明化小学校の改築整備方針~「”特別”だから”別”に」は違うのでは?

「教育上特別の支援を必要とする児童のための教室は、障害の特性を考慮し、十分な安全性を確保することができる位置に整備することが重要である」

 

25日の文教委員会で審議した「明化小学校の施設整備に係る今後の方針について」に書かれている一文です。

 

「整備方針として大事なことを明記している」、という印象を多くの方が持たれるかもしれません。

ですが、私は大きな違和感を覚えました。

 

「教育上特別な支援を必要とする児童」は、特別支援学級だけに在籍しているのではなく、通常学級にも在籍しています。特別支援学級が設置されていない学校にも在籍しています。さらに昨今では、積極的な交流及び共同学習が頻繁に行われており、障害のある子も様々な教室で過ごします。

「障害の特性を考慮し、十分な安全性を確保することができる位置に整備することが重要である」という表現は、正直、根底にある認識が時代の感覚からズレていると感じます。

実際に、「十分な安全性を確保することができる位置に」との考え方から、同学年の子ども達から切り離された位置に整備され、「特別支援学級」というもう一つの学校が校内に存在するかのようなケースが残念ながらあるのも現実ですが、時代と共に変わって行くべきだと思います。

 

ちなみに、平成23年に改正された「障害者基本法」の第16条(教育)の項では以下のように規定されています。

 

障害者基本法

(教育)

第16条 国及び地方公共団体は、障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない。

 

2 国及び地方公共団体は、前項の目的を達成するため、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならない。

 

3 国及び地方公共団体は、障害者である児童及び生徒と障害者でない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによって、その相互理解を促進しなければならない。

 

4 国及び地方公共団体は、障害者の教育に関し、調査及び研究並びに人材の確保及び資質の向上、適切な教材等の提供、学校施設の整備その他の環境の整備を促進しなければならない。

 

 

整備方針に、このような国の動きや時代のニーズ・価値観を反映するならば・・・

例えば、

「学校内の教室はすべての子どもに開かれたものとなるように、十分な安全性を確保すべく多様な視点で設計をすることが重要である。かつ、教育上特別な支援を必要とする児童がすべての子どもとの交流や共同学習等をスムーズに行える工夫とともに、該当学年に所属感を持てるように配慮した位置に整備することが重要である」

といった文章であるべきだと思います。

老朽校舎を建て替えるにしろ、改修をするにしろ、大切にしてもらいたい視点として伝えました。

 

また、避難所になった場合を想定して、シャワーの熱源の確保と、トイレの衛生を保つための「無水トイレ」の設置を明化小に限らず取り込むことも重ねて要望しました。

* 無水トイレ(Wikipedia) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E6%B0%B4%E3%83%88%E3%82%A4%E3%83%AC

 

文化財としても価値が高いとされる明化小の校舎の整備手法を考えるにあたり、「歴史的価値」と「今後の良好な教育環境」のバランスを取ることは難しいことです。

だからこそ、文京区も批准している国連の「子どもの権利条約」に即して、当事者である子どもたちの意見を聞くことの実践も要望しました。

単に、「子どもの権利」を実践するという以上に、明化小の校舎をどのようなやり方で整備すればいいのか、自分たちのこととしての生きた教材としての学習効果も期待できるのではないでしょうか。

 

文京区の公立学校は築年数が古く、改築は明化小の他にも、誠之小の工事が来年度から始まりますし、小日向台町小・千駄木小なども続きます。

良好な教育環境を整備する上で、多様な個性・特性を持つ一人ひとりの子どもに想いを馳せて、どの子も取りこぼすことのないきめ細やかな設計にすることが、ひいては次代を担うすべての子どもにとって、未来に繋がる「教育財産」になると信じています。

 

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明化小学校の改築整備方針~「”特別”だから”別”に」は違うのでは?” に対して2件のコメントがあります。

  1. 匿名 より:

    大切な視点に気づかせていただきました。
    無水トイレいいですね!ネットで検索したらいろいろ出てきました。
    災害時は特にですが、普段から節水や掃除が楽になりそうです。

    1. 海津敦子 より:

      ありがとうございます。葛飾区役所は無水トイレを設置していて、臭いが無水トイレを設置したことでなくなり、清掃も相当に楽になったそうです。無水で衛生が保てることからも学校をはじめ、区役所はもちろんのところ公共施設には積極的に設置してほしいと思います。

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