつ多機能で変化に対応し得る弾力的な施設環境の整備】

教育内容・教育方法等の変化などに対応して,多様な学習内容・学習形態やコンピュータその他の高度な教育機器の導入などを可能とする高機能かつ多機能な学習環境を確保し,更に,今後の学校教育の進展や情報化の進展等に長期にわたり対応することのできるような柔軟な計画とすることが重要である。

 

【子供たちの主体的な活動を支援する施設整備】

多様な学習形態,弾力的な集団による活動を可能とする施設

  1. 多様な学習内容・学習形態による活動を可能とする施設として計画することが重要である。その際,児童の主体的な活動を支援する工夫や児童の持つ豊かな創造性を発揮できる空間として計画することも重要である。
  2. 一斉指導による学習以外に,ティームティーチング(複数教員による協力的指導)による学習,個別学習,少人数指導による学習,グループ学習,複数学年による学習等の活動及び児童の学習の成果の発表などに対応するための学習メディア等が活用できる多目的な空間を計画することが重要である。

「~重要である。」:学校教育を進める上で必要な施設機能を確保するために標準的に備えることが重要なもの

 

真に「文の京」を名乗り、「教育日本一」を目指すなら、言うまでもなく「教育の質」の高さが条件になるはずです。その「教育の質」を左右する学校の施設環境整備をないがしろにして、「環境は貧弱でも、質は高い」とはなりません。

学校環境は、子どもたちが「学ぶ環境」であると同時に、先生たちが質の高い「教育を提供する環境」です。現場で子どもと向き合う先生たちの要望を活かし、質の高い教育を提供できる環境の整備をこれからも求めていきます。

 

● 35人学級が実現したらどうする?教育長会で毎年要望単なるパフォーマンス? 

例えば、柳町小学校は建替えの設計を、40人学級の各4クラス編成で試算した学級数を考えています。が、4クラスになれば少人数学習室はつぶしていかなければならない設計です。しかも、この10年以内には校区内に、大規模マンションが複数できると言われている中で、その影響は全く設計に考慮されていません。

また、40人学級での試算ですので、35人学級になれば本来ならば5学級も視野に入れなければならないところです。が、そうしたことの想定は残念ながらありません。どのぐらい子どもがいるか「わからない」「予測ができないから」、と答弁がされます。思考停止状態と言わざるを得ません。

建替えて10年も経たないうちに増築しなければならなくなることも、十分にあり得ます。増築しないまでも、子どもたちの多様な学びを支えるための部屋をさらになくし、教室に転用せざるを得ないことになり得ますが、教育委員会は、「それで対応できるなら良い」との考えです。

本当にそれでいいのでしょうか? すでに35人学級が導入されている1,2年生は5学級も想定すべきですが、していません。

23区の教育長会からは都に対して毎年「35人学級を3年生までに拡大する要望」を提出しています。もちろん、文京区の教育長も参加しています。教育長会が、ただのパフォーマンスとして要望を出しているのでなければ、現状の1,2年生のみならず3年生の35人学級も視野に入れた設計を考えるべきです。しかし、改築等の設計では、まったく考慮されていません。

子どもたちの多様な学びを柔軟に支援できる学校環境の整備は、学びの根幹を支える重要なものです。

 

● 学校施設に求められるさらなる役割=地域の核 

文部科学省の小学校施設整備指針は以下のことも求めています。

【地域の生涯学習やまちづくりの核としての施設の整備】

地域住民にとって最も身近な公共施設として,まちづくりの核,生涯学習の場としての活用を一層積極的に推進するためにも,施設のバリアフリー対策を図りつつ,必要に応じ他の文教施設や老人福祉施設等との連携や地域の避難所又は緊急避難場所(以下「避難所等」という。)としての役割を果たし,また,景観や町並みの形成に貢献することのできる施設として整備することが重要である。

「~重要である。」:学校教育を進める上で必要な施設機能を確保するために標準的に備えることが重要なもの

 

しかし、文京区の建替えの設計をみると、「地域の生涯学習やまちづくりの核としての施設の整備」という視点は残念ながら欠けています。その理由として、「PTAや町会も参加している建て替えを考える検討委員会でそこまでの要望はない」といったことを教育委員会は言い訳にしています。

他の自治体では、学校を建て替える際には、プール、図書室、音楽室や家庭科室等を地域住民に年間を通して開放ができるように設計をしています。文京区も当然、PTAや町会から要望の有無に関係なく、実現に向けて考えていくべきことです。ですが、そうした考慮はなされていません。

他自治体の学校改築で地域住民の核となる設計をしていることを事例にして質疑を重ねると「地域開放は進めます」と答弁します。が、実際の学校現場では、動線の悪さで子どもたちの安全確保が図れない等の理由から、開放しにくい、活用が進まないという現状に終始しています。

 

● これからの学校環境整備には発想の転換が必要

子どもたちが伸びやかに学び、先生たちが柔軟に子どもたちの好奇心に応えていける改築、増築計画が重要だと思っています。

児童数の増加をチャンスに変えて、これからの教育のあり方を十二分に考慮し、後手に回ることなく、子どもたちの学びを支える教育の根幹に学校環境整備を位置付けるべきです。教育日本一を目指すなら、学校環境整備の質の高さも誇れるように発想を転換することが鍵です。

また、さらには、学校を地域の核として位置づけ、小さな子どもからお年寄りまで、地域の多様な人々が「ゆるやかにつながりを生み、育てていける場」にして行くことで、誰もが、生きづらさや困難を抱えた時にも、社会から孤立することなく、安心して暮らせる社会になる、というのが私が進めていきたい施策です。 学校の建替えには柳町小学校で約100億円もの税金が投入されます。その金額だけでなく、建物の設計が周りに及ぼす力には大きなものがあります。

 

いずれも、現状の区の学校の改築・増築の考え方からは、ハードルが高く感じてしまいます。が、教育委員会や区が、真剣に子どもたちや区民の将来を考えた上で、「では今、何をすべきか、どうしたらできるか」を具体化していく発想に転換し、仕事に取り組む姿勢に変わりさえすれば、すぐにでも始められることだとも思っています。

そのためにも、みなさんのご意見をぜひお聞かせください。


<ご参考>*PDFで開きます

小学校の教室不足の懸念を取り上げた「海津新聞Vol.18」

学校を「地域の核」としての活用を提案した「海津新聞Vol.17」

 

 


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