岩井臨海学校は廃止? 魚沼移動教室は短縮? 教育委員会は「何も決めていない」~オトナの事情でなく子どもを主役に熟慮を!

「岩井臨海学校、魚沼移動教室の今後について、まだ何も決定していない」

「PTAの意見を聞くなど総合的に勘案して、代替え案と共に9月の教育委員会に報告する」

文教委員会(7月25日開催)で報告された「岩井臨海学校の今後のあり方について(検討状況)」の質疑に対して繰り返された、区担当課の答弁です。

 

  • 岩井臨海学校
    • 文京区立小学校6年の児童のうち希望者に対して、千葉県南房総市岩井海岸にて、小学校ごとに2泊3日で実施している宿泊体験活動。
  • 魚沼移動教室
    • 文京区立小学校6年生の授業として、新潟県魚沼市とその周辺で、小学校ごとに3泊4日で実施。

 

小学校長代表・教育委員会事務局がメンバーの「魚沼移動教室・岩井臨海学校あり方検討会」(以下、検討会)の検討結果は、

  • 岩井臨海学校は平成31年度をもって廃止
  • 魚沼移動教室は「尾瀬ハイキングを外して、実施プログラムを変更し3泊4日を2泊3日に変更する

というものです。が、教育委員会はあくまでも、「検討会の結果であって決定ではない」としています。

岩井臨海学校の今後のあり方について(検討状況)
https://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0182/1094/20190725_bunkyo_1.pdf

 

文教委員会では各委員から、岩井臨海学校に代わる宿泊学習の継続を望む声が寄せられました。ですが、答弁からは、正式決定はしていないけれど、宿泊施設の確保が難しく岩井臨海学校は廃止せざるを得ないという本音と共に、岩井臨海学校の代替えとして学校単位でどのような宿泊学習を提供できるか、教育委員会が「苦慮している」現状が垣間見えました。

 

また、魚沼移動教室については、6年前の「校外学習のあり方検討委員会審議結果報告」で、

  • 「人間関係・コミュニケーション能力」等の育成において2泊3日と比較して3泊4日以上の方がより高い効果がある
  • 宿泊体験活動との関連性が一般にあまり意識されていない「いじめ」「不登校」等の解消にも効果が認められるなど、多様な効果が期待できることが明らかになっている

ことから、「文京区の児童・生徒にも3泊4日の宿泊体験による効果が十分に期待される」として、2泊3日から3泊4日に日数を増やした経緯があります。

今回、尾瀬ハイキングが児童にとって体力的に厳しい等から外すということは理解できるものの、宿泊日数については「ついでに」3泊4日を2泊3日に縮めてしまった感が否めません。先生たちにとって3泊4日の宿泊学習の同行は、子ども達以上に体力的に厳しいものがあってのことでしょうか。

文科省は、3泊4日以上の宿泊体験活動は「いじめ」「不登校」等の解消にも効果が認められるとしています。3泊4日の宿泊学習を実施してきた結果と2泊3日にした場合とを比較してどのような違いがあるのかを検証することを要望し、9月議会への報告を求めました。

 

世界で最も長時間勤務と言われる日本の学校教員の働き方改革が話題になっている昨今、文京区では、この4月から7月の間に、区立小学校20校で9人(うち新規採用6人)の先生が退職するという状況です。そうした現場の実情も踏まえて、人員を確保することなども重要な課題です。

宿泊学習は、子ども時代の思い出のひとつにもなる時間です。「楽しかった」、「行ってよかった」と思える時間を一人でも多くの子どもが持ち帰れるように環境整備をしていきたいものです。そのためにも、先生たちのゆとりは大切であり、常日頃から子どもたちを知る非常勤講師等が同行できるかどうかも欠かせない環境整備です。 現状は、非常勤講師等の契約では参加できないようになっており、その点について質疑したところ、来年度からは同行できるように改善していくことが明らかになりました。大きな一歩です。

 

また、宿泊学習の見直しをする背景について、来年度から英語が教科化されるなど授業時間数の確保が求められる中、宿泊学習に向けての事前学習などが難しいといった説明がありました。

授業時間の確保は、なかなか厳しい状況は推察できますが、ならば、運動会や卒業式などの行事練習に多くの時間が割かれ、「練習が苦しくて学校に行きたくない」という子どもがいたり、教科学習の時間確保に支障が出ているのではないかと保護者からは疑問の声もあがっていることから、宿泊学習の見直しと共に行事の練習時間についても見直しを図ることを求めました。

 

そもそもが、繰り返しになりますが、検討会の検討結果が、来年の岩井臨海学校は中止としているだけで、教育委員会で決定していません。にも関わらず、学校によっては校長が「中止」と明言している学校もありました。なぜ、このような事態が起きたのでしょうか?もし、学校で子どもが、決まっていないことをさも決定したことにして周囲に話せば、指導の対象になるはずです。検討会での検討結果を校長が説明し、保護者に意見を求めたのであれば理解できます。調査して経緯を次回、説明してもらえるように求めました。

 

