役所の出し惜しみがモッタイナイ!~当事者に「対象にならない」と感じさせてしまう情報提供のあり方「就学援助」「移動支援」に見る実例

平成から令和へ。

元号はかわり、時代の大きな節目となるのかもしれません。 それでも、日常は淡々と流れていきます。令和の幕開けを機に、変えていかなくてはならない課題はいくつもあると思っています。その一つが役所の情報提供のあり方です。

◆ 5月から~家計に負担!学校教育費

学校は、連休があけた5月から6月末にかけて、様々な費用の引き落としを始めていきます。

平成28年度の文科省「子ども学習費調査」によると、公立小学校で年に約6万円、公立中学校で約13万4000円の学校教育費(修学旅行、図書・学用品・実習材料費)、通学関係費〈制服、ランドセル・カバン等の通学用品購入費〉、教科外活動〈部活動等〉)を学校に支払うことになると試算されています。

では、文京区はどうかと言うと・・・

例えば、区立中学校に関して、この調査では2万5000円ぐらいとされている修学旅行等の費用に対して文京区では7万円の備えは必要です。。通学関係費も、同調査で約3万6000円となっているところ、おおよそ8万円以上かかり、総じて同調査より高いのが実態で、家庭の負担はさらに重いものがあります。それだけに、各家庭で教育費をどのようにねん出していくか、大きな課題です。

文部科学省~平成28年度子供の学習費調査の結果について 
https://tinyurl.com/kaizuatsuko-gakushuuhi

 

◆ 子どもの7人に1人が貧困~昨今の家庭の経済状況 

子どもの学校教育に対しての費用をねん出しなければならない各家庭の経済状況に目を向けると・・・

日本の「子どもの貧困」は、今や広く知られるようになりましたが、2015年の厚労省の調査で13.9%、7人に1人が相対的貧困状態にあり、OECD加盟36か国の中でもワースト13位です。 さらに、ひとり親家庭の相対的貧困率は5割を超えています。

公立の学校に通う児童・生徒の家庭環境は様々であり、こうした数字を重く受け止めた上で、どの子も家庭環境に左右されずに、学校教育が受けられるように、家庭の支出を考えなければならないと思います。

平成で明らかになった、育つ家庭環境によって教育や体験の格差が生まれてくる問題を、令和で解決してこそです。その一歩は、必要な人に必要な情報や支援が速やかに届くということだと考えます。

 

◆ 就学援助制度の「原則」と実態 

折々の家庭の経済状況で、子どもの教育費について困ったとき、悩んだ時に、頼りにできるのが就学援助制度です。 就学援助は、経済的困窮で子どもたちの学習機会を奪うことがないように、さらには、各家庭が教育費で悩み不安を抱えることで社会からの孤立感を抱えてしまうことがないように、あるための制度です。

ところが、そうした制度がありながらも、残念ながら、まだまだ広報が足りない現状があります。行政の「出し惜しみ」にさえ感じられます。

例えば、文京区では、就学援助を受けられるかどうかは、世帯の「前年度の所得」で決められると書かれています。 しかし、それはあくまでも「原則」です。 昨年度の年収がすべてではありません。今の経済的状況で就学援助が必要かを検討していきます。

転職をしたり、仕事の状況により、前年度よりも収入が減っている家庭にとって、子どもの学習費の支出は経済的な負担感だけでなく心労も伴うものです。役所も十分にそうしたことを想定しています。 保護者が亡くなったり、病気になったり、転職等々で家計が急変したり、高額な医療費がかかるようになった場合など、特別な事情を申告すれば、、「前年度の所得」ではなくても、各家庭により添い、しっかりと検討をしているのが、役所の実状です。 心強い制度であり、当事者の事情を汲んだ支援をしています。

一方、残念なことに、「出し惜しみ」でしょうか。制度の案内資料からはそういった「特別な事情に寄り添う」というような文言はなく、読み取れません。

つまり、文章通りに読めば、前年度の年収でいけば、支援は受けられない….と、あきらめてしまうご家庭も少なくないと思われます。実にもったいない!  本来ならば、「前年度の所得はあくまで原則であり、特別な事情にも配慮するので、相談してください」と明記し、丁寧に周知していくのが行政としての役割だと私は考えます。

文京区~就学援助(小・中学校でかかる費用の援助) 
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kyoiku/kyoiku/gakko/aid/enjyo.html

 

◆ 何のためにあるのか?役所と議会  

そもそも役所は何のためにあるのでしょうか?

