コロナ禍と障害と入院~障害のある子の入院を体験した親として

コロナ禍の下、入院患者への面会を中止している病院も多くありました。が、少しづつ解除されている状況です。 

それでも、子どもが障害がある場合等の特別な支援が必要なケースでは、「子どもが入院することになったら・・・」と不安が頭をよぎることが多々あるのではないでしょうか。 

私は先日、そのことが現実となりました。障害のある我が子が一週間、入院しました。 

障害のある人が入院することで見えてきたことを綴ります。

◆ 顔が腫れて高熱!?コロナも視野に検査

私の3番目の21歳の子は、重度の知的障害があります。 

5月下旬の朝、子どもの顔を見てともかくビックリです。顔が特に顎の周辺が大きく腫れあがっていて、熱を測ると39度5分。歯科の主治医に受診したところ、すぐに総合病院の急患で診てもらえるように手配をしてくれました。 

病院へ着くと、熱があることから発熱外来でまずは受診です。 

顔が腫れていることから、おたふく?なども疑われ耳鼻咽喉科の医師が診察してくれました。 

新型コロナウィルスへの感染の確率は低いと判断できるけれど、それでも、感染していないとは「言い切れない」とのことで、感染も視野に慎重な判断が進められていきます。 

顔が腫れていることから、気道が狭くなっていないかどうか、CT画像での検査と血液検査が行われました。 

本来ならCTではなく、ファイバースコープを鼻から入れて検査するそうです。が、恐怖感から相当に暴れて検査はできそうにないことから、CTでの検査となりました。

◆ 病名は骨膜炎・蜂窩織炎(ほうかしきえん)

採血は問題なくスムーズに進みます。小さい頃から注射も採血も怖がることがなかったので、私自身の気持ちも楽です。 

ただ、CTは、横になってその後に何が起こるのか。「寝るだけ」「写真を撮るんだよ」「痛くないよ」と声掛けをしますが、床に座り込んで動きません。検査技師の方々も共に言葉を尽くしてくれますが、横になるまでに30分近く・・・どうにか撮れました。 

本人も相当ぐったりしていましたが、私もマスクの中まで汗びっしょりですし、診断がついた後に、これからどんな治療が進むのかを考えると、相当に気持ちが重かったです。 

CT画像で奥歯の周辺に膿が確認でき、白血球が異常値を示している等から口腔外科に回ることになりました。 

口腔外科では、「膿が溜まり、このままでは気道を塞ぐことになる」との説明を受け、口の中、顎下から切開をして膿を出す手術を緊急で行うことになりました。 

病名は、「右下顎骨 骨膜炎」と「右側頸部 蜂窩織炎(ほうかしきえん)」です。

◆ 医師・看護師・技師 総出で検査

手術に向け、レントゲンや心電図等の検査を指示されたのですが、熱も高いですし、痛みもあるでしょうし、慣れない病院内での疲労度も上がってきている中での検査は、さらに「いやいやいや」の連続でした。泣く、ひっくり返る、大声を出す・・・ 

「検査できないということは、手術もできないのか・・」と何度もあきらめかけましたが、検査技師の方々等のみなさんのご協力でどうにか乗り切りました。総出です。 

本人が身体を張って抵抗しつつも、「大丈夫?」「大丈夫?」と不安の声を繰り返しながら頑張って検査を受けている姿に切なさでいっぱいになる一方、通常ならこんなに時間も労力もかけないだろうに・・・と頭をよぎり、 「しょうがない、お願いするしかない」という気持ちと、何となく気おくれする気持ちで揺れ動いていました。 

手術に向けての基礎的な検査は終わったものの、それだけでは終わりません。
コロナ禍では、手術に際して新型コロナウィルスに感染していないかどうかが、問われます。   

医師からは、現在の生活環境を尋ねられました。 

障害者の通所施設と家の往復の毎日で、通所施設では換気された部屋で3,4人のグループでマスクをして過ごすなど、感染対策が十分に行われていることを伝えました。 

そして、コロナで言われている症状について聞かれ一切ないことをを伝えるとともに、「コロナではないと思いますか」との問いかけに、「コロナとは思えない」と言い切りました。 