教育委員会は、岩井臨海学校の今後について、PTAの意見を聞いて総合的に判断するとしています。

教育委員会が想定しているPTAとは、小学校PTA会長会(文京区立小学校PTA連合会)で意見聴取をして、といったことです。

例えば、文京区が新たな施策を実施するときに、事前に町会に伝え「町会からは特に異論はなかった」として施策を進めますが、「知らなかった」「町会に伝えればすべて伝わると思わないでほしい」「町会がすべての住民の意見を集約しているわけではない」という意見があり、見直しを必要とすることがあります。

同様に、PTAは任意団体であり、参加するもしないも自由な中で、PTA会長会で異論がなければ「賛同を得た」として進めてしまうのは、少々乱暴です。

多くの保護者から意見を直接聞ける機会となる「説明会」を設けて、今後の宿泊学習についての意見聴取ができるように設定することは、学校への信頼をつなぐためにもとても大切な配慮です。

 

岩井臨海学校の廃止や魚沼移動教室の宿泊日数短縮を結論付けた検討会のメンバーは、小学校校長会代表や教育委員会事務局(担当課の区職員)であり、いわば「教育を提供する側」です。体験機会にせよ学習機会にせよ、教育を受ける権利を有し、学びの主体となるのは子どもたちです。教育を提供する側の事情ばかりに終始せず、子どもたち自身が「宿泊体験活動」をどのように感じ、どのように捉えているのか、学校での聞き取りを行なうことも重要です。単なる目先の対策や代替え手段ではなく、多様な家庭環境にいるすべての子どもたちを想定し、真の学びに資する「体験機会」提供のあり方を、これからの時代を見据えて熟慮していくよう求めていきます。

小学校の宿泊体験


岩井臨海学校は廃止? 魚沼移動教室は短縮? 教育委員会は「何も決めていない」~オトナの事情でなく子どもを主役に熟慮を!” に対して 2 件のコメントがあります

  1. 匿名 より:

    息子が学校から帰って「来年から岩井が無くなるみたいだね〜。いいなぁ」と。「行きたくないの?」と聞いたら「塾を休まないといけないし、行かない子から、岩井に行くと受験失敗するジンクスがある。と聞いたから行かなくていい。」と言っておりました。
    私達の世代のお母さんは美白信仰があり、意外と海が嫌いです。なので我家では家族で海に行ったのは幼稚園時代に潮干狩り、お台場くらい。海外の海は何回かあります。でも海は怖くて浮輪を付けてちょっとパチャパチャするくらいでした。プールは何度もあるのですが。

    それでも勉強漬けから気分転換をさせたいと思い参加させました。
    結果、帰ってきた息子の顔は充実感にあふれてイキイキして驚いています。
    仲の良い友達と沢山話をして楽しかったこと。みんなで見た夜空が綺麗だった事。
    海で泳ぐのは初め怖かったけれど、入ってみると意外に簡単に浮き、500メートルはそんなに大変ではなかった事。
    「行ってよかった。来年から岩井が無くなるのは可哀想だね、」とも。

    元々海に囲まれた島国、日本の教育者が「いざとなったら自分で身を守る大切な教えの1つ」として臨海学校を設定したのではないかと思いました。

    これまでに、民間の夏休みキャンプに参加させた事はあります。
    でも六年生の岩井は普段一緒にいる仲間と行く、全く別な意味もあると思います。
    出来れば3泊させたかった。2泊までは我慢が出来ます。3泊になってくると小学生は我慢が出来なくなって我儘がお互いに出てくるようで、そこで集団で過ごす意味が出てくるのではないでしょうか?

    今、先生の長時間労働が問題視されています。多くの児童を連れての宿泊行事は最も大変だろうと思います。
    でも、この災害の多い時代に山での体験、海での経験は生き残る為の第一歩として
    最も大切な教えではないかしら?と子供の真っ黒に日焼けした顔を見ながら思い、
    どうか文京区の学校から林間、臨海学校無くならないようにして欲しいと思いました。

    来年、スポーツをする楽しさを広めるオリンピックの為に岩井を中止するのもおかしい。
    その代わりオリンピックの客席をとって児童に配るのも強制にならないか不安です。(人気のない種目の人集めとして児童が使われるのでは?)来年、もし公立の中学校へ上がったら、夏休みにオリンピック観戦に参加しないと内申が下がるのではないでしょうか?
    熱中症に注意をして、と言いながら、小学生に一駅前から歩け!というのも理解できません。

    文京区の教育委員は都合で左右されるのではなく、子供の教育の為に努力をして欲しいと願っております。

    1. 海津敦子 より:

      ありがとうございます。息子さんにとって夏の行事体験がさらに大きな成長につながっていること、岩井をどうにか残したいと考えている先生、教育委員会事務局の人たちにとっては力強い励みになると思います。私も想像しただけで嬉しくなってきました。
      海水浴等の自然体験は、ご指摘のように災害の多い時代だからこそ学校単位で体験させてあげたいものです。
      オリンピック観戦が熱中症の危険まで抱え、参加しなかったら内申が・・・と疑心暗鬼を抱かせるようなことは本当に必要なことなのか、少なくとも自由参加を担保することをしっかりと打ち出すように求めていきたいと思っています。
      頂いたご意見は、教育委員会に届けてまいります。

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