私は、このように考えています。

住民が暮らしに困難を抱えた時。例えば、経済的な困窮や、心身の疲労、子育てと仕事の両立、介護と仕事の両立・・・等々で暮らしに困りごとを抱えた時に、誰にも「助けて」という声をあげられなかったり、繋がりを感じられる人が周囲にいなかったり、と社会的に孤立してしまいそうになる当事者に寄り添い、制度や施策を持って、困りごとを軽減するための情報や多様な選択肢を具体的に提示するのが、役所の責務であり役割である

・・・と。

 

いっぽう、議会、議員の責務は? 

役所、当事者の抱えている困りごとに真摯に速やかに応えられる制度としているか。制度設計に対して「だれひとり取りこぼさないようになっているか」をしっかりとチェックし改善していく。行政を区民の立場から監視し専門的知見をもって調査を行い、足りてない制度には、政策提言をして改善をしていくのが使命だと私は考え、努めています。

 

◆ 「出し惜しみ」周知の実例②障害福祉 

役所の「出し惜しみ」は、障害福祉にも見られます。

障害があるために「屋外での移動に著しい困難がある人」に対して移動を支援する「移動支援」という事業があります。文京区は、その事業の中で、身体障害のある成人に対して、「原則、肢体不自由1級で車椅子を使用する方」という条件をつけています。こう書かれていると、「肢体不自由1級で車椅子を使用していなければダメだ」と考えてしまいませんか?

実は、肢体不自由1級でなくても、車椅子を使用していなくても大丈夫なのです。これはあくまでも原則なのです。車椅子での移動はしていないけれど、杖を使っての移動で外出に困難がある人がいるのは当然です。ですから実態は、「個々の状況に応じて聴き取り、移動支援をつける」ことがなされています。

文京区の移動支援の事業の周知は、身体障害のある成人の受給者を増やさないように、水際で絞り込みたいという思惑にも感じさせてしまう周知のあり方であり、残念です。

例えば、足立区は移動支援を受けられる条件として「身体障害手帳の交付を受けている者」という書き方をしています。足立区のような書き方であれば、「車椅子でなければダメなのだ」という思いを当事者に与えてしまうようなことはありません。

文京区も実態は、足立区の文章と同様に、身体障害手帳を持っている方の移動の困難に丁寧に向き合っています。それだけに、「原則」といった言葉で濁すことなく、当事者が読んでわかる文章にしてこそ、当事者の心をくみ取った細やかな支援の出発点に立ったと言えるのではないでしょうか。

 

◆ 必要な人に、必要な情報、必要な支援を、確実に届ける! 

当事者が抱える暮らしの困りごとの背景にある事情は様々です。そうした当事者が、「自分が事業、制度から取りこぼされていない」「自分のことも考えられている」と思え、役所に相談ができるように、事業や制度の周知の文言を見直す必要を強く感じます。

ぜひ、「こうした方がいいのでは」といったご意見やアイディアを聞かせていただけると幸いです。 みなさんと共に、「自分が取りこぼされてない」「相談に行って大丈夫だ」と思える周知のあり方に変えていきたいと思います。

 

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文京区 就学援助の内容

文京区~就学援助(小・中学校でかかる費用の援助) 
https://www.city.bunkyo.lg.jp/kyoiku/kyoiku/gakko/aid/enjyo.html

文京区 就学援助

  • 文京区立学校在籍の場合、認定された方の給食費は、教育委員会から学校へ直接支払います。
  • 実費支給分のうち給食費以外の援助費目は、後払いになります。 
  • 援助対象外となった場合、既に受給した援助費であっても返還を求める場合があります。 
  • 生活保護(要保護)を受けている方は、印の費用を福祉部生活福祉課から支給します。
  • 私立の小・中学校に在籍されている場合は、学習支援費(クラブ活動費相当額を除く)と新入学用品費のみの支給となります。
  • 注1 学習支援費
  • 援助の対象となるのは学用品費・通学用品費・クラブ活動費(中学の部活動加入者のみ)
  • 申請月により金額が変わります。 
  • 注2 新入学用品費 
  • 小・中学校入学前の支給が原則ですが、入学前に未受給(転入した方については他の区市町村にて新入学用品費に相当する援助費を未受給であることが確認できた場合)かつ4月からの認定となった場合のみ、入学後であっても支給します。
  • 入学前に区外転出予定の方は援助対象外です。 
  • 注3 修学旅行費
  • 中2での事前支給が原則ですが、中2の時に未受給かつ修学旅行実施月時点で認定となっている場合は、中3であっても支給します。
  • 修学旅行実施前の区外転出や不参加等の場合は援助対象外です。 
  • ※注4 通学費=次の方が対象になります。
  • 指定校変更及び区域外就学の手続きにより、指定校以外の区市町村立学校に通学している方のうち、通学にかかる距離が小学生は片道4km以上、中学生は6km以上の方
  • 特別支援学級・学校在籍で交通機関を利用している方(距離は問いません)

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