そうは思っても、仮に感染していたら、感染源となり病院内の様々な機能を停止させてしまうし、施設にも影響が出てしまうのかもしれないと・・・内心はドキドキです。 

口腔外科の先生たちが、多様な視点から検討してくださり、炎症による発熱であると思うが、PCR検査に代わるものとして肺のCT撮影をして、確認をしたうえで手術を実施することになりました。 

再度のCT検査でも床にひっくり返って動かず、動かそうとすると叩いてきて、大声で「終わり~」「帰る~」と、叫び続けて大騒ぎです。 

それでも、検査技師の方々だけでなく、医師も加わって5人ぐらいの方が、穏やかに丁寧に、安心して検査を受けられるようにと、ほめたり、なだめたりしてくれました。 

が、安全に検査をできる状況ではないことから、結局、安定剤?でしょうか、注射して、眠ったところで撮影となりました。 

CT検査で写した肺にはまったく問題がなく、感染していないという見解を出していただきました。 

本人が一番大変ですが、そばでなだめ、励まし、介助する家族も正直、へとへとになります。もちろん、医師や検査技師の方々も相当に疲れたことと思います。 

それでも、安心が広がったのは、我が子だけでは、入院生活はとても過ごせないと判断してくださった医師の方々が、私が24時間付き添えるように「入院として必要な個室」として差額ベッド代をとることなく、整えてくれたからです。通常なら付き添いを認めていない完全看護の病院ですので、「障害のある人」等に行われる例外的な対応です。 

ですが、個室を用意し付き添いを可能にしてくださった決定が、他の部署には共有されていなかったため、「付き添いはできません」と言われ、「そんなはずはない」と慌てたりもしました。

◆ 手術後も痛みと非日常で大パニック

しかし、それはまだまだ始まりにすぎませんでした。 

手術が終わって麻酔が覚めてから、障害があり見通しがきかないことが、どれほど本人の不安を大きくさせるのか、改めて痛感する時間となりました。 

麻酔から覚めて、痛みもあるでしょうし、点滴もつながれ、周囲に医師や看護師の方々など大勢いることにもびっくりしたかもしれません。口の中の傷口からでる血で部屋中が血だらけになるほど、大パニックでした。 

点滴も抜いてしまうのではないかとドキドキが続きました。が、点滴から痛み止めと眠れる薬が入れられ、「これで、朝までぐっすり眠れますよ」と先生から声掛けをされ、ホッとしたところです。 

でも、もともと眠りの浅い体質もあるのでしょうが、寝ぼけるように起きては「帰る~」「やだ~」と、ベッドから逆さまに落ちるような勢いで暴れることが朝まで何度も繰り返されました。 

もし、私がいなければ、「 右側頸部 蜂窩織炎(ほうかしきえん) 」が治っても、頭を強く打ち付けて大けがでさらなる入院になっていたかもしれません。

◆ 親の通訳が欠かせない場面も

手術の翌日からは、比較的落ち着いて過ごしていました。が、それも、私が24時間、そばにいたからだと思います。 

看護師の方々は、本当に心をかけ、細やかに看護をしてくれました。医師の方々も、朝に昼に夕に声をかけてくださり、治療にあたってくださいました。感謝ばかりです。 

ですが、看護師の方々の人員配置はあくまで、障害があったりパニックになったりすることがない患者を想定してのものです。 

日常の自宅でもケアが常に必要な我が子にとっては、非日常の場である病院では、24時間のケアが不可欠でした。 

例えば・・・ 

手術前も、手術後も、相当な痛みがあったはずです。 

医師から「痛い?」と聞かれても、「ない!(痛くない)」と繰り返します。 

通訳をしなければ、ひょっとすると痛くないのだと診断されていたかもしれません。 

食事を食べてなくても、「食べられた?」と尋ねられれば、「食べました」と応え、食べられるようになっていると判断されたかもしれません。

◆ もし、幼児を抱える親・子ども・障害者が感染したら!?

