2月議会「一般質問」が始まりました~疑問が残る答弁

「たとえかすかな木漏れ日であっても、日の光のあたらないところに日の光を当てるのが政治の基本」

成澤区長が、大学時代に社会福祉を学んだことから、大切にされていることです。

 

2月10日から2月議会が始まり、区長の施政方針演説が行われましたが、来年度の重点施策の羅列に終わり、区長が大切にされていることを聴けなかったのが残念です。

家庭の経済格差が教育格差につながり連鎖してしまうことが危惧されている子どもの貧困対策など、重要な課題については一切触れられず、常々区長が大切にされているはずの「少ないけれど強い希望、本当に困っている人を大切にする」という政治家としての理念が伝わってきませんでした。

http://www.city.bunkyo.lg.jp/kusejoho/profile/kuchonoheya/hyoumei/shise/281.html

 

さて、12日からは一般質問が始まりました。

http://www.city.bunkyo.lg.jp/kugikai/nittei/yousi/yousi2802.html

 

「ぶんきょう未来」の代表として質問に立った宮崎文雄議員は、春日後楽園駅前再開発について、防災問題、会員が減少する高齢者クラブについて、教科書採択のあり方、子どもの貧困、保育環境など、多岐にわたる課題について質しました。いくつかご紹介します。

 

再開発については、新たに100億円もの補助金を追加しなければならない根拠が、会派として納得感が得られないことから、「増額の根拠」をどのように考えているのか、という質問に対して、区長からは、「組合において、事業費縮減の努力を行ってきたところですが、建設工事費の高騰等の影響を受け、事業費が不足したものです」との答弁でした。

 

貴重な税金からさらに巨額の資金を投入することになるのですから、事業費縮減の努力についての検証、分析と共に、建設工事費の高騰等が市場の動きと整合性のあるものか、何を根拠に計算した数字なのか、増額を妥当とする「根拠」についての資料を示すべきです。

しかし、まったくそうした具体的な根拠は示されることはありませんでした。

 

港区など、他の自治体では、工事費が上昇したからといって再開発の補助金を増額せずに、再開発組合がゼネコンと協議して事業を推進するように指導しています。文京区が100億円追加補助することで約23%の補助率になるのに対して、港区等では10%程度に抑えていることからも、「増額の根拠」を区民にわかるように具体的に提示すべきです。

 

宮崎議員は、100億円の追加で総事業費の3分の1が税金で賄われることから、「税金が活きるように、区政課題を解決し、区民にとってのニーズに対応する」必要性を訴え、駐輪場の整備や育成室、病児病後児保育、高齢者にむけた医療・健康維持機能を充実させる施設等の提案をしました。

区長からは「公益性のさらなる向上を、引き続き組合に求めていく」との答弁しかなく、まるで「再開発組合次第」だとでも言っているようで、再開発を機に「日の光のあたらないところに日の光を当てる」という自らのリーダーシップと責任を放棄しているように聴こえました。

 

 

子どもの貧困教育についての質問では、「経済的困窮等の子どもの養育環境に対する対応が必要な場合には、適切な支援を行っている」と答弁。

奨学金を借りた多くの若者が返済困難に直面していることから、給付型の奨学金制度を区独自に設けることの要望には、

「国の支援制度があるから区独自の制度は創設しない」「国及び他の自治体の動向を注視していく」と答弁しました。

 

国は日本全体を対象にする大がかりな組織だからこそ小回りが効かず迅速に手を打てないのが現状です。そうした社会課題に対しては、まず、課題を抱える当事者の最も身近な存在である地方自治体が率先して課題解決にチャレンジし、それを国が先進事例としてお手本にし、法整備等を行って全国に展開する、というボトムアップの方法が有効なケースはたくさんあります。

経済的に困窮する家庭の子ども達への国の施策はまだまた不十分です。どのような家庭環境に生まれた子どもでも、学ぶことをあきらめることなく、希望を育める施策を文京区モデルとして先進的に行うよう、議会として働きかけていきたいと思います。

 

 

また、保育園の運営に対して保護者から不安の声が高まり、「認可保育園ハッピーマム茗荷谷」については、昨年5月以降、新規募集を停止し、今年4月の1次募集でも募集をしなかった経緯があります。

ところが、「子ども一人を廊下に締め出す」など不適切な保育があったことへの不安を無視するかのように、2次募集からの再開を決定した区の判断について、宮崎議員は、「不安の声が未だに聴こえる中で再開するというのはなぜか」「適切な保育ができると判断した基準はなにか」区長に問いました。

ハッピーマム茗荷谷の園児募集再開について 区HPより

http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0105/5358/hmbosyuusaikai.pdf

 

区長の答弁は次のとおりです。

「ご指摘のとおり、当該園にて、昨年12月に甚大な事態とまでは至らなかったものの、不適切な保育があったことについて確認している。

今回の件については、預かり児童数を減らしたうえで、施設の一元化を図り、園長・主任保育士を中心とした職員指導体制及び職員間の連絡体制を強化することで、再発が防止できるものと考えている。

また、4月に向けて、認可基準及び運営費支給上の必要数以上の職員配置がなされることを確認しており、これからのことを総合的に勘案し、当該園にて保育運営体制が整ったものと判断し、他の園の2次募集時期に合わせ、園児募集を再開するもの。」

 

甚大な事態に至らなかった??というのは、どういう判断をしているのでしょう?

指導と言う名目で、廊下に連れ出し、ドアを閉めて、電気を消して取り残したことで、幼い心はどんなに傷ついたことでしょう?? あってはならない指導です。

「預かり児童数を減らしたうえで」というのは、定員を63人から55人に減らすことですが、不適切な指導があった折の在籍児童は38人でした。

その人数でさえも、不適切な保育が実施された事実に対して、定員を55人に減らせば再発防止できると考える思考が理解できません。

さらには「施設の一元化を図り、園長・主任保育士を中心とした職員指導体制及び職員間の連絡体制を強化すること」で再発防止ができるとしていますが、そもそもが職員を指導できる指導力がなかったのではないかと思います。一元化すれば指導力が発揮されるわけではなく、そうした指導力が機能するかどうかを判断するには時間が必要なのではないでしょうか。

子どもの育ちを支援する教育・保育は、ただ預かり、怪我なく子どもを帰宅させればいいというものでありません。高い専門性が求められます。

 

現在、在籍している児童の多くが転園を希望している状況において、「保育運営体制が整った」という言葉に、説得力がないと思うのは私だけでしょうか。

 

12日金曜日には、認可保育園の1次募集の結果が各家庭に届き、悲喜こもごもだと思います。指数が28点でも落ちている地域があるだけに、ひとつでも多くの認可保育園で子どもを保育できるように努めたいと思う、区の想いは理解できます。

けれど、その前提には、子どもを安心して送り出せる場所であることが必須です。さらには、子どものその時々の言動には理由があることに心を寄せ、子どもの味方になってくれる先生たちとの時間の中で、子どもがその子らしく自分への自信を育て、周りへの信頼を育む時間である保育園でなければならないはずです。

そうした時間は、単に「認可基準及び運営費支給上の必要数以上の職員配置がなされることを確認」したことで子ども達に保障できるものではないことは明白です。

文京区が子どもの育ちを最優先にする保育園のあり様を掲げる以上、募集再開には危機感を持たざるを得ません。

 

答弁に対しての疑問は、各委員会でさらに質疑していきます。

またご報告していきます。

文京区議会

 

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