子どもが幼く、保護者が新型コロナウィルスに感染したら、子どもはどうなるのだろう・・・ 

子育て中の方なら、ふと不安になることがあるのではないでしょうか。 

文京区では、保護者が感染し、家庭での保育ができなくなったときには、濃厚接触者に相当する子ども自身の感染の有無を確認し、感染していなければ児童相談所が中心となり、子どもの体調を観察しながら、保護者が退院するまで子どもが安心して待てる場所を探すという流れになっています。 

障害のある人の保護者が入院し、自宅で障害のある人をケアすることができなくなったときにも、自治体の障害福祉課に相談すれば、感染していないことを確認したのち、濃厚接触者として観察中も安心して過ごせる場所の提供できるように動いてくれると思います。 

では、子ども自身が感染した時はどうなるのか?  

小児科病棟等に子どもが入院した時には、それまで積み上げてきた対応を基に、保護者が付き添わなくても、安心して治療にあたれるような環境を整備するのではないかと推察します。 

障害のある人(成人)自身が入院した時は??? 

コロナ禍では、入院している人の家族でも面会が厳しく制限され「会えない」ということもあるなか、24時間ケアが必要な障害のある人の入院はどうなるのでしょうか?

◆ 障害がある人の感染対応は未整備

今回、我が子が入院して見えたのは、病院はコロナ禍による院内の感性拡大防止に追われている渦中であり、障害のある人が感染した時の対応については、まだまだこれからで、様々な知恵を出し合っている段階だということです。 

常にケアが必要な障害のある人が入院したときには、本人が大パニックになることも想定すべきことですし、自傷が増えるなど、相当なストレスを抱えることになると思います。 ある親は、「病室を破壊してしまうかもしれない・・・」と心配を口にします。 

さらに、医療関係者の方々が本人の訴えを理解するには、本人をよく知る人の通訳が必要になることもあります。 

逆に、医師や看護師の話を本人に伝えるにしても、日常でケアをしている人が欠かせないケースもままあります。 

また、日常で介護している人が付き添ったとしても、その人が防護服を着ている状況を、障害のある本人が受け入れられるのか・・・不安は尽きません。 

どんなに気を付けていても感染する時は感染してしまうことを考えれば、軽度、中度、重度など感染の度合いによっても違いがあるでしょうが、多くの親たちが、障害のある我が子が感染して「入院」「隔離」になったらどうしようという不安を抱え続けています。 

そして、コロナに感染しないように、ひたすら祈ることしかできないのが現状です。

◆ 体験して痛感~障害者の入院環境整備

今回の体験を通じて、日常で、常にケアが必要な障害のある人が入院するということを、どのように整備すべきか、改めて考えています。 

いずれの病院でも、入院に際して、付き添いを求め、付き添いがいないと入院できないということは絶対にありません。 

また、原則付き添いは認めていないという病院もあります。 

我が子が入院した病院もそうで、付き添い者のベッドもありませんでした。私は、寝袋等の持ち込みも考えましたが、病室が狭いことや、自分が爆睡してしまい我が子が起きて何をするかわからないので、ベッド幅1mもないほどの我が子のベッドに添い寝する形で休みました。これも、我が子が同性であったからできたことでもあります。 

もし、我が子がコロナに感染した場合には、ベットで添い寝しての付き添いができるとはとても思えません。 

自治体は、病院と連携して、障害のある人への支援体制の一つとして、常にケアが必要な人が感染した場合に備えて、病院の看護体制の中で安心して過ごせる入院環境の整備とともに、その人をより良く理解した支援者が付き添えるための環境整備も積極的に進めて欲しいと強く思います。 

   

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コロナ禍と障害と入院~障害のある子の入院を体験した親として” に対して 2 件のコメントがあります

  1. 大林直美 より:

    とても大変でしたね。わたしももし入院したらたいうことをよく考えます。正直とても怖いです。だから仕事意外は最低限の外出しかしてません
    コロナじゃなくても入院の必要な病気はたくさんありますよね。もし自分がにしたら、年をとって動けなくなったらとか、先のことは不安でいっぱいです。貴重な体験を読ませて頂いて感謝しますありがとうございます。

    1. かいづあつこ より:

      病気になったら・・ 様々な不安が広がりますよね。家で親を介護している人などもそうでしょうし、

      自治体は、多様なケースを想定して、支援体制を整備しておくことの重要性を痛感しました。

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